国境の島「対馬」 自然と歴史が紡ぐ絶景スポットを巡る

国境の島「対馬」 自然と歴史が紡ぐ絶景スポットを巡る

更新日:2019/04/16 15:01

今村 裕紀のプロフィール写真 今村 裕紀 旅先案内人
博多港から130キロありながら、釜山まではわずか50キロの距離にあり、韓国に最も近い位置にある国境の島、長崎県対馬。この地理的な関係から歴史的に大きな役割を果たし、また、多くの影響を受けてきた対馬には、原生林や島の中央に複雑にひろがる入江など、離島ならではの風光明媚な自然が数多く残されています。対馬が辿ってきた歴史と自然とが結びついた絶景スポットをご紹介します。

竜宮伝説が残る和多都美神社

竜宮伝説が残る和多都美神社

提供元:(一社)対馬観光物産協会

http://www.tsushima-net.org/地図を見る

「和多都美神社(わたつみじんじゃ)」は、神代の昔、海神である豊玉彦尊(とよたまひこのみこと)が、この地に宮殿を造り、宮を「海宮(わたづみのみや)」と名付けたことが始まりと言われています。

この海宮は、豊玉彦尊の娘である豊玉姫命(とよたまひめのみこと)と夫であり、山幸彦伝説の彦火火出見尊(ひこほほでのみこと)を祀る海神神社です。まさに海神を迎えるが如く、五つの鳥居が海中から社殿に向かって立ち並びます。

竜宮伝説が残る和多都美神社

写真:今村 裕紀

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本殿へと連なる五つの鳥居のうち、一の鳥居、二の鳥居は海中にそびえ、干潮時には、一の鳥居まで歩いて行くことが可能です。そうして干潮時、満潮時によって、それぞれ異なった様相を見せるのです。

竜宮伝説が残る和多都美神社

写真:今村 裕紀

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満潮時には社殿の近くまで海水が満ちて、その光景は竜宮を連想させる神秘的な様相を湛えます。いちめんが海水に満たされた竜宮を思わせる世界を想像してみて下さい。

写真左の注連縄と紙垂(しで)が見える柱は、全国的にも珍しい三柱鳥居で、鱗状の亀裂が入った「磯良恵比須」という謎多き岩が祀られています。この三柱鳥居は、この奥の本殿脇にもう一か所あります。

さらに本殿の裏には原生林がひろがり、ひときわ大きな木の下には、豊玉姫之墳墓が。静まり返った森林に身を置くと、神話の時代を偲ばせるような神秘的な雰囲気につつまれるような気がします。

<和多都美神社の基本情報>
住所:長崎県対馬市豊玉町仁位和宮55
アクセス:厳原(いずはら)より車で50分
拝観時間:特になし
駐車場:約30台

烏帽子岳展望所からの浮島のパノラマ

烏帽子岳展望所からの浮島のパノラマ

写真:今村 裕紀

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烏帽子岳は、対馬の中央にひろがる浅茅湾(あそうわん)の北側に位置し、その展望所からは複雑に入り組んだ海岸線と無数の島々が点在するリアス式海岸の雄大な景観を一望することが出来ます。

烏帽子岳展望所からの浮島のパノラマ

写真:今村 裕紀

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もとより対馬は6つの有人島と102の無人島からなっています。
この展望台からは、幾重にも連なる山々とそれら無人島の数々、さらには静かな海などの雄大な眺望がひろがり、そのなかをゆったりと時間が流れていきます。絶景が、目の前に留まって、こころ潤してくれます。

<烏帽子岳展望台の基本情報>
住所:長崎県対馬市豊玉町仁位
アクセス:厳原より車で50分 
駐車場あり。
駐車場から展望台までは145段の階段。

釜山を望む韓国展望所

釜山を望む韓国展望所

写真:今村 裕紀

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韓国まで49.5キロの距離にある対馬北端の上対馬町。その鰐浦(わにうら)の丘に建つ「韓国展望所」は、韓国の古代建築様式を取り入れた展望所。日韓双方の観光客が訪れる観光スポットになっています。

