写真:乾口 達司
地図を見る写真は加賀温泉駅のホーム上から撮影した一枚。ご覧のように、丘陵の上に屹立する大観音とごく普通の住宅地とのギャップが実にシュールですが、大観音の屹立する林の向こう側、いったいどうなっていると思いますか?実はこの大観音を中心にして、仏教関連のテーマパークや天然温泉付きの宿泊施設、果ては遊園地までをふくめた一大複合施設が展開されていたのです。その名も「ユートピア加賀の郷」。
え?展開されていた・・・?そうなのです。「ユートピア加賀の郷」の開業はバブル経済真只中の1987年でしたが、実はバブル崩壊以降の経営不振がわざわいし、開業当時、営業していた施設の多くがいまでは閉鎖されてしまっているのです。したがって、いまでは廃墟になってしまっていると誤解している方も多いようですが、そんなことはありません!遊園地など、廃墟と化している施設が部分的にあるのも事実ですが、施設の根幹をなす仏教テーマパークは一部をのぞいていまだ健在。宗教法人豊星寺を経営母体として、現在は「大観音加賀寺」の名で運営されています。
写真:乾口 達司
地図を見るこの地に加賀大観音が建立されたのは、当地が観音山と呼ばれていることにちなみます。いい伝えによると、奈良時代、この地に2人の修行僧がやってきました。彼らは当地で観音信仰がさかんであることを知り、新たに観音像を安置する祠を建てて、観音信仰のさらなる広がりを祈ったとされます。加賀寺自体の創建はいまから二十年余り前のことですが、創建の背後に、これだけの深い歴史がそなわっているのです。
正面玄関から施設内に入ると、目の前に大観音が迫ってきます。その像高は何と73メートル!足許から見上げると、その大きさにただただ圧倒されるばかり。晴れた日には太陽の光が全身に当たり、金色に輝きます。大観音を拝観するときは、お天気のよい日に出掛けましょう。
写真:乾口 達司
地図を見るこちらは大観音の背面。背骨に沿うようにして小さな穴が縦に並んでいるのが、おわかりになるでしょう。この穴、何だと思いますか?これは観音の体内から外界を眺めるために設けられた窓。大観音の内部には螺旋階段がとりつけられており、足許から登っていくことができるのです。体内からの眺望は素晴らしく、日本海や加賀平野を見渡すことができるのですが、2014年現在、内部への立ち入りは禁止されてしまっています。ご注意ください。
写真:乾口 達司
地図を見る加賀寺といえば、大観音。しかし、それだけが加賀寺の魅力ではありません!大観音の背後に位置する建物にも足を踏み入れてみましょう。こちらは京都の三十三間堂内の仏像群を模して作られた区画。その名もずばり「加賀三十三間堂」。落慶は1989年。高さ8メートルを誇る中央の千手観音立像の両脇にはそれぞれ594体の千手観音菩薩が安置されており、そのたたずまいは圧巻そのもの。その裏手にはお釈迦さまの生涯や仏教が東方へ伝播していく様子を再現した展示ホールもあり、見応え満点です。
写真:乾口 達司
地図を見る梵鐘佛堂の堂内には、金色に輝く大梵鐘が安置されています。大梵鐘は合金製金箔貼り。重量は350トンあまり。直径5メートル、高さ10メートルでその大きさは世界一とのこと。その巨大さに度肝を抜かれる方も多いでしょう。大観音だけが見所ではないこと、おわかりになりましたか?
バブルの崩壊以降、規模が縮小し、部分的に廃墟化しているとはいえ、加賀寺がいまでも圧倒的な仏教絵巻を展開させていることが、おわかりになったのではないでしょうか。ほかにも、やはり金色に輝く巨大な五重塔が置かれた瑠璃光殿など、紹介しきれなかったスポットがまだまだあります。バブルの華やかな時代に建造されたものであるだけに、ゴージャスで金ピカというイメージがどうしてもつきまとってしまいがちですが、それが加賀寺ならではの魅力であるといえ、その妖しい輝きに、一瞬、え?と怯んでしまう方も、その世界にやがて魅了されるはず。加賀方面に出掛けたときは勇気をふるい、加賀寺に足を運んでみてください。
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(2024/12/13更新)
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