東京屈指の水郷「水元公園」で、夏のトンボに出合う旅へ!

東京屈指の水郷「水元公園」で、夏のトンボに出合う旅へ!

更新日:2019/06/18 10:13

鷹野 圭のプロフィール写真 鷹野 圭 首都圏自然ライター
東京都の東の端、埼玉県との県境に広がる水元公園は、巨大な池「小合溜井」を中心とした東京最大級の水郷公園です。菖蒲田や湿地、水生植物園など“水”の見所が満載のこの公園では、毎年初夏から晩秋にかけてたくさんのトンボが舞うようになります。よく見かけるアキアカネやシオカラトンボなどはもちろん、ちょっと珍しいものや美しいものも……。夏ならではの水郷景観と共に、ぶらりと昆虫探しに出かけてみませんか?

色濃く染まった夏の緑と、水のコントラストが魅力!

色濃く染まった夏の緑と、水のコントラストが魅力!

写真:鷹野 圭

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首都圏でも最大級の水郷公園である水元公園。最も大きな水場であるこの池には、夏になるとスイレンの葉が茂り、とりわけ岸辺近くを覆います。こうした水面に浮く葉っぱは、トンボ達にとっては格好の足場。特に体の軽いイトトンボが翅を休めているシーンをよく見かけます。よく探してみましょう。

色濃く染まった夏の緑と、水のコントラストが魅力!

写真:鷹野 圭

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スイレンと同様、水辺でよく目立つ葉といえばやはりハス。真夏の炎天下の元でも、負けじと太陽に向かって茎を伸ばし、大きな花を咲かす姿には他にない力強さを感じます。場所によっては、水面を埋め尽くさんばかりに繁茂してしまうことも……。この葉は大きく丈夫なので、大きめのトンボがとまることも多々あります。まれに花にとまることもありますので、シャッターチャンスを狙ってみてはいかがでしょうか?

色濃く染まった夏の緑と、水のコントラストが魅力!

写真:鷹野 圭

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遠目に見てもはっきりとわかるほどの、巨大なメタセコイアの樹林。園路の両サイドを挟むように生えている場所もあり、こうなると日中でもすっぽりと日陰に包まれます。「たかが日陰」と侮るなかれ、夏場に実際に歩くと日なたより明らかに涼しいのを実感することでしょう。時折、木々の間をキツツキなどの野鳥が舞うことがありますが、幹がかぶってしまうのでここで撮るのは難しいかも?

池の畔で探してみよう! 水元公園の夏のトンボたち

池の畔で探してみよう! 水元公園の夏のトンボたち

写真:鷹野 圭

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梅雨時を過ぎて本格的な夏に入ると、水際のあちらこちらで宙を舞うトンボの姿を見かけます。写真はコシアキトンボ。東京都内の公園の池などで比較的よく見かけるオーソドックスなトンボで、水元公園全域に生息しています。名前の通り、お腹の一部(人で言うところの腰の辺り)だけが白くなっているのが特徴。飛んでいてもよく目立つので、チェックしてみましょう。

池の畔で探してみよう! 水元公園の夏のトンボたち

写真:鷹野 圭

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赤トンボといえばアキアカネ……秋の風物詩というイメージが強いですが、実はアキアカネ以上に見事な「全身赤トンボ」が存在することをご存知でしょうか? 正体は、写真のショウジョウトンボ。頭の先から腹部の端、そして羽の一部まで真っ赤なこのトンボは、アキアカネに先行して真夏から姿を現します。

決して珍しいトンボではなく、なおかつ大変目立ちやすいので、水元公園を歩いていると多数観察できることでしょう。でも暑い真夏に出くわすと、その体色のせいで余計暑苦しく感じるかも?(汗)

池の畔で探してみよう! 水元公園の夏のトンボたち

写真:鷹野 圭

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上に登場した2種と違い、こちらはちょっと大きめのトンボ。ウチワヤンマといい、名前の通りオニヤンマやギンヤンマなどとよく似た姿をしていますが、彼らの仲間ではなくサナエトンボの仲間です。腹部の先端にうちわ(というより軍配?)のような突起があるのがポイント。よく写真のように杭などにとまっているのを見かけます。特に多いのが、池から突き出した看板などの先端に止まっている姿。数は少なくはなく、よく見かけるはずです。

慣れたら探そう! ちょっと珍しいトンボたち

慣れたら探そう! ちょっと珍しいトンボたち

写真:鷹野 圭

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ブルーを基調としつつ金属質な虹色の輝きを持つ翅に、一般的なトンボをはちょっと違うひらひらとした独特の飛び方……このチョウトンボは、日本のトンボの中でもとりわけ美しい種として人気があります。都心では最近あまり見かけなくなったという声をよく聞きますが、広い水環境を有する水元公園では今でもよく見かけます。

その美しさゆえに、ぜひ実物を撮影したい!と思う方も多いでしょうが、ゆったりした省エネ飛行のためかなかなか止まってくれないのが困りもの……根気よく待ちつつ、止まった姿を確認したら脅かさないように注意して撮影・観察してみましょう。

