リヨンの街で「ポール・ボキューズ」の足跡を辿る

リヨンの街で「ポール・ボキューズ」の足跡を辿る

更新日:2019/05/17 10:55

松田 朝子のプロフィール写真 松田 朝子 トラベルジャーナリスト、ライター
フランスの美食の首都といわれるリヨンには、20店の星付きレストランを含め、4000以上のレストランがあります。なので、カジュアルにもゴージャスにも、グルメの選択肢は豊富です。そんなリヨンでの食のシーンで忘れてはならないのが、フレンチの巨匠、ポール・ボキューズの足跡。今回は3つ星レストランから市場、そして食のW杯まで、リヨン旅で知っておきたいポール・ボキューズの名前の付いた施設をご紹介いたします。

53年間3つ星を取り続けるレストラン「ポール・ボキューズ」

53年間3つ星を取り続けるレストラン「ポール・ボキューズ」

提供元:L’Auberge du Pont de Collonges - Paul Bocuse/Lyon Tourisme et Congres

https://en.lyon-france.com/地図を見る

1965年から現在まで、53年間連続でミシュランの3つ星を獲得しているレストラン、「ポール・ボキューズ」は、リヨン中心部から車で30分ほど、コローニュ・オ・モンドール Collonges-au-Mont-d’Or という小さな町にあります。ソーヌ川沿いに瀟洒な住宅が立ち並ぶこの町は、ポール・ボキューズの生誕地。のどかな風景の中、レストランはひときわ目を引くカラフルな建物です。

53年間3つ星を取り続けるレストラン「ポール・ボキューズ」

提供元:L’Auberge du Pont de Collonges - Paul Bocuse/Lyon Tourisme et Congres

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料理人の家庭に生まれたポール・ボキューズは10代の頃から料理を志し、様々な一流レストランで修行をしたのち、1959年から実家である「ポール・ボキューズ」を継承。なのでこのレストランは、ポール・ボキューズの歴史そのもの。店内には彼にちなんだたくさんの装飾品や写真で溢れています。

世界中のVIPを迎えたこのレストランで、なるべくたくさんのスペシャリテ(看板料理)を食べたいところですが、1皿のボリュームがかなり多いので、オーダーはコースではなくアラカルトがお勧め。お腹と相談しながら、王道のクラシックフレンチを五臓六腑に染み渡らせたいものです。

ここを訪れることは、間違いなくリヨンの旅のクライマックスとなるはずです。

<基本情報>
住所:40 Rue de la Plage, 69660 Collonges-au-Mont-d’Or
電話番号:+33-4-72-42-90-90
営業時間:12:00〜13:30 20:00〜21:30

買い物と食べ歩きが楽しいポール・ボキューズ中央市場

買い物と食べ歩きが楽しいポール・ボキューズ中央市場

提供元:Jacques Leone/Lyon Tourisme et Congres

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リヨンの中心地パール・デュー駅の近くにある近代的なガラス張りの建物が、リヨンの中央市場、レ・アール・ド・リヨン・ポール・ボキューズ(Les Halles de Lyon Paul Bocuse)です。市場は1859年、別の場所でオープン。レ・アール(les Halles)というのは金属製の屋根付きの市場のことで、ここはリヨンで初めて建てられたレ・アールでした。

市場が今の場所に移転したのは1971年。そして2006年には、リヨン生まれのフレンチの巨匠、ポール・ボキューズに敬意を表し、レ・アール・デュ・リヨン・ボキューズ(Les Halles de Lyon Paul Bocuse)と名付けられ現在に至っています。

買い物と食べ歩きが楽しいポール・ボキューズ中央市場

写真:松田 朝子

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屋根付きの市場は、天候に左右されないためゆっくり買い物ができて、店の人にとっても訪れる人にとっても便利です。市場には、70以上の生産者を中心とした店舗があり、フレッシュで最高品質の食材が揃っています。また、買い物をするだけでなく、レストランやバーもあります。

