台東県の東南、台湾の最南端に位置する「蘭嶼(らんしょ)」は海底噴火によりできた火山島です。島の周りはサンゴ礁に囲まれていて、黒潮の通り道でもあることから魚が集まってくるため、ダイビングでも人気の島です。2018年に東京国際映画祭に出品された映画「海だけが知っている」の舞台でもあります。
タオ族の言葉で「Ponso no Tao(人の島)」と呼ばれている「蘭嶼(らんしょ)」の面積は、約45平方キロメートル。熱帯雨林気候に属し、平均気温は26度で、雨が多く多湿です。3月〜10月までが観光客が多い時期ですが、6月〜8月頃の台風の季節には船が出ないこともあるので、3〜5月頃がおススメです。
住んでいるのは原住民タオ(ヤミ)族がほとんどで、昔の伝統を守って暮らしています。現在もトビウオ(飛魚)祭りなどの伝統的なお祭りが行われていたり、昔ながらの地下に造られた家に住んでいるなど、本土とは異なる文化、風習を守っているので、文化風習を尊重し、マナーを守って旅行しましょう。原住民タオ族の人々は許可なく写真を撮られるのを嫌うため、人や民家や船などの写真を撮るときは先に一言「請問可以拍照嗎?」と聞くか、書いた紙を見せて許可を得るようにしましょう。
台東から飛行機でアクセスする方法もありますが、19人乗りの小さな飛行機で、予約できないことが多いため、船を利用する人が多いです。船は台東「富岡」埠頭と墾丁「後壁湖」埠頭から出ています。高雄駅から「後壁湖」埠頭までは乗り合いタクシー(片道350元)でアクセスできますが、事前に予約が必要です。「後壁湖」埠頭から蘭嶼までは約2時間の船旅です。(「後壁湖」埠頭からの船は3月〜10月頃までの運航です。)
乗船にはパスポート(台湾在住の外国人は居留証)が必要なことがあるので、携帯してください。「後壁湖」埠頭、そして船の中には売店などが何もないので、埠頭までの途中休憩の時に買っておきましょう。
「後壁湖」埠頭には乗船の30分ほど前に船が入ってきますが「本当にここから乗るの?」と思うような何もない縁の所に船付けされます。船が入って来る前に列に並んでから乗り込みましょう。上はビジネスシートになっていて快適ですが、特に料金に差がないので、船に乗ったら上の席へ行ってみてください。
途中デッキに出ると、周りは海だけで、島も何も見えず、少々不安になりますが、2時間半で美しい島が見えてきます!
民宿を予約すると船着場の開元港まで民宿の方が迎えに来てくれます。また、民宿でレンタルバイクなども手配してもらえます。
レンタサイクルは少ないので、自転車を借りたい人は事前に民宿の人に頼むか折り畳み自転車を持って行きましょう。島の道には信号もなく、きれいに舗装されていない所も多いので、あまりスピードを出さないようにするなど、十分気をつけてください。
島内にはセブンイレブンが二店舗ありますが、ATMもほとんどなく、カードが使えるお店もほとんどないので、現金を持って行きましょう。
島内には、椰油部落、漁人部落、紅頭部落、野銀部落、朗島部落、東清部落の6つの部落があります。まずは、島内をバイクで一周してみましょう。島の南西にある青青草原は、珊瑚礁の大地が盛り上がってできた草原でとても美しい絵のような風景が広がっています。海を眺めながら広大な草原の中で、虫の声や草や木の葉の擦れ合う音などを聞くことができて、とても癒されるスポットです!夕日を鑑賞するスポットとしても知られています。
原住民文化を理解するなら「蘭恩文物館(蘭恩文化園区)」がおススメ。入場料100元がかかりますが、資料や文物が展示されていて、タオ族の文化について知ることができます。受付でお願いすれば、詳しくて親切なタオ族のスタッフに中国語でガイドしてもらえます。
一般の民家にはなかなか立ち入ることができませんが、伝統家屋「地下屋」が再現されたものもあり、ここなら自由に立ち入って写真を撮ることができます。「地下屋」は暑さや台風をしのぐために半地下に建てられた家です。今この伝統家屋が残っているのは野銀部落、朗島部落だけと言われています。
民宿ではいろいろなアクティビティを行っていて有料で参加できます。夜の生態観察はガイドさんの後についてバイクで移動し、自然の中に入っていくアクティビティ。蘭嶼コノハズクやカタゾウムシなどが観察できます。
夜に咲くゴバンノアシの花は、朝に散ってしまうという花。実が四角形で碁盤の脚に似ていることからつけられた名前です。墓地の近くに多く、陰湿な環境でよく育つので、タオ族の人々にとって不吉な木とされています。木の枝や花などを民宿に持ち込んだり、船に置いたりしないようにしましょう。蘭嶼内の動植物は台東県政府の規定により、持ち出し禁止となっていますのでご注意ください。
漁業を生業とするタオ族の人々にとってトビウオは重要なタンパク源です。トビウオ祭りが行われる2月末から10月まではトビウオのシーズンで、この時期にもタブーがあります。この時期、女性は船に触ってはいけないことになっています。また、収穫量がよくないと連想させるため、漁に出る男性に「トビウオを捕りに行くんですか」と聞いてはいけないことになっています。タオ族の人々は伝統的な風習が終わった後になってはじめて他の人に告げるためです。
写真の伝統の木船「チヌリクラン」は、漁労用の船です。釘などを使わず木の板を組み合わせて作られる「寄せ板造り」で、波や船の目などの模様は昔は自然の塗料を使っていたので海に入ると模様が消えてしまったのだそう。現在はペンキで色が落ちないようになっています。赤、白、黒のインパクトのあるとても美しい船です。この模様はタオ族の建築や祭祀用具にも描かれています。
トビウオは1年中食べられますが、2月〜6月頃までがトビウオ漁のシーズンで、7月〜9月頃には漁が終了します。新鮮なトビウオは、一匹まるまる揚げたものをレストランでいただくことができます。しっかり塩などで味がついているものと別に自分でつけて食べるものがあります。淡白な白身でとてもおいしいです!
東清部落にある島唯一の夜市で売られている特産のタロイモの揚げ物。オーダーすると揚げてもらえるのであつあつをいただけます。本土のタロイモと違ってあまり粘りがないので、食べやすいです。サツマイモの揚げ物に梅の粉をかけてもらうのもおススメ!おやつにピッタリです。
開元港を北側に進み、セブンイレブンの前にも屋台がでています。工芸品などのお土産もここで探すことができます。その中の屋台で売られている新鮮なトビウオの卵入り腸詰め(写真左)は、プチプチした食感が楽しめるここだけのグルメ。ぜひ味わってみてください!
お土産にはトビウオを、と思われる方も多いと思いますが、一夜干しなどは要冷蔵のものが多く、日持ちしないことも。乾燥して加工されたトビウオの「飛魚乾」は、1ヶ月ほど日持ちします。甘く、ソフトな食感でおつまみにピッタリ。このほか、ご飯にかける田麩(でんぶ)などもあります。「蘭嶼人人特産店」で購入できます。
海風に吹かれながら、風の音、セミの声に耳を傾けると都会では聞くことのできない自然の声が聞こえてきます。毎日のように流れ星が観賞できると言われる美しい星空も楽しむことができて、まるで別世界に来たかのよう。なつかしい草の香りに昔を思い出したり、自然を満喫できるステキな島です。
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(2024/4/20更新)
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