写真:風祭 哲哉
地図を見る北緯45度25分03秒、稚内駅は日本最北端に位置する最果ての駅。
駅構内には「日本最北端の駅」「最北端の線路」「東京駅から1,574.5km」といった看板が立ち並んでいます。
現在、駅舎は「キタカラ(KITAcolor)」という複合施設となり、道の駅わっかないやバスターミナル、売店や飲食店、映画館なども入った意外にも(?)都会的な新しい建物になっています。まずは駅窓口で「日本最北端の駅来駅証明書付き記念入場券」をぜひ購入しましょう。
写真:風祭 哲哉
地図を見る稚内の駅前には小さなアーケード街もありますが、人通りは少なく、見るからに最果ての寂しい商店街そのもの。稚内駅があるのは「稚内市中央」という住所なので、ここが稚内の中心市街地と思われがちですが、実は南稚内駅の周辺が稚内最大の繁華街となっています。
南稚内には居酒屋やスナック、ファミレスや全国チェーンの専門店などが並び、ここも意外にも想像していた稚内のイメージはありません。食事や酒席で夜の街に繰り出すなら南稚内の方が楽しめますが、イメージ通り「最果て感」あふれる体験がお好みであれば稚内駅周辺がおすすめです。
写真:風祭 哲哉
地図を見るさて、稚内市街の見どころは稚内駅のすぐ北にある「稚内港北防波堤ドーム」。戦前、稚内から樺太への連絡船が運航していた頃、ここに稚内桟橋駅がありました。このドームは樺太へ渡る乗客や鉄道施設へ波の飛沫がかかるのを防ぐため建設された防波堤です。
古代ローマの建築物を思わせる美しい回廊は世界でも類を見ない独特の景観と構造と言われ、現在は北海道遺産に指定されています。
<稚内港北防波堤ドームの基本情報>
住所:北海道稚内市開運1丁目
写真:風祭 哲哉
地図を見る稚内に来たらぜひ体験してほしいことがあります。それは午前中、JR宗谷本線に乗って抜海駅まで往復する小旅行。稚内に乗り入れる列車は現在1日6〜7往復と、最盛期に比べ激減してしまいましたが、幸いなことに午前中は小旅行に使える普通列車が走っています。
抜海(ばっかい)駅は稚内から2駅、普通列車のみが停車する無人駅ですが、その名の通り、途中の車窓からは海を射抜くかのような絶景を望むことができます。
写真:風祭 哲哉
地図を見る稚内を出発し、南稚内駅を過ぎると市街地は消え、列車はサロベツ原野の中へと突入します。人工物の何一つない荒涼とした原野の中をしばらく走ったかと思うと、突然(しかも一瞬)海の上に放り投げられたような開けた場所に出て、天気がよければ目の前に見事な利尻富士が現れます。
北海道、いや日本でも指折りのこの絶景車窓に出会うためであれば、わざわざ列車に乗る価値は十分にあります。列車で稚内を訪れた人でも、ぜひこの午前中の景観を体験してみてください。午後は逆光となりこれほど美しい利尻富士を拝むことはできません。
写真:風祭 哲哉
地図を見る2019年4月現在、行きは稚内発10:27で抜海着10:44、帰りは抜海発11:49で稚内着12:08の列車で往復が可能です。抜海駅で1時間ほど時間がありますが、片道1キロほど歩けば海岸沿いに出ますので、サロベツ原野の向こうに利尻富士を望む景観を楽しむこともできます。
<抜海駅の基本情報>
住所:北海道稚内市抜海村字クトネベツ
写真:風祭 哲哉
地図を見る午後は稚内で一番メジャーな観光地、宗谷岬へ。宗谷岬へは路線バスもありますが、その他の観光地をめぐるには半日レンタカーが便利です。
宗谷岬の先端には北緯45度31分22秒、「日本最北端の地の碑」があり、条件がよければ正面には43キロ先にあるサハリンの島影を望むことができます。荒天であればまさに最果てすぎて気がめいってしまいそうな場所ですが、晴れていれば意外と開放感がありますね。
<宗谷岬の基本情報>
住所:北海道稚内市宗谷岬3
写真:風祭 哲哉
地図を見る宗谷岬のすぐ裏手の高台には展望台や宗谷岬灯台、草原の中のモニュメントなどがあり、広々とした公園となっています。
中でもひときわ目立つのが「祈りの塔」。これはかつて大韓航空機撃墜事件がすぐ近くのサハリン海域で起きたことがきっかけで建てられたもの。塔には遭難者の慰霊と世界の恒久平和を願う碑文が刻まれています。
写真:風祭 哲哉
地図を見るここは宮古島?それとも波照間島??
