上野・国立西洋美術館の礎となった「松方コレクション」百年の物語

| 東京都

| 旅の専門家がお届けする観光情報

上野・国立西洋美術館の礎となった「松方コレクション」百年の物語

上野・国立西洋美術館の礎となった「松方コレクション」百年の物語

更新日:2019/07/02 12:47

橋本 菜摘のプロフィール写真 橋本 菜摘 アートブロガー
上野の国立西洋美術館は2019年で開館60周年、2016年には本館がユネスコ世界文化遺産に登録されました。「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」は2019年6月11日から9月23日まで開催。展覧会では作品収集から現在までのおよそ100年を作品でたどります。
旧蔵のゴッホ、ゴーガン、マネ、マティスの傑作、新発見のモネが揃い、新たな研究発表の場でもあります。
LINEトラベルjpなら、その旅行代LINEポイントで戻ってきます!対象はこちら

松方コレクションの歴史をたどる

松方コレクションの歴史をたどる

写真:橋本 菜摘

地図を見る

実業家・松方幸次郎(1866-1950年)は「ヨーロッパの本物の油絵を日本の若い芸術家たちに見せたい」と1910-20年代に約1万点もの美術作品を集めました。その後、売立て、焼失、接収など、コレクションは苦難の歴史を経て、1959年開館の国立西洋美術館の礎になりました。

松方コレクションの歴史をたどる

写真:橋本 菜摘

地図を見る

「プロローグ」で《睡蓮》が濃紺の壁を背景に色鮮やかに来館者を迎えます。1921年に松方がモネを訪ねて購入したもの。右の肖像は松方50代、作品収集に協力した国際的な芸術家ブラングィンが生き生きと描きました。

左:クロード・モネ《睡蓮》1916年 国立西洋美術館(松方コレクション)
右:フランク・ブラングィン《松方幸次郎の肖像》1916年 国立西洋美術館(旧松方コレクション)

松方コレクションの歴史をたどる

写真:橋本 菜摘

地図を見る

まずはロビーでモネ《睡蓮、柳の反映》をご覧下さい。2016年にルーヴル美術館で発見され、最先端技術でデジタル推定復元したもの。松方が作品収集した想いをつなぐように、クラウドファンディングで制作等にかかる費用の一部を募りました。この作品は写真撮影が可能です。展覧会の最後に修復した油彩画が展示されています。

クロード・モネ《睡蓮、柳の反映》1916年 デジタル推定復元図 監修:国立西洋美術館 制作:凸版印刷株式会社

コレクションはロンドンから始まった

コレクションはロンドンから始まった

写真:橋本 菜摘

地図を見る

展覧会は8章に分かれ、最初は「1 ロンドン 1916−1918」。作品が2段、3段に掛かり、海外の美術館のような雰囲気に圧倒されます。1916-18年、川崎造船所の社長であった松方はロンドンを拠点に自社船を売込み、作品収集も始めました。ここでは散逸作品の中でも修復を終えたばかりの松方旧蔵作品等を展示。

コレクションはロンドンから始まった

写真:橋本 菜摘

地図を見る

豪華な祭壇画にはやさしい眼差しの聖母と巻き毛の幼子。裏には過去に所蔵していた画廊等のラベルが貼ってあり作品の歴史がわかります。
同室「2 第一次大戦と松方コレクション」には従軍画家が描く遺児、焼き尽くされた大地なども。

かつてパーニャカヴァッロに帰属《聖母子と洗礼者ヨハネ》国立西洋美術館(旧松方コレクション)

コレクションはロンドンから始まった

写真:橋本 菜摘

地図を見る

ガラスケースに資料を展示。2016年発見の「バンテクニカン倉庫保管絵画等リスト:松方幸次郎氏資産」(テート・アーカイヴ、ロンドン)により1939年にロンドン火災で焼失した作品の研究が進みました。

写真は「散逸期の松方コレクション売立目録」(1928年から1941年まで 国立西洋美術館)、展示作品を表紙に掲載した目録も。

ガラス乾板で往時を知る

ガラス乾板で往時を知る

写真:橋本 菜摘

地図を見る

「3 海と船」、初期コレクションの特徴のひとつに海や船の主題があります。
左は、1921年に皇太子裕仁親王(昭和天皇)がヨーロッパ滞在時にノルマンディー地方ル・アーヴル港到着の様子を松方が画家に依頼した作品。ル・アーヴルはモネが《印象、日の出》を描いた港町としても知られています。

ウジェーヌ=ルイ・ジロー《裕仁殿下のル・アーヴル港到着》1921-22年 国立西洋美術館(松方コレクション)

ガラス乾板で往時を知る

写真:橋本 菜摘

地図を見る

「4 ベネディットとロダン」では、ロダンの彫像や水彩画等を展示。1918年に松方はロダン美術館と契約、50点以上のロダン・コレクションを築きます。右の、ロダン《地獄の門》には200体を超える人物像が配され、ここから多くの彫像ができました。マケット(模型)展示ですが、前庭で実物をご覧下さい。

オーギュスト・ロダン《地獄の門》のマケット(第三構想)1881-82年頃/1917年(原型)国立西洋美術館(松方コレクション)

