写真:乾口 達司
地図を見る「春日山遊歩道(かすがやまゆうほどう)」は、奈良の市街地の東方に控える「春日山(かすがやま)」周辺に設けられた人工の遊歩道。春日山は「御蓋山(みかさやま)」と「花山(はなやま)」の総称であり、春日山遊歩道は御蓋山と花山をぐるりとまわり込む形でのびています。
春日山遊歩道には、御蓋山の北側を若草山へとのびる「北コース」と、その南側から旧柳生街道と並行してのびる「南コース」とがあります。若草山へは北側ルートを利用しましょう。
写真はその出発地点。道路も舗装から砂利道に変わります。
写真:乾口 達司
地図を見る水谷川沿いに遊歩道をしばらく歩くと、車両は通行止めとなり、歩行者だけが歩ける山道になります。
自動車やオートバイを気にせずに歩けるのは、嬉しいですね。
写真:乾口 達司
地図を見る北コースの基点から小一時間。自動車が走る春日奥山ドライブェイに突き当たります。写真はその分岐点。ここから若草山の山頂までは、歩いて5分程度です。
ここからさらに春日奥山ドライブェイ伝いに南下し、「南コース」へ向かうこともできますが、若草山を目指すのであれば、これでおしまい。
急勾配の難所もなく、手頃なハイキングコースですよ。
写真:乾口 達司
地図を見る春日山遊歩道の魅力は、春日山に広がる森を眺めながら歩くことができるという点にあります。
特に春から夏にかけてはご覧のように樹木の青葉が美しく、森林浴を楽しめます。
写真:乾口 達司
地図を見るとりわけ貴重なのは、世界遺産にも登録されている国の天然記念物「春日山原始林(かすがやまげんしりん)」を眺めながら歩けること。
春日山原始林は春日大社の神域に広がる原始林。841年(承和8)以来、樹木の伐採が禁止されてるため、森林がほとんど手付かずの状態のまま残されており、植生を学ぶのにも格好のスポットです。
春日大社の神域であるため、一般人が域内に立ち入ることは許されてはいませんが、遊歩道からも鬱蒼とした原始林の様子を観察することができます。
写真:乾口 達司
地図を見るご覧のように、見上げるほどの高木の並木も各所に見られ、春日山遊歩道がいかに貴重な原始林であるか、おわかりいただけるでしょう。
写真:乾口 達司
地図を見る春日山原始林という歴史のある森林が広がっているだけあり、遊歩道沿いには、歴史を感じさせる石造物も残されています。
写真は遊歩道沿いの斜面に置かれた石仏群。仏さまの頭部を刻んだ石造物は「仏頭石」と呼ばれています。下部の石柱部分は六角形に面取りされており、それぞれの表面には観音さまなどが刻まれています。
その右隣、横倒しになった石の表面にも注目。表面にはお地蔵さまが刻まれています。お見逃しなく。
写真:乾口 達司
地図を見るこちらは水谷川のなかにある巨石。苔むしたその表面をよく見ると、太陽と月が刻まれているのが、おわかりいただけるでしょう。この意匠にちなんで「月日磐(つきひいわ)」と呼ばれています。
月日磐の位置する付近は、現在、奈良国立博物館の向かいにある氷室神社の旧社地であったとされ、古代はこの地に氷室を設け、氷を貯蔵したといわれています。
写真:乾口 達司
地図を見る遊歩道には、等間隔に「丁石(ちょうせき)」も据えられています。
丁石とは、一丁(約109メートル)ごとに置かれた目印の石標のこと。ふもとから山頂へと向かうに連れて、数字が増えていきます。
これを目印にして登っていくのも一計ですよ。
写真:乾口 達司
地図を見るゴールの若草山からは、奈良盆地を一望することができます。
森林浴を楽しめる上に、この雄大な眺めを堪能できるのは、春日山遊歩道ならではの魅力です。
写真:乾口 達司
地図を見るもちろん、奈良を代表する動物・鹿もいます。
若草山から南方を眺めると、円錐状の御蓋山が目に飛び込んできます。春日山遊歩道は、その手前の森林地帯をぬうようにして設けられているでした。
いかがでしたか?春日山遊歩道から若草山を目指すハイキングコースがいかに魅力的か、おわかりいただけたでしょうか。山頂までの所要時間も1時間足らずと手頃なため、春日山遊歩道をめぐりながら、森林浴をお楽しみください。
住所:奈良市春日野町
アクセス:近鉄奈良駅から徒歩約30分(北コースの基点まで)
2024年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
乾口 達司
これまでは日本文学や歴史学の世界で培った見識にもとづいて数多くの評論や書評を執筆してまいりました。奈良生まれ、奈良育ちの生粋の奈良っ子。奈良といえば日本を代表する観光地の一つですが、地元民の立場からい…
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