まるで南国の島に迷い込んでしまったかのような青空に向かってまっすぐに伸びる美しく白い道・・・。
これ、稚内なんです。
宗谷岬から少し南へ戻り、宗谷村の小さな集落から丘陵の上へと向かう途中にあるのがこの「宗谷の白い貝殻の道」。
写真:風祭 哲哉
地図を見る実はこの道が白いのは、一面に貝殻が敷き詰められているから。
宗谷地方はもともとホタテの産地。宗谷丘陵フットパス(散策のための小径)を整備する際に、かつては産業廃棄物として捨てられていたその貝殻を撒いたことによりこの「白い貝殻の道」が誕生しました。
何もない原生林の中を、空に向かって続く真白な一本の道は、いつしかフォトジェニックなスポットとしてブレイクし、現在では稚内の定番観光スポットとなっています。
写真:風祭 哲哉
地図を見る宗谷の白い貝殻の道、実はその先もすごいのです。
まっすぐな一本道の坂を上り、ゆるやかに右にカーブすると現れるのはまるで美瑛の丘のような雄大な風景。両側には一面緑の牧草地、遠くの丘陵の上には巨大な宗谷の風車群、そして振り返ると眼下には遠くサハリンへと続く海。
どんより曇って強い風が吹き付けている、最果ての宗谷岬のイメージとは180度違うギャップは、稚内最大の意外なスポットです。
写真:風祭 哲哉
地図を見る稚内1日観光の最後は市内の高台に広がる稚内公園。眼下には稚内の市街が広がり、晴れた日にはサハリンまで望むことができる絶景の地で、広大な敷地には公園のシンボル「氷雪の門」や「九人の乙女の碑」などのほか森林公園、稚内市開基百年記念塔などが点在しています。
<稚内公園の基本情報>
住所:北海道稚内市稚内村ヤムワッカナイ
写真:風祭 哲哉
地図を見る氷雪の門はかつてこの地から樺太(サハリン)に渡り、戦後ここに戻れずに亡くなった人々の霊を慰めるために作られたもの。高さ8メートルの門の間に立つ女人像は、氷と雪のなかできびしく生き抜いた人々を象徴しています。
また氷雪の門の横には太平洋戦争末期、ソ連軍の侵攻を受けて樺太の真岡郵便局で自決した9人の電話交換手の女性を鎮魂する「九人の乙女の碑」が建てられています。最果ての国境の町、稚内には辛く悲しい記憶も残されています。
写真:風祭 哲哉
地図を見る時刻はまもなく夕刻を迎える頃。公園からの眺望は市街の東に向いているため夕日を望むことはできませんが、稚内公園にはまるで中空へとダイブするような絶景ブランコがあります。
最後はこのブランコに乗って眼下に広がる稚内の町と、その向こうの宗谷海峡、そして遠くサハリンを望みながらこの稚内1日観光を締めくくりましょう。
サロベツ原野に宗谷岬。最果ての旅情はもちろんのこと、南国の常夏の島を思わせるような絶景地もある稚内。利尻や礼文への乗り継ぎ地として訪れる方が多く、こうして1日かけてゆっくりと観光するイメージはないかもしれませんが、稚内はご覧のようにさまざまな魅力のある町です。
ぜひこの最果ての地で、ホンモノの旅情も意外な絶景地も両方楽しんでみてください!
2019年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2023/11/29更新)
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