中国の世界遺産「福建土楼」は古代のデザイナーズマンション

中国の世界遺産「福建土楼」は古代のデザイナーズマンション

更新日:2019/09/02 12:40

福建省といえば古来よりアモイ(厦門)や泉州をはじめとした港町を中心に海外貿易で栄えた華僑の故郷。海外各国に子孫を持つ福建省出身者ですが、逆に福建省の内陸部に留まり独自の文化を築いた人々もいます。彼らの共同住宅兼城塞である「土楼」はその機能性や環境と調和したデザインが評価され世界文化遺産に登録された、いわば古代のデザイナーズマンション。今回はその中でも評価の高い「田螺坑土楼群景区」を紹介いたします。

客家土楼とは

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土楼は「福建土楼」または「客家(はっか)土楼」と呼ばれますが、この客家というのは客家語を話す中国の民族のひとつ。古来より中国の華南地方で戦乱を避けながら移動をしてきた流浪の民であり、そのため東南アジア諸国にも華僑として移住した子孫も多いアクティブな人々です。

しかし一部の客家の人々は山間部に定住を決意します。その際、戦乱から身を守るために編み出したのが城塞を兼ねた共同住宅である「土楼」です。12世紀ごろから造られ始めた建造物ですがその堅牢な造りのために今も多くの土楼が福建省の山岳地域に残っています。

どうやってアクセスする?

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土楼へは厦門からのアクセスが最も簡単です。厦門はコロンス島の洋館など租界時代の異国情緒があふれる、福建省を代表する観光都市。中国国内からの移動はもとより日本からダイレクトフライトも多くあり、厦門までのアクセスもまた良好です。

山中に咲いた梅の花!?

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厦門市内からローカルバスやツアーバスで約4時間で世界遺産「田螺坑土楼群景区」に到着します。

まずはその見どころの一つである土楼群を上から眺める展望台に行きましょう。この方形を囲むように円形の土楼が連なるさまは梅の花に例えられます。見事な景観ですね。なおこのマンションは3階建てで、実はけっこう新しく最新の土楼は1963年に建築されたもの。

基本的に客家の人々は固まって暮らし、複数の一族が一つの土楼をシェアします。そして分家などで数が増えるとすぐ近くに新しい土楼を建てるため、こうして密集した土楼群が形成されるのです。

土楼の中に入れる「裕昌楼」

土楼の中に入れる「裕昌楼」
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田螺土楼群から5kmほど移動すると今度は1308年と古い時代に創建された「裕昌楼」に辿り着きます。もともと5氏族が集まって造った共同住宅で、さらに巨大な5階建て、各階に54部屋あるため合計270部屋の大型の土楼です。やはりこの規模ですとアパートというよりマンションですね。

ちなみに外側についているのは狭間、すなわち防衛時に中から攻撃するための小窓。360度どこから攻められても防御できる設計になっています。

土楼の中に入れる「裕昌楼」
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中では今も100人以上の客家の人々が暮らし、普通に洗濯物が干してあります。客家の人々は仏教や道教ではなく祖先を祀るための祖廟を大切にしており、共有の財産として真ん中に配置しすべての部屋がそれに面している美しい円形のデザインとなっています。なお本来この祖廟を囲むように環状の壁があったのですが、2003年に解体されています。残念!

それにしても700年以上暮らせるマンションですからとんでもなく堅牢ですよね。

土楼の中に入れる「裕昌楼」
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現在は一階部分は観光客向けの店舗として活用しており、特産品の茶葉や紙巻たばこを販売しています。

なお部屋はたくさんあれど入り口はひとつ。盗賊対策の防犯上の理由です。

塔下村も忘れずに!

塔下村も忘れずに!
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一通り土楼を見学したのち観光用の散策路を3kmほど歩いて、伝統的な村落風景の残る「塔下村」に向かうのがお薦めです。水路際のきれいでのどかな雰囲気の散策路ですから、歩いていて気持ちがいいですね。

塔下村も忘れずに!
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塔下村は一見して中国の農村風景に見えますが、ここも多くの土楼が見られる、れっきとした客家の村。ちょっとしたカフェやお土産屋もこの村にあります。途中で寄る「裕徳楼」では宿泊もできます。

塔下村も忘れずに!
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村の高台には不思議な列塔(剣!?)に囲まれた建物があります。これは「徳遠堂」と呼ばれる張氏の廟。この村の創建者一族の廟ですね。これをみてもやはり客家の文化は独特ですね〜

ちなみに今回紹介したスポットめぐりは、厦門駅向かいにある「悟村バスターミナル」2Fの厦門旅游集散センターなどで申し込む現地発着のツアー「南靖田螺坑一日ツアー(208元/人)」が便利です。ツアーバスで効率的に巡れますし、昼食もついてますからね。

それでは気を付けていってらっしゃいませ〜。

田螺坑土楼風景区の基本情報

住所:福建省漳州市南靖県書洋鎮
電話番号:+86-596-7880111
アクセス:高速鉄道駅「南靖」駅からローカルバスで「南靖バスターミナル」下車、土楼専用バスに乗り換え「土楼接待中心」へ。あるいは厦門から一日ツアーに参加

2019年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2019/04/23−2019/05/23 訪問

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