集落内を水路が巡る!滋賀県東近江市「伊庭」に残る水郷景観

| 滋賀県

| 旅の専門家がお届けする観光情報

集落内を水路が巡る!滋賀県東近江市「伊庭」に残る水郷景観

集落内を水路が巡る!滋賀県東近江市「伊庭」に残る水郷景観

更新日:2019/04/12 11:12

木村 岳人のプロフィール写真 木村 岳人 フリーライター

琵琶湖東岸の中央部に広がる伊庭(いば)内湖。その南岸に位置する伊庭集落は、中世より琵琶湖水運の要衝として賑わい、「伊庭千軒」と称されるほどに栄えていました。

舟運が廃れた今もなお、伊庭集落には縦横無尽に張り巡らされた石積みの水路が残されており、水郷ならではの集落景観を目にすることができます。常に水と共にあった「伊庭集落」を散策してみてはいかがでしょうか。

広大な内湖に面していた伊庭集落

広大な内湖に面していた伊庭集落

写真:木村 岳人

地図を見る

かつて琵琶湖の周囲には内湖(琵琶湖と水路などで繋がっている浅い水域)が数多く存在していました。その中でも最大の面積を誇っていたのが「大中湖(だいなかのこ)」です。伊庭は大中湖へとそそぐ伊庭川の三角州に形成された集落でした。

広大な内湖に面していた伊庭集落

写真:木村 岳人

地図を見る

内湖の多くは戦後の干拓によって埋め立てられ、大中湖もまたその大部分が水田になりました。わずかに残った大中湖の一部分が現在は伊庭内湖と呼ばれており、ヨシが生い茂る湖岸に舟着場や舟溜まりの跡が残されています。

まずは伊庭集落の中心に位置する「伊庭城跡」へ

まずは伊庭集落の中心に位置する「伊庭城跡」へ

写真:木村 岳人

地図を見る

伊庭集落の歴史は極めて古く、平安時代末期には既にその名が文献上に見られます。鎌倉時代には近江国の守護を担っていた六角氏の家臣である伊庭氏によって伊庭城が築かれ、その本拠地となりました。江戸時代に入ると旗本であった三枝氏が領し、伊庭城跡に陣屋を構えています。

まずは伊庭集落の中心に位置する「伊庭城跡」へ

写真:木村 岳人

地図を見る

現在の伊庭城跡には昭和23年(1948年)に公民館として築かれた「謹節館」が建っており、その周囲には掘割が残されています。謹節館の隣にある伊庭町自治会事務所では伊庭集落の見どころを網羅した地図付きのパンフレットを配布していますので、まずはここに立ち寄り情報を収集してから散策を始めるのが良いでしょう。

集落に張り巡らされた水路を辿ろう

集落に張り巡らされた水路を辿ろう

写真:木村 岳人

地図を見る

伊庭集落の中心には東から西へ伊庭川が通っており、その流れを中軸として石積みの水路網が集落全体に張り巡らされています。かつて伊庭集落の人々は一家に一艘「田舟」と呼ばれる舟を所有しており、どこへ行くにも舟で移動していました。これらの水路はまさに水の道として利用されていたのです。

戦後に自動車が普及したことで舟運は廃れ、車道を確保するために水路の幅が狭められたり埋められたりしましたが、大部分の水路はかつての経路を維持したまま今に残されています。

集落に張り巡らされた水路を辿ろう

写真:木村 岳人

地図を見る

各家は限られた敷地を最大限に利用すべく、水路の石積みの真上に築かれた「岸建ち」と呼ばれる建物や、水路へ降りるための「カワト」と呼ばれる石段、洗い場なども数多く現存しています。

田舟の舟板を再利用した壁や塀が残る家も見られるなど、伊庭集落には現在も水郷ならではの景観が広がっていることから、2018年には国の重要文化的景観に選定されました。

集落に密集する歴史の深い寺社群

集落に密集する歴史の深い寺社群

写真:木村 岳人

地図を見る

伊庭集落には寺院や神社が多いのも特徴です。中でも伊庭城跡の近くに位置する妙楽寺は持統天皇3年(689年)に創建され、室町時代の正長元年(1428年)に現在地へ移されたと伝わる古刹。その境内には源通寺・誓教寺・浄福寺・法光寺が建っており、独立した四ヶ寺が山門内に同居するとても珍しいお寺です。

集落に密集する歴史の深い寺社群

写真:木村 岳人

地図を見る

また集落の入口に鎮座する大濱神社は平安時代の保元3年(1158年)に京都の八坂神社から勧請されたと伝わっており、その境内には鎌倉時代前期に建てられたとされる仁王堂が建っています。その貫禄あるたたずまいに、集落の歴史の深さをひしひしと感じられますね。

伊庭川の水源であり「坂下し」の舞台でもある伊庭山

伊庭川の水源であり「坂下し」の舞台でもある伊庭山

写真:木村 岳人

地図を見る

伊庭集落の東側には伊庭川の水源である標高433メートルの繖山(きぬがさやま)がそびえており、その一峰である伊庭山の中腹には「繖峰三(さんぽうさん)神社」が祀られています。毎年5月上旬に行われる伊庭最大の祭事「伊庭祭」では、この繖峰三から三基の神輿を引き下ろす「坂下し」が実施されます。

伊庭川の水源であり「坂下し」の舞台でもある伊庭山

写真:木村 岳人

地図を見る

繖峰三神社の参道は断崖絶壁ともいえるほどの急斜面であり、険しい難所も数多くあります。氏子の掛け声と神輿が引き下ろされるその様子は非常にスリリングかつ迫力満点であることから、近江の奇祭のひとつに数えられています。

麓の鳥居まで降ろされた神輿は大濱神社へと運ばれ、集落の全体を巡ってから伊庭内湖の湖岸に設けられた御旅所へと向かいます。かつては水路を舟で周っていましたが、舟を使わなくなった現在も、かつての経路をなぞるように神輿が巡行されています。

水源の伊庭山から始まり、川と水路を辿って内湖へ至る。伊庭祭は水の流れを体現した、まさに水郷ならではのお祭りだと言えるでしょう。

伊庭集落の基本情報

住所:滋賀県東近江市伊庭町
電話番号:0748-42-0362(伊庭町自治会事務所)
アクセス:JR琵琶湖線「能登川駅」より東近江市ちょこっとばす大中線で約10分、「伊庭」バス停下車すぐ

2019年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。

- PR -

条件を指定して検索

LINEトラベルjpで一緒に働きませんか?

- PR -

旅行ナビゲーター(在宅ライター)募集中!
この記事に関するお問い合わせ

- PR -