2019年は名作の連続!小豆島「神浦」の瀬戸芸アート4選

2019年は名作の連続!小豆島「神浦」の瀬戸芸アート4選

更新日:2020/05/07 13:34

土庄 雄平のプロフィール写真 土庄 雄平 山岳自転車旅ライター・フォトグラファー
3年ぶりの瀬戸内国際芸術祭の会期となる今年、小豆島でも沢山のアートが展示されていますが、その中でも特に力が入った地区こそ、三都半島の「神浦」でしょう!なぜなら今回新たに9作品もリリースされ、歩けばアートに当たる!というほど作品が密集しており、その作品のどれもが機知に富んだユニークな物ばかりだから。島独自の風景や歴史を再構築した見応えあるアートの数々は必見です!2019年瀬戸芸は小豆島の「神浦」へ。

島の素朴な歴史・自然が残る神浦地区

島の素朴な歴史・自然が残る神浦地区

写真:土庄 雄平

小豆島南部の三都半島、その西側に佇む集落が、今回の舞台となっている「神浦(こうのうら)」です。観光地という雰囲気が強い土庄町や小豆島町とは対照的に、家はまばらで周囲は透き通った美しい海、そして古民家が点在する島の原風景が残っています。

島の素朴な歴史・自然が残る神浦地区

写真:土庄 雄平

そんなこの場所には、採石場として繁栄した歴史、この一帯の海中から見つかるナウマンゾウの化石、大蛇から飼い主を救った伝説の犬の墓、漁業の繁栄を物語るアサリ養殖場、小豆島屈指の美しい自然など、決してメジャーではないけれど、島の歴史・文化・自然が多く根付いており、今回の瀬戸芸アートの多くが、こうした島ならではの側面からインスピレーションを受けて生み出されました。

古民家にある大人の秘密基地!自然の目「大地から」

古民家にある大人の秘密基地!自然の目「大地から」

写真:土庄 雄平

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神浦集落をやや北に行った海岸沿いは、三都半島屈指のの景色の良さ。こぢんまりとして綺麗なビーチや、緑が広がる半島の地形を見渡すことができます!そんな癒しの風景にフォーカスしたアートが、自然の目「大地から」です。

古民家にある大人の秘密基地!自然の目「大地から」

写真:土庄 雄平

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もう使われなくなった風情ある古民家の横に植わる二本のイブキの木。それを活用し、まるで子供の頃に憧れたような秘密基地が作られています!

まずは階段とともにイブキの葉のトンネルから始まり、それをくぐれば広々としたデッキ。小さなベンチも設けられ、ゆっくりとくつろぐことが可能となっています!木陰の中、穏やかに吹く潮風がとても涼しく、木の隙間から垣間見える海が爽快です。

古民家にある大人の秘密基地!自然の目「大地から」

写真:土庄 雄平

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またブランコという遊び心も!「大人も子供も楽しんでほしい」というコンセプトのもと、小豆島の自然景観を堪能できる作品に仕上がっていますよ。島らしい時間を味わうのにもってこいの体験型ツリーハウスアートです。

<自然の目「大地から」の基本情報>
作家:フリオ・ゴヤ
住所:香川県小豆郡小豆島町神浦103
アクセス:池田港から車で25分、草壁港から車で35分

自然への回帰を具現化!潜在的な「Utopia dungeon」

自然への回帰を具現化!潜在的な「Utopia dungeon」

写真:土庄 雄平

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自然の象徴と言える「木」をテーマに、自然と人の在り方を考察しようとしたアート作品「Utopia dungeon」。アートの中に入ると不思議な空間が広がります。それは、木材と森林が共存する景色です!

自然を制圧し、その結果として作り上げたはずの家から、木々が生えてくるかのように表現されたこの作品は、溢れる自然の生命力そして、その自然のパワーを根源的に欲している人間の心の奥底を紐解いているよう!