慣れたら探そう! ちょっと珍しいトンボたち

写真:鷹野 圭

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高速で飛び回るトンボの姿は、普通に園内を歩いていても比較的よく目立つもの。しかし、水面近くの浮き草などをよーく観察してみると、飴細工のようにか細くて小さいトンボが静かに飛んでいるのを見かけます。彼らはイトトンボという種族で、水元公園ではさまざまな種類が生息しています。

写真はオオイトトンボ。名前の通りイトトンボの仲間としてはやや大型ですが、それでも目立つトンボとは言いがたいです。スイレンの浮いている池などで、よく目を凝らして葉の上を観察してみましょう。水面近くを飛んでいる姿を見かけるかもしれません。

慣れたら探そう! ちょっと珍しいトンボたち

写真:鷹野 圭

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こちらもイトトンボの仲間ですが、全身に黄色味を帯びているのが特徴。飛んでいる姿は、それこそ黄色い細い棒が宙に浮いているよう……。これはキイトトンボといい、漢字で書くならそのまま「黄糸蜻蛉」です。都心部では数がかなり少なく、健全かつ水草の豊かな止水域に暮らしています。水元公園では一部の限られたエリアで見かけますが、探すとなるとちょっと大変かもしれません。

人のすぐ隣に、サギの姿あり?

人のすぐ隣に、サギの姿あり?

写真:鷹野 圭

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水元公園ではよく水鳥のサギを見かけます。このタイプの鳥は浅い水辺などで魚を捕ることが多いのですが、釣りのおこぼれを狙っているのか、こうして釣り客のすぐ近くに来てしまうこともしばしば。実際、魚を貰っていることもあるようです。

そういうこともあってか、ここのサギたちは基本的にあまり人を恐れません。

人のすぐ隣に、サギの姿あり?

写真:鷹野 圭

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日本では最大級のサギ アオサギの姿も見られます。青みを帯びた独特の色合いをしているので、見間違えることはないでしょう。几帳面に釣り人のすぐ隣に佇んでいることも多く、その姿はとてもユニーク。そして、自分からバケツの中の魚を盗んだりすることはほとんどなく、あくまで“おこぼれ待ち”に徹しているのが笑えてしまいます。変に魚を盗んだりすると、自分達の立場が悪くなるとわかっているのかも……?

人のすぐ隣に、サギの姿あり?

写真:鷹野 圭

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ちなみにこれがクローズアップしたアオサギの顔。くちばしが長く鋭いのでちょっと怖く見えるかもしれませんが、至っておとなしい鳥ですのでご安心を。でも怪我の恐れもあるので、間違えても手渡しで魚をあげたりするのはやめましょう(汗)。

あまり人を恐れない分、結構近くで撮影できるのは嬉しいポイントです。

夏の水元公園、その他の魅力をご紹介!

夏の水元公園、その他の魅力をご紹介!

写真:鷹野 圭

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園内の東の端辺りに位置する「水辺のさと」には、水生植物または湿地環境を好む植物などが多くみられます。写真にあるピンク色の花はミソハギといい、真夏の水辺をやさしく彩る人気の花です。イトトンボなどが翅を休めるのに使うこともあれば、蜜を求めてチョウが訪れることもあります。この花の群落を見かけたら、何か止まっていないかチェックしてみましょう。

夏の水元公園、その他の魅力をご紹介!

写真:鷹野 圭

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園内の一部の池に、刺だらけの大きなハスの葉が浮かんでいるのを見かけることがあります。これはオニバスといい、野生の株は著しく数の減っている絶滅危惧種。水元公園ではそこそこ姿を見かけるほか、「オニバス池」として自生地が手厚く保全されていることろもあります。真夏になると写真のように紫色の筒状の花を咲かせます。時折葉を貫いて生えてくることもあり、目を惹くことでしょう。

ちなみに葉っぱの刺は非常に鋭いので、触らないように注意!

夏の水元公園、その他の魅力をご紹介!

写真:鷹野 圭

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樹液のあふれる木には、ハナムグリやカナブンなどの甲虫のほか、昼間であればチョウが飛来することもあります。写真はコムラサキ。小さなオオムラサキ……という感じのフォルムで、光の当たり具合によって翅が青紫色に輝きます。もし見かけたら、太陽の方向を意識しつつ、一番美しく見えるポジションを探ってみましょう(ただし驚かさないように)。

このほかにも、夏ならではの小鳥や昆虫など、たくさんの生きものが暮らしている水元公園。近年は日差しか厳しく暑い夏が続いていますが、そんな夏ならではの魅力がいっぱいです。ぜひ飲み物や日傘などを携帯し、注意しながら散策を楽しみましょう。

水元公園の基本情報

住所:東京都葛飾区水元公園・水元猿町・東金町5、8丁目・埼玉県三郷市高洲3丁目
電話番号:03-3607-8321(管理センター)
入園料:無料
アクセス:JR常磐線および東京メトロ千代田線「金町駅」より、京成バス(戸ヶ崎操車場または西水元三丁目行き)「水元公園」停留所下車徒歩7分

2019年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/07/16 訪問

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