有明海と雲仙を臨む鈍行旅!長崎・島原鉄道の魅力

有明海と雲仙を臨む鈍行旅!長崎・島原鉄道の魅力

更新日:2019/07/06 09:47

澁澤 りべかのプロフィール写真 澁澤 りべか 西洋史ブロガー
長崎県島原半島の海沿いを走る島原鉄道は2019年に創設111周年を迎え、その歴史を語るラッピング車両も登場しました。いまだ電化されていないたった1両のかわいいワンマン車両。左手に有明海、右手に雲仙。海に最も近い、大三東(おおみさき)駅には幸せの黄色いハンカチ。やがて現れるのは、島原の乱で一揆軍の猛攻を退けた島原城の雄姿…。
飽きることのない車窓からの眺めは、レンタカーと違った魅力がありますよ。

島原半島の北東部をぐるり

島原半島の北東部をぐるり

写真:澁澤 りべか

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長崎県の島原半島は雲仙温泉や島原城、名物の「かんざらし」や「具雑煮」など、魅力あふれる土地です。
その島原観光に欠かせないのが島原鉄道、いわゆる島鉄。まだ電化されておらず、ディーゼルエンジンで走っています。つまり架線がありません。

始発駅は諫早。2018年に全面改築され美しく生まれ変わった諫早駅の2階に、島原鉄道専用の乗り場があります。終点の島原外港までは有明海に沿ってぐるっと1時間20分ほどの旅。

島原半島の北東部をぐるり

写真:澁澤 りべか

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島原鉄道は令和元年つまり2019年の5月5日に創設111年を迎えました。その歴史を特集した記念雑誌も刊行されています。諫早駅のホームの壁には島鉄の歴史が書かれていて、111周年を記念するラッピング車両も運行中。

車両の側面に「日本の1号機関車が走った島原鉄道」とあります。また諫早駅のホームには「日本初の蒸気機関車が走った島原鉄道」と書かれています。これはどういう意味でしょう?

島原半島の北東部をぐるり

写真:澁澤 りべか

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日本で最初に鉄道が開通したのは、ご存知のように新橋・横浜間。1872年10月14日のこと。そして実は、島原鉄道開業の際に導入された中古車両こそ、新橋・横浜間開業時に使われた蒸気機関車だったのです。だから島原は“日本初の蒸気機関車”が走った町、というわけ。

中でも客車を牽引する1号機関車は1930年に島鉄を引退した後、重要文化財となり、現在は埼玉県にある鉄道博物館で見ることができます。

山と海の両方が楽しめる車窓

山と海の両方が楽しめる車窓

写真:澁澤 りべか

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ラッピング車両の内部は、どこを見ても島鉄の歴史と写真だらけ。窓辺に据えられた小さな棚にまで、1つ1つ異なるエピソードが書かれています。

ひときわ目立っている人物は島鉄の初代社長「植木元太郎」。初代島原市長でもあり、鉄道敷設を通じて地元島原の発展に尽力し、自らを“鉄狂斎”と称していました。

山と海の両方が楽しめる車窓

写真:澁澤 りべか

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出発するとすぐ左手に有明海が、やがて右手には雄大な雲仙山系が現れます。雲仙普賢岳は1990年に噴火したことでよく知られています。島鉄は雲仙のすそ野を弧を描いて進んでいくので、山の形がどんどん変わり飽きません。

出発から約50分。多比良町駅は高校サッカーで有名な国見高校の最寄り駅。海側のホームにはサッカーボールのオブジェがありますので、お見逃しなく。また駅からすぐの多比良港は熊本の長洲港とフェリーでつながっています。

山と海の両方が楽しめる車窓

写真:澁澤 りべか

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次の見どころは大三東(おおみさき)駅。海側のホームに願い事を書いた黄色いハンカチがたくさんはためいています。往年の映画のワンシーンを彷彿とさせますね。

大三東駅から15分ほど歩いたところにある「大野原遺跡展示館」では縄文時代後期の遺物などを見ることができます。

車内放送(録音)で、周辺の見どころ案内をしてくれるのは地元の高校生。国見高校や島原商業高校の放送部によるものです。

島原外港からカモメと一緒に熊本へ!?

島原外港からカモメと一緒に熊本へ!?

写真:澁澤 りべか

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島原駅からは雲仙を背負った「島原城」がきれいに見えます。駅舎もお城のような造りですので、駅を出たら忘れずに振り返ってみてください。ここは島原城をはじめ、見どころが集中しているエリアです。

次の南島原駅の近くには「坂本龍馬入港の地」のモニュメントがあります。1864年(元治元年)に龍馬と勝海舟がここ島原内港に上陸しました。龍馬ファンには、ここからタクシーで15分ほど南へ行ったところにある「サムライブルー龍馬像」もおすすめ。2010年のW杯のために作られ、以前代々木競技場にあった、高さ10メートルの像。日本代表のユニフォーム姿で、サッカーボールに足をかけている龍馬に会えます。

島原外港からカモメと一緒に熊本へ!?

写真:澁澤 りべか

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島鉄の終点が島原外港。ここからさらに半島南部の世界遺産「原城跡」やイルカウォッチング、また雲仙温泉へ行くなら島鉄バスが便利です。

写真はフェリー乗り場。その駐車場のすぐ横に、実はひっそりと足湯があります。「島原温泉源」と書かれていて、湧いてくる温泉を飲むこともできますよ。

島原外港(島原港)は熊本港や、世界遺産「三池港」ともつながっていますので、熊本や福岡方面からは今回のルートを逆にまわって島鉄の旅をお楽しみください。

島原外港からカモメと一緒に熊本へ!?

写真:澁澤 りべか

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島原外港から熊本港までは2社の船が運航しています。熊本フェリーの高速船に乗ればたった30分で到着。まさにあっという間。

一方、所要1時間の九商フェリーなら、ゆっくり進むため船の横をずっとカモメたちがついてきます。船内でカモメのエサも売っていて、餌付け体験ができるのが子供たちに大人気。野生のカモメが至近距離に!九商フェリー下船後は熊本港から熊本駅への無料シャトルバスも利用できます(要予約)。島原観光のあとは熊本観光もいいですね。

島原鉄道での〜んびりゴトゴト列車旅

いまや珍しいディーゼルエンジンのゴゴゴゴー!という音。穏やかな有明海。その向こうに見える島々や熊本。絶えず姿を変える雲仙の山並み。島原観光に行く前に、ぜひ鈍行の旅を満喫してくださいね。

2019年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2019/04/25 訪問

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