童謡詩人「金子みすゞ」を育んだ海の町、山口県長門市仙崎

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童謡詩人「金子みすゞ」を育んだ海の町、山口県長門市仙崎

童謡詩人「金子みすゞ」を育んだ海の町、山口県長門市仙崎

更新日:2014/04/24 12:53

池口 英司のプロフィール写真 池口 英司 フリーライター、フォトグラファー 日本写真家協会(JPS)会員

山口県長門市北部の、日本海に面した漁港の町、仙崎。古くから漁業、海運の中心として栄えてきたこの町は、童謡詩人・金子みすゞの故郷としても知られています。彼女は生涯に512編の詩を創りましたが、そのどれもが自然や生き物への慈愛に満ちたものでした。そして、彼女の詩の中に出て来る海や町の風景は、どれも仙崎のものを謳ったものであると言われています。そんな仙崎を訪ね、金子みすゞの詩に思いを馳せてみましょう。

仙崎の豊かな自然に育まれた童謡詩人

仙崎の豊かな自然に育まれた童謡詩人

写真:池口 英司

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朝焼小焼だ 大漁だ
大羽鰮(イワシ)の 大漁だ。

浜は祭りのようだけど
海のなかでは何万の
鰮(イワシ)のとむらいするだろう。

金子みすゞの代表作の一つとして知られる「大漁」という詩です。(改行の位置などは適宜変更させて頂き、ルビを追加しました)漁業の町が喜びに溢れる大漁という出来事の中で、しかし、みすゞは、海で多くの命が失われたことを悲しみます。

明治36年に仙崎に生まれたみすゞは、子供時代をこの地で過ごしました。彼女の作品の中には「木の間に光る銀の海、私の町はそのなかに、竜宮みたいに浮かんでる」と、仙崎の町を謳ったものもあります(王子山)。仙崎の豊かな自然が、彼女の繊細な心を育んだのであろうことは、想像に難くありません。

上の写真は町の中央を貫く「みすゞ通り」。右手に写っているのがみすゞの実家跡に建てられた「金子みすゞ記念館」です。

「金子みすゞ記念館」では彼女の部屋を再現

「金子みすゞ記念館」には、詩作に励んだのであろう彼女の部屋が再現された一室があります。明治末期のハイカラな部屋は、きっとこんな雰囲気だったのでしょうね。記念館には、いたるところに彼女の誌が掲げられ、一作一作をじっくりと鑑賞することができます。売店も併設されていますので、作品集や、お土産グッズを購入することもできます。


金子みすゞ記念館

開館時間 9:00〜17:00
休館日  12月29日〜1月1日
入館料  大人350円 小中高校生150円

「金子みすゞ記念館」では彼女の部屋を再現

写真:池口 英司

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今も大切にされているみすゞの心

いたるところに彼女の作品が掲げられているということであれば、それは記念館ばかりでなく、仙崎の町についても同様です。通りに面したあちらこちらに詩が掲げられ、この町の美しい点景となっています。彼女は結婚後を下関で過ごしていますが、結婚生活には恵まれず、26歳で自らの命を絶ちました。それでも彼女の心は、仙崎で今もこうして守られています。

今も大切にされているみすゞの心

写真:池口 英司

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みすゞの詩に登場する仙崎の海

もう一作、彼女の作品を紹介します。「鯨法会」という作品です。

鯨法会は春のくれ、
海にとびうおとれるころ。

はまのお寺が鳴るかねが、
ゆれて水面(みのも)をわたるとき、

村のりょうしがはおり着て、
はまのお寺へいそぐとき、

おきでくじらの子がひとり、
その鳴るかねをききながら、

死んだ父さま、母さまを、
こいし、こいしとないてます。

海のおもてを、かねの音は、
海のどこまで、ひびくやら。


仙崎は鯨漁の盛んな土地でもありました。静かで豊かな海は、人々に豊かな恵みをもたらしましたが、それとても、この繊細過ぎる童謡詩人には、悲しいことに映ったのかもしれません。

みすゞの詩に登場する仙崎の海

写真:池口 英司

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数々の観光スポットがある青海島も至近

仙崎の町のすぐ北側には、日本海で3番めの面積を持つという青海島があり、仙崎とは道路橋で結ばれています。島にはオートキャンプ場、ペンション、くじら資料館などの施設があり、いろいろなスタイルでのレジャーを楽しむことができます。下の写真は青海島にある「王子山公園」から見た仙崎の町。みすゞが「竜宮みたい」と謳った仙崎の眺めは、きっとこのようなものだったのでしょう。

数々の観光スポットがある青海島も至近

写真:池口 英司

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ゆっくりとした行程で充実の旅を

現代の旅行はクルマ利用が主流となっていますが、仙崎を訪れるのであれば、行き帰りの行程をゆっくりと楽しめる鉄道の利用もお薦めです。下関からはハイシーズンに、豪華な設備を備えた「みすゞ潮騒号」も運転されています。ただし、列車の運転本数は少ないので、帰りの列車の時刻は事前に確認し、行程を組んでおくことをお薦めします。

仙崎。そこには今も、薄幸の詩人を育んだ、澄んだ色の海と空が広がっています。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/04/20 訪問

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