見応えも味も一級品!江戸時代創業 秋田の味噌醤油蔵「石孫本店」

見応えも味も一級品!江戸時代創業 秋田の味噌醤油蔵「石孫本店」

更新日:2019/06/16 20:21

中三川 洸太のプロフィール写真 中三川 洸太 癒し系温泉マニア、一人旅案内人、自然・地誌系ライター
東北といえば、何といってもお酒が有名!
そして、美味しいお酒があるなら、同じような原料を用いる発酵食品、醤油や味噌も美味しいはず。

今回ご紹介する「石孫本店」は、江戸時代の安政2年に創業し、今でも伝統的製法に拘る味噌醤油蔵で、なんと見学が可能!味噌醤油の伝統的技術や地域風土まで知ることができる、資料館顔負けの雰囲気ある蔵なんですよ。

老舗の風格漂うエントランス

老舗の風格漂うエントランス

写真:中三川 洸太

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中世には城下町、江戸時代には宿場町として栄えた秋田県湯沢市岩崎の旧道沿いに、古風な外観のお店があります。

石孫本店は、この界隈で最も古くから存在する、現役の味噌醤油蔵。かつて東洋一の銀山といわれた院内銀山へと、味噌や醤油を供給するため、江戸時代に開業した歴史あるお店です。実は、この小さな入口の奥に作業場と5つの蔵があり、国の登録有形文化財にも登録されています。

老舗の風格漂うエントランス

写真:中三川 洸太

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そっと入口の戸を開けると、天井の高い木造の建物に驚かされます。また、入口右手には事務所、正面奥にはお土産コーナーがあります。

見学には予約が必要で、料金は無料です。しかし、見学終了時にはお土産を買って、後ほどその味を確かめてこそ、その価値がわかるかもしれません。

映像と舌で体感!石孫の味噌醤油のこだわり

映像と舌で体感!石孫の味噌醤油のこだわり

写真:中三川 洸太

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蔵の中を見学する前に、お店に隣接する離れ座敷で、お味噌や醤油の作り方に関するDVDを見ます。こちらは、実際に石孫の館内で撮られたオリジナルDVDで、素人にも解り易く編集されています。

また、こちらの離れ座敷は、昭和12年に建築されたもので、欄間には東京オリンピック記念の、五輪の輪が施されています。その他、大正時代の内務大臣・水野練太郎氏より寄贈された掛け軸や、明治天皇より賜った茶碗なども展示されており、こちらのお店の影響力の高さを知ることができます。

映像と舌で体感!石孫の味噌醤油のこだわり

写真:中三川 洸太

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そしてDVDを見終わった後には、石孫の味噌を試食!!

味噌は、左から右にいくほど麹の比率が高くなり、食べ比べると、甘みとコクが変わっていくのがわかります。また、一番右の味噌は、左から2番目の味噌を長期で熟成させたもの。長期間寝かせるだけで、全く味が変わることが実感出来ます。

映像と舌で体感!石孫の味噌醤油のこだわり

写真:中三川 洸太

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純和風の日本家屋で、庭園を眺めながら、上質な味噌を味わう時間。これから始まる蔵見学への、期待が一層高まります。

春が仕込み!味噌蔵見学

春が仕込み!味噌蔵見学

写真:中三川 洸太

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味噌用の麹室は石孫の一番奥にあり、5月頃、タイミングが合えば仕込みの様子を見学できます。因みに、味噌の基本原料は米と大豆です。こちらの写真は、蒸した米を広げ、麹種を仕込んでいる様子です。

春が仕込み!味噌蔵見学

写真:中三川 洸太

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こちらが、味噌用の麹をつくるための製麹室。先ほど台の上で広げられた麹が、次々と運びこまれていきます。そしてその後、麹蓋と呼ばれる小さな木の箱に分けて納められ、そのまま寝かせられます。

