写真:大山 平助
地図を見るティムール朝は、14世紀に創始者ティムールが中央アジアを中心に現在のイランやアフガニスタン、パキスタンなど、西アジア一帯を征服して築き上げた大帝国。ティムールの四男シャー・ルフは後継者争いに勝利し、3代目の君主となると首都サマルカンドを息子のウルグ・ベクに任せて本人はヘラート(現アフガニスタン西部)を拠点に活動します。
首都サマルカンドは、ウルグ・ベクが統治した40年近くの間、平和な時代が訪れ、商業も発展しました。それと同時に各地から学者が多く集まり、ウルグ・ベクはマドラサ(神学校)など公共施設を建設し、学問を振興させました。彼自身も天文学や音楽を好み、ルネサンス的な君主であったとされます。
写真:大山 平助
地図を見るウルグ・ベクが建設した建物の中でも最も有名なものがサマルカンド北部に残る「ウルグ・ベクの天文台」です。1424年に天文学研究のために建設し、ここで観測を続け、「ズィージ・スルターニー」と呼ばれる天体や星の一覧表を作成しました。
彼の偉大な功績は、恒星時1年間を365日6時間10分8秒に決定したこと。これは実際の値と1分程度の誤差であり、15世紀の時点でかなり正確な数値を出すことが可能だったということに驚きですね!
写真:大山 平助
地図を見る残念なことに天文台は1449年に多くが破壊され、1908年に発掘されるまでは地下に埋まっていました。現在は天文台跡として丘のようになっており、頂上から観測施設に入ることができます。
写真は滑り台のように見えますが、これは太陽の南中を決定するために大変重要な部分。ここに光が入り込むことによって、天文台そのものが巨大な六分儀となっていました。この天文台によって、学者たちは正確な時刻を知ることができたのです。
写真:大山 平助
地図を見る偉大な天文台ではありますが、滑り台のような地下部分だけ見せられても実感できない……という方でもご安心を!天文台の近くにはウルグ・ベクと彼の功績を解説した博物館もあります。
写真:大山 平助
地図を見るここでは天文台の模型や断面図があるので、当時の天文台の様子や実際にはどのように計測していたか、分かるようになっています。他にも最新の宇宙工学を紹介したコーナーもあり、ウルグ・ベクがここで生涯研究し続けた天文学が5世紀の時を経て現在の宇宙工学へと繋がっていく……と思うと感動ですね。
<基本情報>
住所:Toshkent yo’li
アクセス:旧市街の中心レギスタン広場から車で15分程度
写真:大山 平助
地図を見る他にもサマルカンドにはウルグ・ベクの名のついたマドラサ(神学校)があります。これは旧市街中心部にあるレギスタン広場に位置し、現在は3つのマドラサがありますが、彼がここに初めてマドラサを建築したことにより、やがては美しい景観を持つ広場となったのです。
写真:大山 平助
地図を見る当時は研究者や学生が多く集まった神学校ですが、現在はマドラサ全体がお土産屋として利用されています。中にはアラビア語の書道で名前を書いてくれるというお土産屋もあり、他のマドラサと比べてアカデミックな雰囲気。
<基本情報>
住所:Registan
アクセス:鉄道駅から車で約20分程度
サマルカンドというと帝国の始祖であるティムールが注目されがちですが、帝国を発展させ、未来へと繋がる学問を奨励したウルグ・ベクに焦点を当てるのもまた違った視点で興味深いですよ。
ちなみに、彼はティムールと同じ、グーリ・アミール廟に眠っています。サマルカンドを観光する時は彼の足跡を辿ってみるとより深くウズベキスタンの歴史を楽しむことができるでしょう。
2019年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/10/6更新)
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