写真:沢原 馨
地図を見る一般的に「滝」と言えば、高い岩壁の上から流れ落ちるものであったり、川の途中に生じた大きな“段差”を流れ落ちてゆくものであったりするものですが、「吹割の滝」はそうしたイメージとはずいぶんと違っています。「吹割の滝」は河床の岩盤に生じた巨大な“溝”に三方から水が流れ落ちてゆくという特異な姿をしているのです。その様子から「吹割(ふきわれ)」の名が生まれたと言われています。
写真:沢原 馨
地図を見る「吹割の滝」は滝のすぐ近くから眺めることができます。間近に見る「吹割の滝」は大迫力。落差は7mですが、幅は約30m。河床に抉られた巨大な溝へ吸い込まれるように水が流れ落ちていきます。驚くべき自然の造形です。
残念ながら“滝つぼ”部分はほとんど見えませんが、立入禁止ラインを越えて滝に近づくのはとても危険。安全最優先で観瀑を楽しみましょう。
写真:沢原 馨
地図を見る河岸に設けられた散策路を少し上流側へいくと、「吹割の滝」を別の角度から見ることができます。三方から水が流れ込む様子がよくわかります。少し遠くなるので、双眼鏡などを用意しておくといいですよ。滝の横に立って観瀑を楽しむ人たちとの大きさの対比が、滝のスケールを実感させてくれますね。
この辺りは約900万年前に発生した火山の噴火による火砕流堆積物が岩石となった「溶結凝灰岩」の地層。その「溶結凝灰岩」の岩盤を水の流れが抉り、こうした渓谷と滝が造られたのです。滝は今も岩盤を削り続けているのですよ。
写真:沢原 馨
地図を見る「吹割の滝」があるのは、河岸段丘で有名な片品川の上流部。「吹割の滝」の名だけが広く知られていますが、実はこの辺りは美しい渓谷の景観が楽しめるところで、「吹割渓ならびに吹割瀑」として国の天然記念物と名勝の指定を受けた景勝地なのです。「吹割の滝」だけでなく、その周囲に広がる渓谷の景観を楽しんでおきましょう。
写真:沢原 馨
地図を見る「吹割の滝」の少し下流側には「鱒飛の滝」という滝もあります。約1万年前にはここにもっと大きな滝があったのではないかと言われています。その滝が浸食によって後退し、現在の景観となったのです。
写真:沢原 馨
地図を見る「鱒飛の滝」と「吹割の滝」との間は、川の流れが造った渓谷美を堪能できるところ。川に迫る岩肌の景観に圧倒されますよ。途中には「般若岩」と呼ばれる場所もあります。「般若」を思わせる形状だというのでこの名があるのですが、想像力を働かせて見てみましょう。
写真:沢原 馨
地図を見る「吹割の滝」の上流側、河床が広く現れたところは「千畳敷」、その先で河岸と「浮島」を繋いで橋が架けられています。「浮島」は川の浸食から取り残されて、島のようになったもの。「浮島」には浮島観音堂が祀られています。堂内に安置された「浮島如意輪観音」は左甚五郎作と伝えられています。
写真:沢原 馨
地図を見る河岸と「浮島」との間に架けられた橋の上から、「千畳敷」の様子がよく見えます。雄大な景観ですよ。周囲の山々は新緑に萌えています。「吹割渓谷」は秋には紅葉が美しく、紅葉の名所として知られていますが、紅葉が美しい場所は新緑もまた美しいのです。新緑に包まれた渓谷美を堪能しましょう!
写真:沢原 馨
地図を見る「浮島」から橋を渡った右岸側は木々の茂る山の斜面で、そこに散策路が辿っています。新緑に包まれての山歩き、楽しいものです。
写真:沢原 馨
地図を見るしばらく歩いて行くと、「吹割の滝」を上から見下ろすことのできる「観瀑台」が設けられています。木々の隙間から、ほぼ真下に滝が見えます。河床に刻まれた“巨大な溝”のような滝の様相がよくわかります。滝の横に立つ人たちが小さく見えて、その大きさが一目瞭然。必見です!
写真:沢原 馨
地図を見るさらに進むと、また別の観瀑台が設けられています。さきほどとは違う角度で見下ろすことができて、「吹割の滝」の下流側がよく見えます。滝の横に穿たれた巨大な甌穴の姿もよく見えますよ。
写真:沢原 馨
地図を見る観瀑台を過ぎると、山の斜面を辿る遊歩道もそろそろ終わり。国道120号へと戻ります。ちょうど吹割大橋が片品川を跨ぐところ。吹割大橋の上から見下ろす渓谷の景観も美しいですよ。ぜひ見ておきましょう。
写真:沢原 馨
地図を見る視線を上げれば、鮮やかな新緑のグラデーションに彩られた山々が広がっています。この時期にしか見ることのできない、美しい景観です。“命の息吹”を感じさせてくれるような景観ですね。
写真:沢原 馨
地図を見る国道120号から「鱒飛の滝」へ降り、「吹割の滝」を見て、「浮島」を経て川を渡り、右岸の遊歩道を辿って戻ってくるのが、吹割渓谷の楽しみ方の“順路”と言っていいでしょう。このルートを辿れば、距離は約2km。景観を楽しみながらのんびりと歩いても1時間から1時間半ほど。新緑の吹割渓谷、楽しんでくださいね!
住所:群馬県沼田市利根町追貝〜高戸谷
電話番号:0278-56-2111(沼田市役所利根支所観光係)
アクセス:
JR上越線沼田駅から鎌田行きバス約40分、「吹割の滝」下車すぐ
関越自動車道沼田ICから国道120号を尾瀬方面へ直進約16km(約20分)
2019年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
沢原 馨
旅行好きと言うより、散歩好き。旅先の町でもカメラ片手に散歩を楽しんでいます。特にマニアックにこだわっているものがあるわけではありません。さまざまなものに興味を持って目を向けつつ、気の向くままに足を運ん…
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