ガラス乾板で往時を知る

写真:橋本 菜摘

地図を見る

2018年、ロダン美術館に保管当時の松方コレクション365点のガラス乾板が見つかり、新発見のモネ《睡蓮、柳の反映》の全体像も判明しました。

ロダン美術館保管時時代に松方コレクションを写したガラス乾板(ピエール・シュモフ撮影)16点 フランス文部省・建築文化財メディアテーク

LINEトラベルjpなら、その旅行代LINEポイントで戻ってきます!対象はこちら

パリで集めた印象派

パリで集めた印象派

写真:橋本 菜摘

地図を見る

「5 パリ 1921-1922」はパリで集めた名作。濃い色のプレートは購入した画廊を示し、右2点はノードラー画廊から購入、クールベ作品裏に同画廊のラベルもあります。

左:ジャン・フランソワ・ミレー《春(ダフニスとクロエ)》1865年 国立西洋美術館(松方コレクション)
中:ギュスターヴ・クールベ《海岸の竜巻(エトルタ)》1870年 横浜美術館(坂田武雄氏寄贈)
右:クロード・モネ《陽を浴びるポプラ並木》1891年 国立西洋美術館(松方コレクション)

パリで集めた印象派

写真:橋本 菜摘

地図を見る

左の作品、着物姿の女性は松方の姪・黒木竹子、パリ滞在の夫と共に松方をモネと引き合わせ一緒にアトリエを訪ねました。モネ2点は1878年から83年まで暮らした街ヴエトゥイユ、後半生を過ごしたジヴェルニー。

左:エドモン・アマン=ジャン《日本婦人の肖像(黒木夫人)》1922年 国立西洋美術館(松方コレクション)
中:クロード・モネ《ヴェトゥイユ》1902年 国立西洋美術館(松方コレクション)
右:クロード・モネ《舟遊び》1887年 国立西洋美術館(松方コレクション)

パリで集めた印象派

写真:橋本 菜摘

地図を見る

特別な枠にはゴッホ《アルルの寝室》。戦後の日本とフランスの返還交渉でフランスに留置かれ、その重要性がわかります。《ばら》は入院中の精神療養院で描いたもの。2点を描いた翌1890年にゴッホは自ら命を絶ちました。

左:フィンセント・ファン・ゴッホ《ばら》1889年 国立西洋美術館(松方コレクション)
右:フィンセント・ファン・ゴッホ《アルルの寝室》1889年 オルセー美術館

百年待ったモネの大作

百年待ったモネの大作

写真:橋本 菜摘

地図を見る

「6 ハンセン・コレクションの獲得」は1922-23年に松方がコペンハーゲンの実業家より入手した34点から選りすぐりの作品、「7 北方への旅」は1921年に松方がドイツ等でコレクションの幅を広げた作品を展示。
「8 第二次世界大戦と松方コレクション」でコレクションの行方を追います。1927年の金融恐慌で造船所が経営破綻し松方は社長を辞任、コレクションは散逸。39年ロンドンの倉庫保管分は焼失、パリ保管分はドイツ軍の侵攻を避けて郊外に移動、第二次大戦末期にフランスに接収されました。
その後、日本とフランスの交渉により接収された作品の内375点が寄贈返還され1959年に西洋美術館が開館。2019年現在、同館は約6000点の作品を所蔵しています。

ハンセン・コレクションから
左:エドガー・ドガ《マネとマネ夫人像》1868-69年 北九州市立美術館
中:エドゥアール・マネ《ブラン氏の肖像》1879年頃 国立西洋美術館(松方コレクション)
右:エドゥアール・マネ《自画像》1878-79年 石橋財団ブリヂストン美術館/石橋財団アーティゾン美術館

百年待ったモネの大作

写真:橋本 菜摘

地図を見る

2016年にルーヴル美術館で発見された《睡蓮、柳の反映》も松方がモネから購入。カンヴァスの上半分が失われ、残った部分を修復して展示しています。カンヴァスの上半分欠損はフランス疎開時代の保管状態がよくなったためと推測されています。

左下にサインと1916年の表記、絵具が盛り上がった赤い花が浮き上がって見えます。ロビーで見たデジタル推定復元図を思い出してください。

クロード・モネ《睡蓮、柳の反映》1916年 国立西洋美術館 松方幸次郎御遺族より寄贈(旧松方コレクション)

百年待ったモネの大作

写真:橋本 菜摘

地図を見る

特設売り場、ミュージアムショップにもモネ、ゴッホ等のグッズが揃っています。
東京国立博物館は松方コレクションの浮世絵約8000点を収蔵、2019年6〜9月、4期に分けて展示されます。

「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」の基本情報

会場:国立西洋美術館(上野公園)
住所:東京都台東区上野公園7-7
電話番号:03-5777-8600(ハローダイヤル)
アクセス:JR上野駅下車(公園口)徒歩1分
京成電鉄京成上野駅下車 徒歩7分、東京メトロ銀座線、日比谷線上野駅下車 徒歩8分

会期:2019年6月11日(火)〜9月23日(月・祝)
開館時間:9時30分〜17時30分(金曜日、土曜日は21時まで)
休館日:毎週月曜日、および7月16日(火)は休館
7月15日(月・祝)、8月12日(月・休)、9月16日(月・祝)、9月23日(月・祝)は開館
観覧料金:一般1600円、大学1200円、高校生800円、中学生以下は無料

2019年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

LINEトラベルjpなら、その旅行代LINEポイントで戻ってきます!対象はこちら
掲載内容は執筆時点のものです。 2019/06/10 訪問

- PR -

条件を指定して検索

LINEトラベルjpで一緒に働きませんか?

- PR -

旅行ナビゲーター(在宅ライター)募集中!
この記事に関するお問い合わせ

- PR -