遣唐使が目指した「長安」で歴史散策と城壁サイクリング

遣唐使が目指した「長安」で歴史散策と城壁サイクリング

更新日:2019/05/26 11:59

藪内 成基のプロフィール写真 藪内 成基 フリーランス城ガイド
新元号「令和」の出典から『万葉集』に注目が集まっています。『万葉集』が成立した奈良時代は、遣隋使や遣唐使による国際交流が盛んな時期であり、彼らは長安(現在の西安)を目指しました。奈良の都「平城京」は長安を模倣したと考えられています。城壁の上をサイクリングしたり、シルクロードの出発地であったエキゾチックな雰囲気を味わいながら、日本とも関係の深い、悠久の歴史にふれてみませんか?

城壁の上をレンタサイクルで駆け抜ける

城壁の上をレンタサイクルで駆け抜ける

写真:藪内 成基

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現在の西安は、レンガを積み重ねて作られた周囲14km、高さ12ⅿの城壁によって囲まれています。唐の時代に造られた長安城を基礎とし、明の時代(1300年代)に築かれ、その後も修理を繰り返しながら現在の姿となっています。

城壁の上をレンタサイクルで駆け抜ける

写真:藪内 成基

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西安を囲む城壁には登ることができ、城壁上から西安の眺望が楽しめます。東門(長楽門)や西門(安定門)、南門(永寧門)など、主要な門から入場料54元(約864円※2019年5月現在)で登れます。約14kmにもおよぶ広い城壁の上では、散策はもちろんサイクリングもおすすめです。

城壁の上をレンタサイクルで駆け抜ける

写真:藪内 成基

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自転車は途中で乗り捨てることもでき、デポジットは自転車返却時に戻ってきます。城壁はレンガ造りのため凸凹しており、運転中に振動が少し気になるかも知れません。

城壁サイクリング後は西安の2大建造物へ

城壁サイクリング後は西安の2大建造物へ

写真:藪内 成基

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西安の城壁の内部には、象徴的な大きな建造物が2つあります。時刻を伝えた「鐘楼(しょうろう)」と「鼓楼(ころう)」です。

鐘楼は高さ約36ⅿあり、西安に延びる東西南北の大通りが交わる場所に立つ、まさに街の中心にそびえています。

城壁サイクリング後は西安の2大建造物へ

写真:藪内 成基

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城壁と同様に、鐘楼は明の時代(1384年)に創建されました。元々は別の場所に立っていましたが、1582年に現在の場所に移されました。時間を告げたり、物見台として使われたり、西安の人々にとって昔から欠かせない存在でした。

建物の内部は展示スペースになっており、古写真を交えながら、西安の街や城壁の変遷を知ることができます。

<鐘楼の基本情報>
住所:西安市碑林区鐘楼商圈
アクセス:地下鉄「鐘楼」駅から徒歩約2分

城壁サイクリング後は西安の2大建造物へ

写真:藪内 成基

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鐘楼と向かい合うように立つのが鼓楼です。鐘楼の「鐘」に対し、「太鼓」によって時刻を知らせていました。鉄や銅で造られた古代の太鼓など、珍しい太鼓が多数展示されています。

また、古代から伝わる鐘の打楽器による演奏ショーが1日に8回(上演約10分)行われますので、タイミングが合えばぜひ耳を傾けてみてください。

<鼓楼の基本情報>
住所:西安市蓮湖区北院門小吃一条街北院門
アクセス:地下鉄「鐘楼」駅から徒歩約5分

シルクロードを感じるストリートを散策

シルクロードを感じるストリートを散策

写真:藪内 成基

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鼓楼周辺の化覚巷や西羊市は、人込みやバイクの喧騒が絶えないにぎわいです。イスラム料理レストランなど西安名物の店がひしめきあっており、歩いているだけでも異国情緒を満喫できます。

シルクロードを感じるストリートを散策

写真:藪内 成基

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香辛料やヨーグルトのほか、ナンやザクロジュースなど幅広い店が並び、中央アジアや中東を感じさせる熱気に包まれています。

かつて中国と、中央アジアやヨーロッパとの交易で栄えたシルクロードは、長安(現在の西安)が起点でした。その名残を、今も西安では感じることができるのです。

シルクロードを感じるストリートを散策

写真:藪内 成基

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このエリアの中心となるのが、イスラム寺院である「清真大寺(せいしんだいじ)」です。唐の時代(742年)の創建と伝わる、西安で最大のイスラム寺院。中国の伝統的な建築様式ながら、動物模様や偶像を使用しないなど、イスラム教の教えに従っています。

<清真大寺の基本情報>
住所:西安市蓮湖区北院門小吃一条街化覚巷30号
電話:+86-29-8727-2541
アクセス:地下鉄「鐘楼」駅から徒歩約15分

三蔵法師ゆかりの世界遺産「大雁塔」

三蔵法師ゆかりの世界遺産「大雁塔」

写真:藪内 成基

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西安城壁から南側にうっすら望むことができる大雁塔(だいがんとう)にも、ぜひ実際に立ち寄ってみてください。唐の時代(652年)に創建された仏塔で、高さは約64m。現在の建物は創建当時の7分の1の規模ですので、いかに大きな建物だったかが分かります。

三蔵法師ゆかりの世界遺産「大雁塔」

写真:藪内 成基

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小説『西遊記』のモデルとして知られる、玄奘三蔵(三蔵法師)が、インドから持ち帰った経典や仏像を保管するために造られました。塔の頂部まで登り、西安の市街を一望することもできます。

<大雁塔の基本情報>
住所:西安市雁塔区雁塔南路北口大雁塔南広場北側
電話番号:+86-29-8552-7958
アクセス:地下鉄「大雁塔」駅から徒歩約15分

城壁サイクリングや歴史散策など多彩な楽しみ方

西安では、約14kmもの城壁をサイクリングしたり、悠久の歴史遺産をめぐったり、エキゾチックなストリート散策など、様々な楽しみ方ができます。

また、西安駅からバスで1時間ほどで、世界遺産である「秦始皇兵馬俑博物館」と「秦始皇帝陵」にアクセスできます。西安での滞在と共に、じっくり観光してみたいですね。

2019年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください.

掲載内容は執筆時点のものです。 2019/02/24 訪問

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