「金田一耕助」が誕生した町・岡山県真備町〜横溝文学の舞台へ

「金田一耕助」が誕生した町・岡山県真備町〜横溝文学の舞台へ

更新日:2019/07/11 16:19

村井 マヤのプロフィール写真 村井 マヤ 中国・九州文化的街並探検家
日本の本格推理小説の名キャラクター「金田一耕助」は、横溝正史が生み出した名探偵です。何度も映画化、ドラマ化されて何人もの俳優さんがその役を演じました。彼の登場する作品は、『八つ墓村』をはじめ『本陣殺人事件』『獄門島』など名作ぞろい。岡山県倉敷市真備町は、名探偵金田一耕助が生まれた町であり、名作の舞台でもあります。横溝正史が名作と名探偵を生み出した地・真備町を散策し、名探偵気分を味わってみませんか?

金田一耕助が昭和12年11月27日に降り立った駅のモデル

金田一耕助が昭和12年11月27日に降り立った駅のモデル

写真:村井 マヤ

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戦後初の本格推理小説『本陣殺人事件』で、「清―駅」に金田一耕助が降り立ったのは、昭和12年11月27日のことでした。写真の清音駅はそのモデルであり、作品の中では「清―駅」として登場。この清音駅からお隣の川辺宿駅まで横溝正史疎開宅などをぐるっと巡って『本陣殺人事件』の舞台となります。その途中には、横溝正史の名作に登場する名キャラクター達の銅像が出迎えてくれる、横溝正史ファン感激の散策ルートとなっています。

金田一耕助が昭和12年11月27日に降り立った駅のモデル

写真:村井 マヤ

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清音駅は、毎年11月末に行われるコスプレイベント「1000人の金田一耕助」の集合場所でもあります。このイベントは事前申し込みをして、「我こそは金田一耕助」という方や横溝正史作品の名キャラクターになりきって『本陣殺人事件』の舞台を巡るもの。かなり歩きますが、金田一耕助シリーズのファンが集まるイベントですので、ファンならではの楽しい交流ができるはずです。作品を愛する方はぜひ一度参加するのもいいのではないでしょうか。

倉敷市真備ふるさと歴史館で、情報収集〜真備町の歴史も知る

倉敷市真備ふるさと歴史館で、情報収集〜真備町の歴史も知る

写真:村井 マヤ

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「倉敷市真備ふるさと歴史館」は、江戸時代に岡田地域を支配していた岡田藩ゆかりの古文書館です。また開館にともない「横溝正史コーナー」が設けられて、今や横溝正史ファンが密かに集う歴史館になっています。
写真は、金田一耕助像です。お時間があればこのようなキャラクター像を探して歩くのも面白いですよね。

倉敷市真備ふるさと歴史館で、情報収集〜真備町の歴史も知る

写真:村井 マヤ

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写真は、歴史館の庭にある「境界石」と呼ばれる、藩と藩の境を示した石。真備町の大半は、岡田藩でしたが部分的に岡山藩の飛び地があり、そうした他藩との境に「境界石」を置いていたのです。

倉敷市真備ふるさと歴史館で、情報収集〜真備町の歴史も知る

写真:村井 マヤ

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こじんまりとした歴史館ですが、充実した内容で横溝文学ファンも歴史好きも楽しめる施設ですよ。しかも無料で見学できる素晴らしい施設です。

「横溝正史コーナー」だけじゃなく岡田藩時代の古文書も面白い

「横溝正史コーナー」だけじゃなく岡田藩時代の古文書も面白い

写真:村井 マヤ

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真備ふるさと歴史館に一歩足を踏み入れると、そこはもう金田一耕助の世界です。横溝正史先生一家の写真や真備町での生活を垣間見られる写真は、とても興味深いものばかり。ぜひ、時間をかけてご覧になって下さいね。

「横溝正史コーナー」だけじゃなく岡田藩時代の古文書も面白い

写真:村井 マヤ

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歴史学者の磯田道史先生寄贈の古文書や貴重な刀剣など、多くの方の善意によって成り立っている歴史館。無料なので何度でも通って、歴史館の方と歴史や文学の話で花を咲かせましょう。ちなみに磯田先生は、真備町近辺にある史跡散策などで、以前から真備町にはよく来られていたそうです。

「横溝正史コーナー」だけじゃなく岡田藩時代の古文書も面白い

写真:村井 マヤ

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写真は、横溝正史先生のご遺族より譲り受けた愛用の机です。畳敷きと障子などもあり、お部屋を切り取ったかのよう。これは、ご遺族からお話しがあった際に、実際にご自宅に伺い、写真を撮らせてもらい先生の書斎の様子を再現し展示したからです。机の上にある文具なども先生愛用のもの。ガラス越しでも、ファンには嬉しい展示です。

