「大台ヶ原」への登山口であるビジターセンター(大台ヶ原ドライブウェイ終点)までは奈良県吉野の町の中心部から距離にして60km以上あり、文字通りの秘境です。アクセス手段としては、自動車かバスが有効です。車の場合、マイカー以外に、橿原市か五條市でレンタカーを利用することができます。もしくはバスの場合、「大台ヶ原探勝日帰りきっぷ」がおすすめです。大阪・京都・奈良〜大和上市までの近鉄切符と、大和上市〜大台ヶ原ビジターセンターまでのバス切符がセットになっており、とてもお得ですよ!
写真:土庄 雄平
地図を見るまず麓の吉野の町から川上村を経由して、大台ヶ原ドライブウェイまで35kmほど走ります。左手には吉野川の間々にダムが営まれ、いくつか登場する立派な橋梁が相まってスケール感のある景色を見せてくれます。またそれを取り囲む新緑もとても美しいです。
写真:土庄 雄平
地図を見るまた、大台ヶ原ドライブウェイ入口に差し掛かるラストで現れるループ橋も見物です!360度にわたって美しい新緑を見渡すことができるほか、ループの途中にある「大曲滝」がマイナスイオンをたぎらせて癒されますよ。
写真:土庄 雄平
地図を見るそして「大台ヶ原」へ行く最後の区間「大台ヶ原ドライブウェイ」を進みますが、実はこの道も単なるアプローチの手段でなく、思いっきり景色が楽しめる場所です。バスで向かっている人は窓から眺めてみて下さい。車で向かっている人は路肩に車を止めて降りてみるのをおすすめします。
写真:土庄 雄平
地図を見る特に素晴らしいのは、道のパノラマが開ける中盤です!晴れていれば、世界遺産の熊野古道で有名な大峰山系を望むことができるほか、初夏には一面に広がる新緑に、赤いツツジが鮮やかなコントラストを生んでくれます。
写真:土庄 雄平
地図を見るまた道の後半も見逃せません。なぜなら幾重にも重なる新緑のトンネルが待ち受けるからです。差す木漏れ日が葉を輝かせ、自然の生命力を伝えてくれます。これほど美しい緑を思いっきり感じられる道は他にはないでしょう。
写真:土庄 雄平
地図を見る標高1500mを超える高さにあるビジターセンターへ到着すると、さぁ登山のスタートです!ここから最高峰の「日出ヶ岳」や「正木ヶ原」、「大蛇ぐら(だいじゃぐら)」など、大台ヶ原のスポットを周回するコースが整えられています。おすすめなのは、まず大蛇ぐらを目指す反時計回りのコース!なぜなら一番アップダウンがある区間を体力がある前半に終えることができるからです。
歩き始めるとすぐに、笹と木々が並存する「大台ヶ原」ならではの景観が広がります。
写真:土庄 雄平
地図を見る目安となるのは「シオカラ谷の吊り橋」です。ここが標高の一番低い地点になります。ここから「大蛇ぐら」まで緩やかな登りが続くので、ここでしっかり体力補給をしておきましょう。ビジターセンターで名物の「柿の葉寿司」を買っておいて、渓流に腰掛けて食べるのがおすすめです。自然の中で頂くご飯は格別ですよ!!
写真:土庄 雄平
地図を見る「シオカラ谷の吊り橋」から「大蛇ぐら」までの道のりは、6月中旬になると、アケボノツツジやシロヤシオなど可愛らしい花が咲き誇る癒しの小径へと変わります。この山が「花の百名山」に選定されている所以です。
体力を使う区間ですが、止まって花を愛でながら進んでいくと、あっという間!新緑映える色彩は本当に美しいですよ。
写真:土庄 雄平
地図を見るそうして「シオカラ谷吊り橋」から1時間ほどで「大台ヶ原」の代表的な風景である「大蛇ぐら」へと辿り着きます。「ー」とは、「険しく切り立った大きな断崖」を意味し、豪雨による侵食が活発な「大台ヶ原」の過酷な環境を物語ります。
まさに、突き出た岩が大蛇の頭のよう!そして、そこから岩でひと続きになって大蛇の背に乗って、眺める景色はスリシングかつダイナミックです!!
写真:土庄 雄平
地図を見る「大蛇ぐら」を後に、さらに反時計回りに歩いていくと「牛石ヶ原」「正木ヶ原」という二つの開けた空間を通ります。実は、ここが一番、「大台ヶ原」らしい風景です。なぜなら、トウヒ(マツ科の常緑針葉樹)の立ち枯れが現れるから!霧が蔓延すると一層神秘的な雰囲気を醸し出します。
しかしながら、この風景は山の元々の姿ではありません。実は、昭和30年代の伊勢湾台風が原因です。この台風によって、多くのトウヒが倒れて、ミヤコザサが繁茂し、鹿による食害が進行した結果なのです。
苔むす鬱蒼とした森がトレードマークだったこの山も、生態系の変化により、このような殺伐とした原っぱへと変わりました。その立ち枯れの「牛石ヶ原」や「正木ヶ原」が、現在、「大台ヶ原」の象徴的な風景となっているのも何だか皮肉な話ですね。
写真:土庄 雄平
地図を見るさて、この「大台ヶ原」ですが、天気がとても変わりやすいのでプランニングには注意が必要です!降水確率が0%の日でも、雨が降ったり霧が出たりすることは日常茶飯事です。
雨の場合は、巻き道を使って引き返すのもアリですが、霧の場合はそのまま歩いてみてください。なぜなら、霧が出ているが故に、風景に味が出るからです。修行の山としての荘厳な雰囲気を纏いますね。これは大峰並びに台高山地ならではでしょう。
写真:土庄 雄平
地図を見る「奈良吉野国立公園」の最深部であり、関西きっての秘境である「大台ヶ原」には大自然が根付きます。新緑がとても美しく圧倒的なスケールで展開し、思わず息を呑む絶景を見せてくれます。しかしながら、その反面、非常に繊細な生態系を有しており、そのバランスが崩れた姿も垣間見られます。
ともすると、これは「一度破壊された自然が元の姿に戻るのは難しい」という、私たちに対する自然の意思表示ではないでしょうか?大台ヶ原を歩くことで、秘境の大自然に癒されながらも、その自然と我々の向き合い方についても考えるきっかけになるでしょう。
住所:奈良県吉野郡上北山村小橡
電話番号:07468-3-0312
アクセス:大阪・京都・奈良から電車とバスで3時間半〜4時間ほど。大和上市駅で電車からバスへ乗り換え(関連MEMOをご参照)。橿原市・五條市から車で1時間半。
2019年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/3/19更新)
- 広告 -