写真:島塚 渓
地図を見る臥龍山荘は、大洲の豪商、河内寅次郎(こうちとらじろう)が、構想を含め10年の歳月をかけて完成させた別荘。世界的にも、その評価は高く、2011年に発売された「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」では一つ星を獲得しています。
細部までこだわった贅沢かつ独創的な意匠は、大洲だけでなく、京都や神戸の職人たちの力を借りることで成り立っているんです。
写真:島塚 渓
地図を見る臥龍山荘は、「侘び・寂び」を感じる数奇屋建築の名作と言われています。もともと茶室にルーツを持つ数寄屋建築は、建材に竹や土壁を使用するなど、自然の素材をどう活かしているかが、ポイントになってくるんです。
写真:島塚 渓
地図を見る例えば、邸内に入ってすぐ目の前に広がる石垣は、石の大きさや整形を工夫して、変化に富んだ積み方となっています。また、石垣から突き出した木の幹は、もともと生えていたチシャの木を活かし、周りに石を積み上げていったことで生まれた光景なんです。
そして、奥に見える土管のような丸い建材は、なんと石臼!石垣のなかに、石臼が隠れているという、なんとも遊び心にあふれた仕掛けになっています。
写真:島塚 渓
地図を見る臥龍山荘の一番奥にある「不老庵(ふろうあん)」は、けっして見逃せない建物。大洲の歴代藩主が好んだ「臥龍淵」という場所の上に建っており、一部が崖からせり出しているため、当時から生えていた槇の木を利用して、柱にしています。地面から生えたままの幹を切って成長を止めることで、清水寺のように絶壁の上に建てることができるんです。
写真:島塚 渓
地図を見る不老庵の天井には竹で編んだ網代が使われており、かまぼこのような丸みを帯びた形になっています。これは船底の形を模し、建物そのものを船に見立てていると考えられています。
不老庵のなかから崖下を覗くと、コバルトブルーの水面と奇岩が姿を現し、まさに絶景という言葉にふさわしい眺めになっていますよ。
写真:島塚 渓
地図を見る山荘内にはいくつかの建物がありますが、母屋である「臥龍院」にも、面白いポイントがたくさん詰め込まれています。
一見すると、茅葺屋根の素朴な造りですが、明り取りの窓や棚など細部にわたるまで、こだわりいっぱいの設計になっているんです。
写真:島塚 渓
地図を見る7部屋からなる邸内は、機能的に間取りが考えられ、それぞれ趣が異なっているのが特徴です。
こちらの「清吹の間(せいすいのま)」は、別名「夏の間」と呼ばれ、暑い時期の使用を考えて造られています。北向きの風通しの良い窓と他の部屋よりも高く設計された天井、そして床には籐が敷かれ、涼しさを感じさせる工夫が随所に散りばめられています。
透かし彫りの欄間には、春を表す桜の花と筏など、水にちなむ四季それぞれの意匠を凝らした表現が取られており、見た目にも涼しさを感じることができるんです。
写真:島塚 渓
地図を見る全体的に落ち着いた雰囲気を醸し出しているのが、こちらの「霞月の間(かげつのま)」です。
掛け軸に描かれた富士山の前に、違い棚を配置することで、霞(かすみ)を表し、その右側にある丸窓を月に見立てているのがポイント。丸窓の奥から蝋燭がともされると、月明かりのように見え、この部屋の名前の通り、霞と月が表現されるという仕掛けです。
さらには、右上の壁の部分をあえて塗り残すことで、侘びの雰囲気を醸し出しているのも特徴です。これはもともと茶室にも使用される「下地窓(したじまど)」と呼ばれる技法で、農家風の風情を演出する仕掛けになっているんです。
住所:愛媛県大洲市大洲411-2
営業時間:8:30〜17:00(入場は16:30まで)
観覧料:大人500円、小人200円(中学生以下)
2019年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/3/19更新)
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