パワースポット・春日奥山(奈良)は自然の中のアートミュージアム!

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パワースポット・春日奥山(奈良)は自然の中のアートミュージアム!

パワースポット・春日奥山(奈良)は自然の中のアートミュージアム!

更新日:2014/04/22 18:44

ナツキのプロフィール写真 ナツキ きのこの文化研究家、博物学者

奈良市街から柳生の里へと抜ける滝坂道は、さながら夥しい磨崖石仏の野外ギャラリー。
渓流沿いの石畳の道を春日奥山まで、人と自然の響き合う無名アーティストたちによる仏像芸術の数々を半日かけて楽しんでみませんか?。

歴史街道・滝坂道は奈良を知る最高の散歩道

歴史街道・滝坂道は奈良を知る最高の散歩道

写真:ナツキ

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春日大社脇の能登川渓谷に沿う石畳の道は、柳生の里へと通じる歴史ある街道。
楓や杉の老樹が生い茂る風情溢れる沿道には、ごく無造作に石仏、磨崖仏が刻まれていて道行く人に語りかけてきます。

取り付きからしばらく行くと、崖から転んで横たわったままの大日如来像(通称・寝仏)がご挨拶。真上を見ると薬師・釈迦・阿弥陀・地蔵の4体が横一列に並んだ磨崖仏(通称・仏像岩)があり、この寝ころんぼ如来もかってはそこに在ったことがわかります。
この仏像岩の右手には等身大の美しい地蔵磨崖仏があり、これらを総称して里人は滝坂地蔵と呼んできました。

そこから真上にのぼったところの夕日観音は、柳生の里人が市(いち)の帰りに夕日に映えるこの像に感謝をこめて手を合わせたといわれます。いずれも鎌倉中期より南北朝時代の造立です。

この道中でとりわけ立派な磨崖仏は、渓流の向こう側の東面した高い崖に刻まれた朝日観音(写真)と呼ばれる弥勒と、左右の地蔵から構成される三尊像です。弥勒の像高は232m、地蔵の脇に文永2(1265)年の刻銘があり鎌倉時代の作。
亀裂の多い硬質の花崗岩からなる春日山は決して彫刻に適しているとはいえませんが、いずれの像も見事な造形美をほこっています。

滝坂道を登りきった三叉路は広場になっていて休憩所・トイレもあり、ここには荒木又右衛門が試し斬りをしたと言われる地蔵(通称・首切り地蔵)があり、辻地蔵の役割を果たしています。

春日山石窟仏は南都密教化の貴重な資料

春日山石窟仏は南都密教化の貴重な資料

写真:ナツキ

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広場の上の新池沿いにやや急な遊歩道を登ると、途中に像高121cmの阿弥陀磨崖仏(室町中期)と梵字の刻まれた岩があり、のぼりつめたところは小さな広場となっていて石切峠の穴仏(あなぼとけ)と呼ばれる春日山石窟仏に出くわします。

石窟は東西2窟から成り、平安時代後期の作とされています。
東窟の中央の石柱には顕教四仏を示す南都仏教諸尊が彫られ、その壁面にもかっては六地蔵、六観音だったと思われる仏像群が刻まれています。
西窟は、大日・阿弥陀・不空成就・宝生如来の金剛界四仏が刻まれ、両石窟の入口には四天王を配しています。
この当時、すでに南都仏教の地に密教系の石窟仏が造立されていた史実を伝える石の資料として貴重です。

彩色の施された地獄谷石窟仏

彩色の施された地獄谷石窟仏

写真:ナツキ

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穴仏の東側には春日奥山ドライブウェイがあり、その道を右に行くとややあって「地獄谷石仏」の表示に出会います。そこから距離的にはさほどでもありませんが、起伏の多い山道を登り降りすると突如として地獄谷石窟に出くわします。
古代の風葬地で石窟の高さは間口4m、高さ2.5m、奥行き3mほど。その奥壁には座高1mほどの如来像を中央に配し、向かって左に吉祥薬師像、右に十一面観音像が刻まれています。
東西の壁面にもそれぞれ坐像が線刻されていたと思われますが、囲われていてはっきりと確認できません。
しかし、これらの力強い線刻で描かれた仏たちは、かって彩色が施されていたとみえ、ところどころに顔料が残っており、一汗かいた苦労などすっ飛んでしまうほどの強烈な印象が残ります。

この春日山から笠置にかけての山岳地帯は、のちに役小角を始祖として体系化される以前の原始修験の霊地として、山林修行者たちが足しげく往来した土地柄だけに、一度は是非訪ねてほしいパワースポットです。

パワースポット・芳山(ほやま)を示す二尊石仏

パワースポット・芳山(ほやま)を示す二尊石仏

写真:ナツキ

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地獄谷石窟を後にして谷あいの道を辿りドライブウエィに出てしばらく行くと、誓多林集落へと下る手前に峠の茶屋があります。ここで名物のわらび餅でも食べて一服しましょう。
この茶店はかって武芸者が酒代のかわりに置いていったといういわくつきの槍や火縄銃が鴨居に無造作にかけられ、相当ご高齢のワンちゃんが物憂げに寝そべっています。

ここから柳生の里へ下りる手前の小祠を左にとり、杉木立の急坂を登りつめたところには高さ184cm、幅152cm、奥行1m余りの花崗岩石柱の如来像が立っています。これが芳山二尊石仏です。
奈良時代の作とみられ、二体は同じような如来立像ながら、よく見れば顔の表情や着衣の形姿が微妙に異なり石工の遊び心が感じられます。

春日奥山の芳山頂上は、ここからまだ10分ほど山道をたどった磐座群にあります。今は訪れる人のまれな芳山ですが、かっては強烈なパワースポットであったことが伝わってきます。

おわりに

春日奥山は近鉄・JR奈良駅からも近く、誰でも気軽に訪ねることのできる自然いっぱいのアート・ミュージアムです。
ここに挙げただけでも十分な数の磨崖仏ですが、滝坂道の脇に入るとまだまだ未発見の石仏が眠っているようにも思われます。
また、足に自信のない方でも春日奥山ドライブウェイで、タクシーやマイカーを利用すれば、さほど困難を感じずに地獄谷石窟や穴仏を観ることができます。
この隠れた穴場のパワースポット、是非訪ねてみてください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2012/08/24 訪問

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