買い物と食べ歩きが楽しいポール・ボキューズ中央市場

写真:松田 朝子

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おすすめなのは、買ったその場で食べられる牡蠣の店!別の店でワインなど調達しながら楽しめます。また、牡蠣以外にもデリやローストチキンなどその場で食べられるところが多く、お土産を買う目的で訪れたのに、ついついパン屋やチーズ屋などを味見しながらはしごしてしまうこと必至。

じっくり買い物もしたいという人は、先に済ませてから食事、という流れがお勧めです。お店は19時くらいに閉まってしまいますが、レストランはもうちょっと遅くまで開いています。

<基本情報>
住所:102 Cours Lafayette 69003 Lyon
​アクセス:リヨン・パール・デュー駅から徒歩5分
営業時間:(平日)7:00〜22:30 (日・祝)7:00〜13:00 月休

決勝の地、ポール・ボキューズ・ホール

決勝の地、ポール・ボキューズ・ホール

写真:松田 朝子

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また、ヨーロッパ屈指の規模のコンベンション会場、ユーロエクスポ・リヨンの一角には、「ポール・ボキューズ・ホール」と呼ばれる会場が!ここは、料理のワールドカップ、「ボキューズ・ドール(Bocuse d’Or)」と言うフランス料理のコンクールにおける決勝の地。

この大会は、「世界中の若いシェフ達を集めて料理を競わせ、ガストロノミー界のスターたちがジャッジをする。そして、それらをオーディエンスの前で行う」というポール・ボキューズの提案により1987年に創設された、2年に1度の料理のコンテストです。

それによって、従来は裏方だった料理人の厨房での作業を表舞台に引き出し、多くのスターシェフも誕生しました。料理がエンターテインメントとしても注目されるようになったのは、こういった背景があってのことなのです。

決勝の地、ポール・ボキューズ・ホール

写真:松田 朝子

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ボキューズ・ドールは回を重ねるごとに認知度が高まり、各国での国内予選、アジア・パシフィック、ヨーロッパ、ラテンアメリカなどの大陸予選を経て、勝ち抜いた24カ国の代表シェフが、2年に1度このリヨンで開催されるフランス本選に進むという仕組み。

料理人にとっては最も名誉あるこのコンクール、日本は1987年の第1回大会から参加している常連国で、2013年には3位入賞、直近の2019年では日本代表の高山英紀シェフ(メゾン・ド・タカ芦屋)のチームがアジアの中では最高位の7位で、6位のフランスに続きました。

決勝の地、ポール・ボキューズ・ホール

写真:松田 朝子

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リヨン市内から車で30分、14万平米ものユーロエクスポ・リヨンでは、ボキューズ・ドールと同時開催のsirha「シラ国際外食産業見本市」をはじめ、世界的に有名な展示会が年間を通して開催されています。リヨンを訪れる時は、ユーロエクスポでのイベントをチェックしていくといいですね。

<基本情報>
住所:Boulevard de I’Europe,69680 chassieu

リヨンの街を見守るポール・ボキューズ

リヨンの美食を巡るのであれば、関連MEMOの「有名シェフに学ぶ!フランス・リヨンでグルメ料理学校に体験入学」も含め、「ポール・ボキューズ」の名を冠した場所を頭に入れておくといいでしょう。それによって、フランス料理の歴史にも触れることができ、より深いところでリヨンの食を楽しむことができます。

リヨンまでは、パリ経由のエールフランス航空が乗り継ぎ等もスムーズです。機内ではエコノミークラスでも食前酒にシャンパンを楽しむことができ、長時間のフライトでは、セルフサービスのビュッフェも充実。フランス到着前から、ガストロノミーの伝統から受け継がれた食文化を楽しむことができます。

2019年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

取材協力:フランス観光開発機構、エールフランス航空、リヨン観光局、オーヴェルニュ・ローヌアルプ地方観光局

掲載内容は執筆時点のものです。 2019/01/26−2019/02/01 訪問

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