写真:永澤 康太
地図を見る田沢温泉が位置する青木村は、戦国時代の雄・真田家が城を置き今は新幹線も停まる上田市に意外なほど近い。車だとすこぶるアクセスが良く上田市中心部からほぼ国道一本で到着。バスも青木バスターミナルまで一定数走り田沢温泉は徒歩圏内、ただしこの区間は坂が続くので要注意。市街地のそばにも関わらず里山が広がってホタルも住まう。
写真:永澤 康太
地図を見る古湯だけあって開湯は飛鳥時代、夫婦鬼の前鬼と後鬼を使役した役小角の発見と伝わる。「ますや旅館」自体は少なくとも江戸時代には暖簾を掲げていて、明治〜大正にかけて建物が形作られた。立ち寄り湯も可能だが、登録有形文化財に登録された木造建築の凄みは滞在してこそ全体像が解るもの。宿泊者は隣接する共同湯「有乳湯」の割引も付くので、可能ならば泊まるべし。
写真:永澤 康太
地図を見る外観もさることながら、館内の味わい深さはひとしお。帳場に始まり廊下、階段、客室を創り出す木々は、歴史で裏打ちされた風情とコクによって来館者の感性を満たす。加えて障子や欄間を彩る飾り細工が見事なのでお見逃しなく。また、Wi−Fiを通し、トイレは温水洗浄便座にするなど、環境面も柔軟に整備している。
写真:永澤 康太
地図を見る上記写真は客室51番より撮影。高楼を望む人気の部屋で、「ますや旅館」がどれだけ凝った造りをしているのか良く分かる。もちろんここ以外の客室も木造情緒満点、何処を選んでも価値あるひと時となるだろう。(なお全室禁煙、ロビーでは喫煙可)
写真:永澤 康太
地図を見る東館3階には島崎藤村の利用した客室「藤村の間」が現存し、今でも宿泊可。彼が執筆した『千曲川のスケッチ』内で「眺望のよい温泉宿」とふれている通り、眺めは変わっていない。部屋が空いていれば見学OK(希望者は必ず宿の方々に許可を)、往時の面影をそのままにしている。
写真:永澤 康太
地図を見る建物の存在に隠れがちな温泉も入る価値は大あり。廊下をずーっと進んだ先に男女別露天付き大浴場があって、自噴する2号泉、3号泉を混合した無色透明の湯を源泉掛け流しで注ぐ。泉質はアルカリ性単純硫黄温泉、ややぬるめで季節により加温をしているものの、鮮度は良く飲泉可。ふんわりとタマゴの匂いが香り湯の華も舞う中、長湯ができる。
写真:永澤 康太
地図を見る露天風呂は館内の湯船で一番ぬるく、感じとしてはぬる湯好きか気温が高い時期向けになる。しかし、雪がちらつく冬の一浴がとても絵になったり、「ゆるり」のワードがピッタリだったり。何より、田沢温泉をじっくり体感するのにうってつけだ。
写真:永澤 康太
地図を見る一方、帳場の横から階段を下ると左右に貸切風呂が2つ現れる。こちらは田沢古来の1号泉(自噴、季節により加温)が源泉掛け流しにされ、湯量調節によって38℃ある左の浴室と比べ、右の浴室は若干ぬるめだ。湯口に析出物が固まり、タマゴの匂いがしっかりして、湯の華は大量&でかい。肌触りも優しくお勧めしたい。
写真:永澤 康太
地図を見る食膳に上がるキノコ・米・野菜などは田沢や周辺で採れたものを使い、料理もドジョウの素揚げ、蜂の子、コイのうま煮と郷土色が強め。どれも滋味豊かな上、調理に一手間二手間かけた“ただの御馳走”を超える逸品も並ぶ。ソムリエと唎酒師(ききさけし)の資格を持つ若旦那に地酒・ワインを紹介してもらえば、田沢御膳の完成だ。
写真:永澤 康太
地図を見る上記写真左側の料理は信州生まれ「まぁーず」で味付けされている。「まったく、本当に」といった言葉を信州弁で「まぁず」と呼ぶのが名前の由来で、味噌・酒粕・漬物を混ぜてペースト状にした万能食材だ。「ますや旅館」でもニューフェイスとして大いに活用、島崎藤村も愛した「にごり酒」と共に一献するのは「まぁず、美味しい」。
「ますや旅館」は文豪が眺めを褒め、松坂慶子主演『温泉卓球』の舞台にもなった由緒正しき木造宿。田沢温泉へ出掛けて、実際に自分の目で見てもらえればと思う。それと共同湯「有乳湯」もおすすめなので、関連MEMOのリンクを参照に。また、青木村ではタチアカネ蕎麦とコンパラ(なつはぜ)が特産物になっている。「ますや旅館」探訪の昼食や土産にどうぞ。
※泉質、立ち寄り入浴について
泉質/アルカリ性単純硫黄温泉(低張性アルカリ性温泉)
立ち寄り入浴:12時〜16時 500円(貸切風呂も選択可)
・一人旅OK
2019年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/12/10更新)
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