<倉敷市真備ふるさと歴史館の基本情報>
住所:岡山県倉敷市真備町岡田610
電話番号:086-698-8433
アクセス:
(徒歩)JR伯備線清音駅より約3km、約40分
(自動車)倉敷駅、新倉敷駅より約20分
開館日・時間:火・水・土・日(年末年始は休館)/10時〜16時

横溝正史の散歩道を歩いてみよう

横溝正史の散歩道を歩いてみよう

写真:村井 マヤ

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写真は、歴史館から横溝正史疎開宅へと向かう木々が茂る小径。写真は疎開宅の方向から歴史館側を撮影したもの。天気が良いと、美しい散策路。木々が茂っているのは、短い距離ですが癒しスポットとなっています。

横溝正史の散歩道を歩いてみよう

写真:村井 マヤ

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写真正面は、「岡田大池」の出島にある弁天様の祠。先ほどの歴史館からこの大池を抜けて、田んぼ道をしばらく行くと疎開宅なのですが、この大池近辺は、横溝正史お気に入りの散歩道だったとか。なんだかとっても神秘的です。この大池は、作品にも登場します。

『本陣殺人事件』は、まさに真備町が舞台なので、作品を読んだことのある人は、「ここが例のあそこね」など思い浮かべながら歩けるので、楽しい散歩道になることでしょう。

横溝正史の散歩道を歩いてみよう

写真:村井 マヤ

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『悪魔の手毬唄』に出てくるキャラクターです。背景にあるのが岡田大池です。かなり大きなため池で、なかなか綺麗な眺めです。この辺りに岡田藩の藩邸もあったので、当時は重要なエリアだったことになりますね。今は田畑の間に住宅が建ちならんでいますが、江戸時代には武士の邸宅などもあったことでしょう。このキャラクター像を目印にして疎開宅へいくのですが、さてこれは一体だれでしょう…。

横溝正史疎開宅はファン必見!

横溝正史疎開宅はファン必見!

写真:村井 マヤ

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こちらの祠は、『八つ墓村』にも関連のある場所ですが、古くからの伝承の地でもあります。横溝正史が散歩しながら、この町に伝わる伝承などを作品に巧みに取り入れたことを窺わせるスポットです。

横溝正史疎開宅はファン必見!

写真:村井 マヤ

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横溝正史疎開宅の内部。疎開宅は、今は暮らす人はいませんが、外壁など綺麗になっており内部の見学も可能です。以前は住人もいましたが、人が住まなくなり、傷んでいた疎開宅。その後、多くの横溝ファンが真備町を訪れ、疎開宅への見学要望が多くなりました。そのため真備町がこの疎開宅を買い取り、昭和20年代の疎開宅へと復元し現在の疎開宅となりました。

当番の女性の方が、訪問客にお茶などを振舞ってくれるのも嬉しく、お茶を飲みながら横溝ファン同士の交流もできる写真奥の居間。横溝ご夫妻の遺品など、興味深い展示もありますよ。

右奥の障子に浮かび上がるのは、金田一耕助の影です。今まさに謎ときが行われているのでしょうか?この家で、横溝正史とその家族は3年ほど生活しました。金田一耕助の誕生の地と思うと感慨深いものがあります。

横溝正史疎開宅はファン必見!

写真:村井 マヤ

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疎開宅の大部分は、長年人が暮らし少しずつ改装もされました。真備町が手を加えられた住居部分を戦時中の疎開宅へと復元しましたが、この庭だけは当時のままです。真備ふるさと歴史館には、この庭に佇む横溝正史先生の写真があります。写真をみると庭石の配置などは変わっていないのが分かりますよ。またお庭を見ると、当時は裕福な一家が住んでいたことも想像できます。

<横溝正史疎開宅基本情報>
住所:岡山県倉敷市真備町岡田1546
電話番号:086-698-8558
アクセス:真備ふるさと歴史館より約700m、徒歩約10分
開館日・時間:火・水・土・日(年末年始は休館)/10時〜16時

もう一度読みたい名作や読んでいなかった名作も見つかる!

真備ふるさと歴史館や横溝正史疎開宅などを散策すると、もう一回あの本を読んでみたいとか、これも読みたいなど読書への意欲もわくのではないでしょうか?もちろん、歴史好きな方も楽しめる、そんな旅がこの真備町ではできるはずです。
ぜひ一度、岡山県倉敷市真備町に立ち寄って名作の舞台を散策してみませんか?

2019年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2019/06/08 訪問

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