写真:塚本 隆司
地図を見るJR七尾駅から御祓(みそぎ)川沿いを七尾湾に向かって徒歩5分。ひときわ紅い欄干の橋が現れる。まつりの橋「仙対橋(せんたいばし)」だ。
一本杉通りの入り口でもあり、毎年ゴールデンウィーク中の五月に行われる「青柏祭(せいはくさい)」という千年以上の歴史をもつ祭りの舞台。能登の方言で「でっかい山車」をさす「でか山」と呼ばれる三台の山車がここで揃い踏みをするという。
この橋を渡れば一本杉通りだ。600年以上も昔・室町時代にはメインストリートであったが、今は海岸と平行にはしる何本かの通りのひとつにすぎない。50軒ほどの店舗が建ち並び、切妻造(きりづまづくり)の古い家屋が数軒あるのだが、ここには人を惹きつけて離さない魅力がある。
写真:塚本 隆司
地図を見る一本杉通りを歩くと目に入るのが、どこか懐かしさを感じる街並だ。5軒の国登録有形文化財に指定された建物がある。だが、建物だけがこの通りの魅力ではない。建物は、その地の生活・文化が残したものにすぎないのかもしれない。
この通りは、住む人らとのふれあいを大切にする「ふれあい観光 語り部処」だという。通りに点在する「語り部処」では、主人、女将、従業員、おばあちゃん目線での、一本杉通りの魅力や歴史・暮らしを聞き、体験できる観光があるのだ。
写真は、明治37年頃に建てられた国登録有形文化財のひとつ「北島屋茶店」。茶の間でまちおこしの話などを聞くことができる。また、茶磨(ちゃま)挽き体験で挽きたてのおいしい抹茶を点てて楽しめる。
写真:塚本 隆司
地図を見る江戸時代から明治にかけて、物流・人流の一躍を担ったのが北前船。北陸以北の日本海沿岸諸港から、下関を経由して瀬戸内海に入り大坂へと向かうその主な荷は、昆布やニシンなどに代表される海の幸だ。ここ七尾は、北前船が寄港地する天然の良港として発達した歴史がある。
一本杉通りにある「昆布海産物處しら井」は、当時の町家商家を思わせるような店内で、どこか懐かしさも感じる造りとなっている。たちこめる昆布の香りもたまらなく、必ず訪れて頂きたい場所だ。
国産・手づくりにこだわった昆布巻は絶品であり、お土産としても喜ばれること間違いない。
ここでは、北前船の寄港地七尾ならではの昆布の話を聞くことができる。
写真:塚本 隆司
地図を見る「一本杉通り」のいわれは、街道筋にあった一本杉が、人々に「出会いの一本杉」と呼ばれていたことに由来するという。まさに“人”とのふれあいを大切にしてくれる観光がここにはある。語り部処は20数軒。その店のもつ歴史や文化を話してくれるような街は他にないだろう。詳しくは「能登・七尾 一本杉通り公式サイト」をご覧頂きたい。
写真は、国登録有形文化財のひとつ「鳥居醤油店」。明治38年の七尾大火後に焼失し、明治41年に再建された土蔵造りの数少ないひとつ。醤油づくりの話などが聞ける。
写真:塚本 隆司
地図を見る幕末から明治にかけて、加賀藩の領地である加賀・能登・越中で見られた庶民の風習「花嫁のれん」。
婚礼の日、花嫁は生家の水を竹筒に入れて持参する。嫁ぎ先の水も竹筒に入れられており、玄関先にて花嫁の持つ盃に同時に注がれ、花嫁が飲み干す。その盃を花嫁の親代が割るという「合わせ水の儀式」がある。そして、花嫁が持参した実家の紋入りの「花嫁のれん」を花婿の家の仏間の前でくぐり、お参りを済ませてから婚礼が始まるのだという。
この「花嫁のれん」は時代ごとの流行り廃りがあるようだが、何より婚礼という、それぞれの家にとっての一大物語が存在するわけである。
4月29日から母の日まで、一本杉通りを会場に「花嫁のれん展」が開催される。今や10万人の来場者がある人気のイベントだ。百数十枚もの花嫁のれんが商家や民家の屋内に飾られ、のれん一枚一枚にまつわる“親の思い”が聞けるだろう。詳しくは「花嫁のれん展公式サイト」をご覧頂きたい。
写真は常設展示場「花嫁のれん館」にて撮影。
ひとつひとつ丁寧に取り上げたいと思える物語がある能登七尾・一本杉通り。だが、ここは観る観光ではなく、ふれあい観光だ。訪れる人それぞれの出会いが、この通りの魅力なのだ。何気なく話しかけて歩けばいい。自分のスタイルで街の人とのふれあいを楽しむ旅。きっと印象深い旅になるはずだ。
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(2024/3/19更新)
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