この展望所からは、秋から冬にかけての空気が澄み渡った日には釜山を望むことが出来ます。

釜山を望む韓国展望所

提供元:(一社)対馬観光物産協会

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展望所から正面に見える島は、対馬最北端の島、海栗島(うにしま)です。かつてはウニが採れたことからこの名前が付いたと言われていますが、現在は航空自衛隊のレーダー基地になっていて、国境警備が行われています。まさに、この島が「国境の島」と言われるゆえんです。

かつての北の砦「豊砲台跡」

かつての北の砦「豊砲台跡」

写真:今村 裕紀

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対馬には地政学上の重要性から、明治から昭和にかけ、島全体に31ヶ所もの砲台が設置されました。初期には主に島の中央に広がる浅茅湾の防備のために建造されましたが、第一次世界大戦後は対馬海峡の制海権を確実なものにするために建造され、豊砲台はその代表のひとつです。実戦では使われることがほとんどなかったものの、抑止力になったと言われています。

入口にある照明スイッチを入れて砲台跡内部を進んで行きます。この部屋は、大砲を動かすための機械が設置されていた部屋です。

かつての北の砦「豊砲台跡」

写真:今村 裕紀

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豊砲台には、航空母艦に改造されることになった軍艦「赤城」のキャノン砲が移設されたと言われています。しかしながら、第2次世界大戦後、米軍の爆破班により武装解除されましたが、構造物は完全には爆破・解体できず、当時の姿をいまに留めています。爆破の跡が随所に残ります。

かつての北の砦「豊砲台跡」

写真:今村 裕紀

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かつては108トンの巨砲が据えつけられていた砲塔部。巨大な砲身は解体されて八幡製鉄所で溶かされ、戦後復興の資材になったとされています。

対馬の北端は、否が応でも、国境に伴う軍事的な要所であることを感じさせられます。

<豊砲台跡の基本情報>
住所:長崎県対馬市上対馬町鰐浦
アクセス:厳原より1時間50分
駐車場:あり
入場:無料

「あなご亭」で対州黄金あなごを

「あなご亭」で対州黄金あなごを

写真:今村 裕紀

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お食事処は、対馬中部の豊玉町にある「あなご亭」が、おすすめです。
国道沿いの何もないところに工場と小さな建物がぽつんと建っています。
ここでは、「対州黄金(こがね)あなご」を食することが出来ます。これは、対馬西沖の韓国との国境近くで獲れるあなごのことです。

「あなご亭」で対州黄金あなごを

写真:今村 裕紀

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写真のように、とにかく大振りで脂がしっかりとのっていて、柔らかく、フワッとした食感がします。しかも、あなごの風味をしっかり感じることが出来る逸品です。良質な餌や生息する環境が生み出した傑作です。白焼き以外にも天ぷらを始め、穴子カツや刺身などがあります。

<あなご亭の基本情報>
住所:長崎県対馬市豊玉町仁位2091-3
電話番号:0920-58-2000
営業時間:11:30〜14:00、18:00〜(LO21:00)
定休日:毎週火曜日
アクセス:厳原より車で50

最後に

対馬は南北に82キロあり、沖縄本島と北方四島を除けば、佐渡島、奄美大島に次ぐ3番目に大きな島です。

博多港からジェットフォイルが到着する厳原を起点に最北端の「豊砲台跡」までも車で片道2時間近くかかります。定期観光バスはありませんので、レンタカーがおすすめです。比較的アップダウンの多い山道や細い道を進み、いくつかの集落を繋ぎながらのドライブになりますので、安全に留意して、のんびりと対馬を楽しんで下さい。
また、人数が多ければ観光タクシーや貸し切りバスという選択もあります。

※2019年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2019/03/25 訪問

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