自然への回帰を具現化!潜在的な「Utopia dungeon」

写真:土庄 雄平

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中央の梁を見れば、それがよく分かるでしょう!梁の中を侵食するように広がる森の中には、再び人工物として柵が顔を覗かせます。まさに自然回帰と人為、その間で葛藤している人間の心を象徴していると言えるのではないでしょうか?

自然への回帰を具現化!潜在的な「Utopia dungeon」

写真:土庄 雄平

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また木材の上に造形される木々もポイント!実は、この一つ一つにはモチーフとなった木が存在していて、その緯度と経度を記録した写真も飾られています。自然を切り取り配置して、また自然を作るという点がなんとも倒錯的な表現ですね!

<Utopia dungeonの基本情報>
作家:田中圭介
住所:香川県小豆郡小豆島町神浦450-3
アクセス:池田港から車で25分、草壁港から車で35分

小豆島の風景×古民家!島の癒しが詰まったアート空間へ

小豆島の風景×古民家!島の癒しが詰まったアート空間へ

写真:土庄 雄平

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近年盛り上がりを見せる古民家を使ったアート!今回登場したのは、小豆島ならではの山と海が並存する世界観を表現した作品です。まず面白いのは1階へ「山」、2階へ「海」を配置し、1階から2階への移動を過去→現在→未来と捉えていること。

小豆島の風景×古民家!島の癒しが詰まったアート空間へ

写真:土庄 雄平

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一見普通の写真が並べられているだけに見える1階ですが、実はその写真は過去と現在の寒霞渓の写真を重ね合わせたもので、まるで山を歩くうちに過去と現在が混ざってしまうような錯覚を与えてくれます。

小豆島の風景×古民家!島の癒しが詰まったアート空間へ

写真:土庄 雄平

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そんな奇妙な感覚の中、山を登りきると、これまでの違和感を取り払ってくれるような美しい海の景色が広がるのです。しかし、よく見れば雪が積もり、漂着物が流れ着く様子が描かれ、変わりゆく幾つもの未来の可能性を連想させてくれます。山と海そして時間軸を巧みに使って作り上げられたストーリー性のあるアート作品と言えるでしょう。

<過去と現在の山にのぼり、銀未来の海をながめるの基本情報>
作家:鹿田義彦
住所:香川県小豆郡小豆島町神浦654-51
アクセス:池田港から車で25分、草壁港から車で35分

静へと入力する新たな循環!写真で捉えられないエレメント

静へと入力する新たな循環!写真で捉えられないエレメント

写真:土庄 雄平

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神浦にある一つの工場、それを活用してまるで実験施設のように作られたアート作品が「エレメント」です!既に役割を終えて全てが止まっているように見えるこの場所に、レーザービームなど固有な運動パターンを持ち込み、空間全体で演出しています。

ポイントは、通常では知覚できないということ!自分の目で見えていたはずなのに、いざカメラを向けると写真に写らないことに驚くでしょう。止まっていながらも動いて循環する!その不可思議な世界を体験できます。

静へと入力する新たな循環!写真で捉えられないエレメント

写真:土庄 雄平

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中でも一番の見所は、アサリの養殖に使われていた水槽の空間です。ここでは知覚できない循環モデルの一端を捉える見ることができます。緑のレーザービームを通して生まれる波紋が、不規則のようで規則的に刻々と変化し、それが空間各所に移動していく様子に思わず見惚れてしまうことでしょう。

<エレメントの基本情報>
作家:志水児王
住所:香川県小豆郡小豆島町神浦
アクセス:池田港から車で30分、草壁港から車で40分

小豆島「神浦」はアートの拠点!定着しつつある一つの文化

小豆島南部の三都半島「神浦」は、特に前回2016年の瀬戸内国際芸術祭以降、アート作品の展示が加速し、今では小豆島における瀬戸芸の中心エリアとして定着しつつあります。そして瀬戸芸を終えても展示され続けている「潮耳荘」などの作品は、この場所の新たな顔として島の景観に溶け込んでいると言えます。島ならではの歴史・文化・自然とアート作品の融合!ぜひ2019年瀬戸内国際芸術祭でお越しください。

2019年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2019/05/11 訪問

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