どちらを選ぶかは貴方次第!?三重県「伊勢山上」で岩場の修行体験

どちらを選ぶかは貴方次第!?三重県「伊勢山上」で岩場の修行体験

更新日:2019/06/30 16:48

土庄 雄平のプロフィール写真 土庄 雄平 山岳自転車旅ライター・フォトグラファー
三重県松阪市の山里に佇む飯福田寺には「伊勢山上」と称する広大な岩場が展開し、古来より多くの山伏(修験者)に親しまれてきましたが、明治時代から一般開放されたことで、誰でも行場が体験できる!と話題になっています。入山直後に現れる急激な鎖場「油こぼし」を越えると、そこからはアドベンチャーな岩場の連続でスリル満点!しかし、危険な箇所には迂回路も設定されているので安心です。どちらを選択するかは貴方次第!?

スタート直後からやや難所!「油こぼし」の鎖登り

スタート直後からやや難所!「油こぼし」の鎖登り

写真:土庄 雄平

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松阪市内から車で30分ほど進んだ山奥に「飯福田(いぶた)寺」は位置します。緑の濃さ、渓流のせせらぎ、澄んだ空気と、市街地からさほど離れていないにもかかわらず、秘境感があってすごく癒される場所です。

まず駐車場へ車を止めて、飯福田寺の社務所に立ち寄りましょう。必ず入山手続きが必要です。入山料500円を払ったら、行場の各ポイントの危険度や迂回路について住職さんから説明を受けるとともに、入山者は決して無理をせず無事に帰ってくることを誓います。

スタート直後からやや難所!「油こぼし」の鎖登り

写真:土庄 雄平

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そして階段を上り、鳥居をくぐれば修業場のスタートです。まず最初は淡々と山道を登りますが、5分ほどすると第一ポイント「油こぼし」が現れます。角度のついた岩盤を鎖を握りしめ、展望ポイントを目指します。

見た目こそ険しいですが、足を掛けてみれば案外登りやすいです!鎖を握る手、岩に掛ける足、どちらも滑ることがないようにしっかりと注意しましょう。なお左手に迂回ルートも用意されているので、どうしても怖くて進めない人はそちらを利用してくださいね。

スタート直後からやや難所!「油こぼし」の鎖登り

写真:土庄 雄平

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鎖の区間を越えれば、あとは緩やかな稜線登りで、ようやく一息つくことができます。そして「油こぼし」の頂上には行者尊が安置された展望スポットも!緑に囲まれる行場のロケーションの良さを思いっきり感じられるでしょう。

第二ポイント「鐘掛」が正念場!さぁどっちを行くか!?

第二ポイント「鐘掛」が正念場!さぁどっちを行くか!?

写真:土庄 雄平

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「油こぼし」の次が「鐘掛」です。岩にすっぽり覆われた岩屋本堂に参拝し、その横の壁から登っていきます。ここも油こぼし同様、見た目ほど怖くはないですが、「伊勢山上」の中で間違いなく最難所!自信のない人は必ず迂回しましょう。ボルダリングの経験がある人なら全く心配要らないと思います。しかし、自信のある人でも一回手と足を掛けてみて不安を感じたら、戻ることをお勧めします。

第二ポイント「鐘掛」が正念場!さぁどっちを行くか!?

写真:土庄 雄平

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鐘掛を越えると、ほぼ垂直な鎖登りが現れるのが正規ルート!足を掛けるところがあるといえども、下は崖になっていて要注意ポイントです。迂回ルートならば、先ほどの鐘掛とこの登りを省くことができます。それも、油こぼしより緩い斜面なので、確実かつ安全です。決して無理をしないよう、客観的に判断して、自分に合ったルート選定を行ってください!「同行者が行くから私も」といった安易な判断は命取りです。

第二ポイント「鐘掛」が正念場!さぁどっちを行くか!?

