名作『次郎物語』はここで生まれた!東京・小金井の浴恩館公園を歩く

名作『次郎物語』はここで生まれた!東京・小金井の浴恩館公園を歩く

更新日:2019/06/09 19:43

藍色 しっぽのプロフィール写真 藍色 しっぽ
皆さんは下村湖人作『次郎物語』を読んだことがありますか?幼少期に里子に出された主人公・本田次郎の幼少期〜青年までの成長を描いた長編小説で、学校の国語の時間や図書館等で読んだ方も多いと思います。その『次郎物語』が生まれた場所が、東京・小金井市の浴恩館です。本日は、古き良き時代の面影が残る浴恩館公園をご紹介します。
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下村湖人と『次郎物語』

下村湖人と『次郎物語』

写真:藍色 しっぽ

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下村湖人とは、明治〜昭和にかけて活躍した小説家です。生まれて間もなく里子に出されましたがほどなくして実家に戻り、幼年期〜高校までは主に佐賀で、大学入学以後は東京で生活を送りました。本名は下村 虎六郎(しもむら ころくろう)。ペンネームである「湖人」は、ウォルター・スコットの代表作『湖上の美人』からとったとされます。

下村が自身の代表作である『次郎物語』の執筆を始めたのは1941年。里子に出された次郎の青年期までの成長を描いた、下村の自伝的小説ともいえるこの小説は、1954年に彼の死により未完となりましたが、児童文学として今日まで多くの学生に親しまれてきました。

下村湖人と『次郎物語』

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その『次郎物語』の構想が練られたのが「浴恩館」です。浴恩館は1928年、京都御所で行われた昭和天皇即位大嘗祭の神職の更衣所を、財団法人日本青年館が譲り受けて小金井市に移築したものです。1931年から全国の青年団の指導者層が集まり、寝食を共にして人間形成をする青年団講習所として機能しました。

1933年に講習所の所長に就任した下村は、全国から集まる若き講習生たちと語らうことで『次郎物語』の着想を得ていきました。
現在、かつての講習所は市の文化財センターにその姿を変えましたが、建物の外観や浴恩館公園の自然はそのままに、現在でも学生や地元の人々、文学好きの全国各地からの旅行者が訪れる人気のスポットとなっています。

自然がいっぱい、美しい四季が楽しめる浴恩館公園

自然がいっぱい、美しい四季が楽しめる浴恩館公園

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浴恩館公園の魅力は、なんといってもその美しい自然。敷地内に入ると、木漏れ日の差し込む緑豊かな公園が広がります。落葉樹が多く、春には新緑、秋には紅葉といったように、一年を通じて景観の移り変わりを楽しめるのもポイントです。

自然がいっぱい、美しい四季が楽しめる浴恩館公園

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特に美しいのは、裏にある庭園です。こちらには池があり、春には枝垂れ桜が満開となります。夏・秋には比較的涼しくなるので、散策にはもってこい。木々の葉が強い日差しを防いでくれ、優しい虫の声を聴くことができます。

自然がいっぱい、美しい四季が楽しめる浴恩館公園

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また、公園内には多摩川水系野川の支流である仙川が流れており、その上に小さな太鼓橋がかかっています。この橋は『次郎物語』にちなみ「次郎橋」と名付けられており、浴恩館公園内の景観を撮影するのに絶好の場所となっています。おすすめは紅葉が見ごろの11月ごろ。オレンジや黄色など、彩り豊かな風景写真はSNSでもきっと映えることでしょう。

珍しい民具にあの名画家の作品も!文化財センター

珍しい民具にあの名画家の作品も!文化財センター

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浴恩館公園内には、市史跡に指定されているスポットがいくつかあります。その一つがこちらの文化財センター。凛としたたたずまいが特徴の由緒ある建物です。

ここでは主に、来館者に身近な郷土の歴史に親しんでもらうことを目的として、さまざまな文化財を保存・展示しています。

珍しい民具にあの名画家の作品も!文化財センター

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特に目を引くのは、野川周辺や現在の貫井から出土した土器や石器です。これらは旧石器時代や縄文時代に使われたものが多く、小金井という地域の歴史の深さをうかがわせます。

珍しい民具にあの名画家の作品も!文化財センター

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また小金井といえば「小金井桜」。戦前の花見の際には場所取りをめぐり、時には死者が出たこともあったという名高い小金井の桜ですが、『東海道五十三次』で有名な歌川広重がこの桜を描いており、なんとその名作もここ文化財センターで鑑賞することができます。日本美術が好きな方は必見です!

文化財センターにはそのほか、市内から発見された民具等も展示されており、昔の人々の暮らしぶりを知ることができます。また、市内の重要なスポットなどをまとめた地図も展示されています。小さなお子様連れでもきっと楽しめることでしょう。

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ありし日の史跡に思いを馳せる…「次郎物語」空林庵のモデル、空林荘跡

ありし日の史跡に思いを馳せる…「次郎物語」空林庵のモデル、空林荘跡

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浴恩館公園でもう一つ見ておきたいのが、空林荘(くうりんそう)跡です。こちらは前述した市史跡に指定されているもう一つのスポットで、かつては講師宿舎として使われていました。下村は講習期間中、こちらを拠点に青年の指導にあたりました。「次郎物語」第5部は、湖人の浴恩館での実際の教育の実践に基づいて書かれたとされます。

「次郎物語」第5部に登場する友愛塾と空林庵は、こちらの建物がモデルです。空林荘は平成25年2月に発生した火災によって焼失してしまいましたが、建物の基礎部分は今も残っています。

ありし日の史跡に思いを馳せる…「次郎物語」空林庵のモデル、空林荘跡

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この空林荘の前には下村が最晩年に遺した歌碑があり、以下の歌が記されています。
「大いなる道といふもの世にありと 思ふこゝろはいまだも消えず」

この歌は下村の古希の誕生祝の席で詠まれた一首であり、病魔とたたかっていた下村はこの歌を詠んだ翌年、71歳で亡くなりました。
歌の中で記された「大いなる道」とは、下村を浴恩館に招いた佐賀の盟友・田澤 義鋪(たざわ よしはる)と共有した理念であり、彼の一生はまさに「大いなる道」を求め続けた生涯でした。

生前1500首以上もの短歌を残すなど優れた歌人でもあった下村をしのんで、こちらの歌碑がたてられたのは彼の死後からまもない1957年のことです。
小さな空林荘に泊まり込み、青年教育に命をかけていた下村をそのまま表したかのような一句です。

時は平成を過ぎ令和の時代となりましたが、ここ浴恩館は変わらず昭和の静謐な雰囲気をそのままに私たちに伝えてくれています。
生前の下村は、以下のような言葉を残しています。
「自分の長所を伸ばすことに夢中になっている人は、自分の欠点を飾ることに決して心を労しないものである。」

強い信念を持った下村が残した精神が今も息づく浴恩館。ぜひ来訪してみてはいかがですか。

浴恩館公園の基本情報

住所:小金井市緑町3-2-37
電話番号:042-383-1198
アクセス:
JR武蔵小金井駅下車徒歩25分
武蔵小金井駅北口より関東バス三鷹駅行小金井公園前下車徒歩5分
またはJR東小金井駅下車徒歩20分

2019年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

写真 協力:小金井市教育委員会

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掲載内容は執筆時点のものです。

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