手間のかかる作業であるため、現在も手作業で、昔の道具を使って一連の作業を行っている蔵は、日本でも数少なくなっています。

春が仕込み!味噌蔵見学

写真:中三川 洸太

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こちらが味噌の熟成蔵です。味噌蔵は、この後ご覧いただく醤油蔵と違い、重石が載せてあるのが特徴!独特の匂いが漂う歴史ある蔵の中は、掃除が行き届き、清らかな雰囲気が感じられます。

冬が仕込み!醤油蔵見学

冬が仕込み!醤油蔵見学

写真:中三川 洸太

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醤油の麹室は味噌の麹室の少し手前にあります。醤油の麹の仕込みには味噌と違い、大豆と小麦を用います。

醤油の仕込み時期は、昼と夜の寒暖の差が大きくなる11月と2月。盆地ならではの特徴とともに、気温が低くなりながらも、それなりに湿気がある、日本海側特有の気候も関係しています。

味噌同様、運がよければ仕込みの見学ができますよ!

冬が仕込み!醤油蔵見学

写真:中三川 洸太

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オフシーズンの製麹室には、空の麹蓋がぎっしり!
仕込み時期には、中央にある炉に、木炭をくべて、室内を暖めます。

そして、温度や湿度を一定に保つことに一躍かっているのは、地元の石材である院内石。火山灰でできたこの石は、余分な湿気を吸収し、断熱性にもすぐれているため、石孫の蔵の至る所に利用されています。

冬が仕込み!醤油蔵見学

写真:中三川 洸太

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こちらが醤油の熟成蔵です。先程の麹に塩水を混ぜて、熟成させています。雑菌が入らないよう注意しなければならないにも関わらず、見学が出来ることに、店側の好意が感じられます。

この他、状況にもよりますが、味噌と醤油合わせて複数の蔵を見学することができます。蔵は、古い物で明治16年、一番新しいものでも大正5年の建築!年季を感じますね。

今でも現役!レトロ機材

今でも現役!レトロ機材

写真:中三川 洸太

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石孫の蔵見学の魅力の1つは、昔から用いられている、様々なレトロな道具を見ることができることと、それらが現役で今も用いられていることです。

こちらは石炭を燃料にして麦を炒る焙煎機。現在では、旧式の焙煎機を使っている工場自体が少なくなっていますが、火を燃やすのに石炭を使用している蔵は、全国でも石孫のみです。

今でも現役!レトロ機材

写真:中三川 洸太

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お次は醤油を絞るための「ふね」という機械です。この機械、酒蔵等で昔の器具として目にすることはありますが、今でも現役で利用されているものを見る機会は、めったにありません。

この他にも、木でできた攪拌用のヘラや、年代を感じる桶、大豆を蒸すための機械など、様々なレトロな機材に触れられます。

今でも現役!レトロ機材

写真:中三川 洸太

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この茶色い物体、何だと思います?
実はこれ、「ふね」で醤油を絞った後の残りかすなんです。口に含むと、しょっぱさとともに、醤油のコクが感じられます。

この地域ならではの風土や、歴史の中で育まれてきた味噌と醤油造りの現場を、まさに五感で体感することができる石孫本店。商品の素材や加熱用の木炭に至るまで、出来る限り地元の秋田の物を扱うことに拘っています。もちろん、そこで造られる商品の味は本物です。

また、すぐ隣には蔵を改装した食事処、北に行けば増田の内蔵街、南に行けば湯沢市街地の酒蔵と、この辺りには蔵や醸造に関する見所が多く、醸造をテーマに町歩きをしても面白いかもしれません。

雰囲気満点のお店と蔵、そして技術を受け継ぎ、守ろうとする魅力的な方々に、皆さんもぜひ、会いに来てみてください。

石孫本店の基本情報

住所:秋田県湯沢市岩崎字岩崎162
電話番号:0183-73-2901
アクセス:
JR奥羽本線下湯沢駅より徒歩15分
湯沢横手道路十文字ICより車10分
営業時間:月〜金 9:00〜17:00(休業:土・日・祝)
見学料:無料
その他:見学は前日までに予約が必要です。
※希望日に見学が可能かどうかは、必ず電話等でご確認ください。

2019年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2019/05/22 訪問

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