写真:土庄 雄平

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岩屋本堂の上は行場屈指の展望ポイントです。一気に視界が開けて、爽快な青空と山の緑が開けます。きっと、ここで修行をした修験者たちも、厳しい修行の傍でこの景色に癒されたはず!行場を通して、歴史に思いを馳せることもできますよ。

迂回してきた人はここからが本番!行場の後半へ

迂回してきた人はここからが本番!行場の後半へ

写真:土庄 雄平

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岩屋本堂を越えると、しばらく森の中へ。ここが休息区間になります。30分ほど熊野古道を彷彿とさせる修験道らしい道を進めば、行場の後半に至ります。ここまでほぼ迂回で、行場をあまり体験できなかったという人は、ここからが本番!慎重に行けば危険は少なく、面白い岩場が連続します。

迂回してきた人はここからが本番!行場の後半へ

写真:土庄 雄平

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まずは「鞍掛岩」から「蟻の戸渡」まで岩の稜線区間。天空へと続く岩の道です。角度がさほど急でなく、岩に窪みが多いため、手を使わずにサクサクと歩くことができます。登り切れば「伊勢山上」の周辺に展開する緑溢れるパノラマが美しく、思わず見惚れてしまうことでしょう。

そして正面奥に見える「飛石」まで一度鎖で降りて少し森の中へ戻ります。行場の後半は、下りの方が急なため、しっかりと鎖を持って安全に降りてくださいね。ちなみに迂回路も用意されているので安心です。

迂回してきた人はここからが本番!行場の後半へ

写真:土庄 雄平

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そして大空を突くかのような「飛石」!先ほどの「鞍掛岩」よりも窪みが多く登りやすいですが、最後の最後だけ少し歩くスペースが狭くなるのでご注意ください。こちらも登り切れば360度の絶景パノラマが望めます。なおこの周辺が行場で一番難易度が低いです。岩場の面白さを目一杯楽しんでくださいね。

完遂した者へのボーナスステージ!サクッと裏行場

完遂した者へのボーナスステージ!サクッと裏行場

写真:土庄 雄平

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「飛石」から下山すれば、行場が程なく終了します。ゴールしたら受付を行った社務所へ戻り、無事を知らせましょう。そうすると「裏行場」も行くか尋ねられます。

実は、先ほどまでご紹介した行場は「表行場」といい、「伊勢山上」のメインルートなのですが、実はもう一つ「裏行場」というものが存在し、表をクリアした者のみ、裏へ行くことが許されるのです。その理由は、迂回路なしの、鎖を使った急激な下りにあります。故に「表行場」の下りをこなせたかが指標になるのです。

「裏行場」は社務所から徒歩5分ほど行ったところに登り口があります。スタート直後の短い「油こぼし」を越えれば、頂上まで基本的に楽な道が続きます。

完遂した者へのボーナスステージ!サクッと裏行場

写真:土庄 雄平

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すると程なく裏行場の最高点「獅子ヶ鼻」へ到着。広い岩稜になっており、その先端まで進むことができます。岩の先に広がる緑が色鮮やかで見応えがあり!写真ほど狭く感じないので、注意しながらぜひ歩いてみてくださいね。

完遂した者へのボーナスステージ!サクッと裏行場

写真:土庄 雄平

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岩場のラストは「獅子ヶ鼻」からの下りです。こちらは足を掛けるところが多くあるため、鎖をしっかり持ち、足場を意識しながら降りれば大丈夫です。これを乗り越える頃には、岩場の楽しさに目覚めていること間違いないでしょう。そして、日常では感じられないような達成感も得られるはず!

「伊勢山上」は冒険心を掻き立てられる天然のアスレチック!

「伊勢山上」は冒険心を掻き立てられる天然のアスレチック!

写真:土庄 雄平

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日本でも類稀な山岳霊場「伊勢山上」。そこには日常では感じられない冒険心掻き立てられる世界が待っています。確かに険しい側面もあり、そこは重々注意しないといけないものの、迂回路により自分の力量に合わせてルートを選定できるため、ハードルは決して高くありません。高所恐怖症ではなく、ある程度趣味で身体を動かすことが好きな人はとても楽しめる天然のアスレチックと言えるでしょう!ぜひ一度、見たことのないであろう岩場の世界へチャレンジしてみてくださいね。

伊勢山上(飯福田寺)の基本情報

住所:三重県松阪市飯福田町273
電話番号:0598-35-0004
アクセス:松阪市内から車で約30分

※注意事項
・入山中の怪我・事故は自己責任のため、それを心得て入山願います。
・悪天候時、当寺が危険と判断した場合、入山できないことが御座います。
・季節や天候により前後しますが、原則16時までに下山ください。
・行場の岩を傷つけたり落書きすることは禁じられています。
・境内の草木・土・石を持ち帰ることは禁じられています。
・持ち込んだ物は必ず持ち帰ってください。

2019年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2019/06/08 訪問

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