写真:土庄 雄平
地図を見る幕末まで無人島だった上五島・中通島北部の孤島「頭ヶ島」。明治時代初めに迫害を逃れて潜伏キリシタンが移住したことで集落が営まれ始めます。そして、彼らがカトリックに復帰して営んだ教会こそ、世界遺産の「頭ヶ島天主堂」です。
写真:土庄 雄平
地図を見る特筆すべきは、その外観にあります。なんと、島内から切り出した五島石を使って作られた石造教会なのです!しかも、それをレンガのように積み上げています。日本の素材を使いながらヨーロッパ式を模したこの教会堂は、日本独自のキリシタン文化を象徴していると言えますね。
しかし、その背景は、決してそうした綺麗な言葉では片付けられません。実は、経済的に余裕がなかったキリシタンたちが立派な教会を作り上げようとした努力の結晶なのです。
写真:土庄 雄平
地図を見る島一帯の大自然に囲まれて密かに佇みながら、堂々としたその建物の姿は、弾圧に屈することなく隠れながら信仰を保ってきたキリシタンたちの力強い姿を連想させてくれますね。白浜を対岸に見る堤防から眺める「頭ヶ島の集落」の風景には、この地のキリシタンの軌跡が詰まっています。
<頭ヶ島天主堂の基本情報>
住所:長崎県南松浦郡新上五島町友住郷頭ヶ島638
電話番号:0959-42-8118
アクセス:有川港から車で約20分(2021年4月から上五島空港発着のシャトルバスが廃止され、車で乗り入れ可能となっています)
写真:土庄 雄平
地図を見る上五島・中通島の奈摩湾を見渡す高台に位置する「青砂ヶ浦(あおさがうら)教会」は、レンガを積み重ねて作られた大規模な教会堂です。その外観は、まさに西洋式といった面持ちで、先ほどの「頭ヶ島天主堂」とは大きく異なります。しかしながら実は共通点があるのです。
写真:土庄 雄平
地図を見るレンガで構成される壁部以外を見てみてください!入り口部の円柱や尖塔アーチなど至る所に、違う石材が使われていることに気づくでしょう。実は、これらは隣の「頭ヶ島」から採石された五島石なのです。
入手困難で高価な大理石ではなく、地元の加工しやすい素材を使うことで信者の経済的な負担を軽減しながら、五島らしい和洋折衷の教会を作り上げることに成功したと言えるでしょう。年季の入った五島石が良いアクセントになってくれますね!
写真:土庄 雄平
地図を見るまた教会の壁部にも、この教会ならではの装飾が施されています。実は、レンガの色と配列で「十字架」の意匠を作り上げているのです。細部までできることは全て落とし込んだ初期レンガ造り教会の傑作こそ、この「青砂ヶ浦教会」!ぜひ自分の目で、隅から隅まで目を凝らしてみてくださいね。
<青砂ヶ浦教会の基本情報>
住所:長崎県南松浦郡新上五島町奈摩郷1241
電話番号:0959-52-8011
アクセス:有川港から車で30分
写真:土庄 雄平
地図を見る中通島と若松大橋でつながった「若松島」の南、複雑に発達した入り江に面して佇む小さな港町「土井浦」にある白亜の教会こそ「土井ノ浦教会」です。ライトグレーの尖塔と真っ白な外観は、とても青空に映えて美しいです。
しかし、先ほどまで紹介してきた教会とは打って変わって、古さを感じさせない綺麗な外観を呈しています。実はこの教会は、大浦天主堂に次ぐ古い教会堂であった「旧大曽教会」を買い受けて修理し、大正7年に完成した新しい教会堂なのです。
写真:土庄 雄平
地図を見るしかし、そんなシンプルな教会堂の中は、重厚感のある実に教会建築らしい造りになっているので、入るとギャップに驚くでしょう!また、教会の外にも見所があります。それは虹色に輝くステンドグラス!ほとんどは教会の中から美しい色が醸し出されますが、「土井ノ浦教会」のものは外から眺めても、思わず見入ってしまう輝きを放ちます。
写真:土庄 雄平
地図を見る教会の雰囲気だけでなく、その立地も素晴らしいのが「土井ノ浦教会」。入り口から扉を開けて出てみれば、そこには土井浦の小さな港町と真っ青な湾が広がる絶景が現れます。教会がそのまま五島の集落に根ざしている。それを実感できるシーンですね。
<土井ノ浦教会の基本情報>
住所:長崎県南松浦郡新上五島町若松郷849-3
電話番号:0959-46-2126
アクセス:土井浦港から車で5分、奈良尾港から車で40分
写真:土庄 雄平
地図を見る中通島の南西部の沿岸に位置する、こぢんまりとした集落に位置する白亜の「桐教会」。印象的なのは、入り口に設けられた白亜の塔!三つの十字架が設けられ、丘の上に佇むその姿は、若松島との入り江を往来する船の安全を祈るかのようです。
写真:土庄 雄平
地図を見るこの教会の特筆すべきは、周辺の風景とのコラボレーションでしょう!まず教会が位置する高台から広がる桐集落の瀬戸が本当に美しいです。見たことのないエメラルドグリーンの海に、漁船が連なるという何とも不思議な景観。五島でもここでしか見られない海の色です。
写真:土庄 雄平
地図を見る教会から少し進んで見返す景観もまた一興です!先ほどとは違う清涼感ある水色の海の先に、立派に佇む教会堂が飛び込んできます。自然と集落、そして教会が一体となったこうした風景こそ、五島旅の醍醐味と言えるでしょう。
<桐教会の基本情報>
住所:長崎県南松浦郡新上五島町桐古里郷452
電話番号:0959-44-0006
アクセス:奈良尾港から車で20分
沢山の教会が営まれ、それらが集落景観に溶け込んでいる五島列島。教会単独でも見応えあるのは勿論ですが、その周囲も含めて空間として捉えた時に、そこには集落ごとのストーリーがあり、それを物語るものこそ教会堂だと気づくでしょう。例えば、教会が建設された背景、表現に施された思い、そして集落にとってどんな場所になっていたか!?など様々な側面へ思いを馳せることができます。五島へ教会めぐりの旅へ行く際は「空間」を意識してみてくださいね!
2021年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/3/19更新)
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