写真:藪内 成基
地図を見る名古屋駅からJR特急ワイドビュー南紀に揺られて約2時間40分。和歌山県との境に近い三重県南部の町、三重県尾鷲市に到着します。
「尾鷲ヒノキ」で栄えた林業の町として、また漁業の町として知られます。降水量の多さも有名で、台風シーズンのニュースで名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
写真:藪内 成基
地図を見るJR尾鷲駅から徒歩10分ほど、尾鷲市役所や尾鷲市立図書館が集まる町の中心に、小高い丘があります。「中村山公園」と呼ばれ、かつては城跡だったという伝承が残っています。熊野古道が通る尾鷲の町並みや熊野灘を一望できる展望スポット。春には桜の名所として親しまれています。
写真:藪内 成基
地図を見る紺碧の海と緑深い山々に囲まれ、確かに眺めがよく、かつては城があり見張りの機能があったのかも知れませんが、実際には城跡らしき名残りはありません。
ふと背後を見上げると、城の代わりにドーム型をした白い外壁の建物。近づいてみると「尾鷲市立天文科学館」があるのです。
写真:藪内 成基
地図を見る尾鷲市立天文科学館は鉄筋コンクリート造2階建ての博物館。金曜から日曜にのみ開館し、金曜と土曜には19時から21時30分に夜間観望会が開催されます。
館内の2階に設置された反射望遠鏡は、口径81cm、重量6tもあり、自治体としては国内最大級の大きさ。この巨大な反射望遠鏡を使って、昼間には太陽のプロミネンスや黒点、夜間には月や惑星、星雲などを観ることができるのです。
写真:藪内 成基
地図を見る尾鷲市立天文科学館は1990年に尾鷲市街に開館。親子で楽しめる天文台として知られ、幼少期からずっと通い続ける地元の方もいらっしゃいます。
81cm大望遠鏡で7惑星を観望すると記念証がもらえたり、スマートフォンで月が写せたりと、様々な楽しみ方が体験できます。
写真:藪内 成基
地図を見る降水量が多く空気の透明度が高い尾鷲だからこそ、星空を見るのに適しているのです。
気象庁の年降水量の平年値の記録(1981年〜2010年)によると、鹿児島県屋久島、宮崎県えびの市、高知県馬路村に次いで尾鷲市は全国で4番目。雨粒が大きく、跳ね返りが激しいことから「尾鷲の雨は下から降る」と言われるほど。いつも降っているわけではなく、降る時にたくさん降る気候です。
熊野灘に面し、背後にある紀伊山地が雨の多い環境に影響しています。
写真:藪内 成基
地図を見る熊野古道の中でも伊勢神宮と熊野三山を結ぶ「伊勢路」が尾鷲市を通っています。尾鷲ヒノキの美林に包まれた、美しい石畳が続く馬越峠(まごせとうげ)の入口までは、JR尾鷲駅から歩いて約2q。
世界遺産指定部分から外れていますが、尾鷲市街の町並みも歴史情緒漂います。江戸時代には紀州藩のもとで江戸への木材搬出港として重要視され、往時を偲ばせる伝統的な商家が残っています。
天文ファンはもちろん、熊野古道を旅される際には、ぜひ立ち寄られてみてはいかがでしょうか。
住所:三重県尾鷲市中村町10-4
電話番号:0597-23-0525
アクセス:JR尾鷲駅より徒歩約15分
尾鷲市立天文科学館の詳細については、下記の関連MEMOもご参照ください。
2019年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事の関連MEMO
この記事を書いたナビゲーター
藪内 成基
国内・海外で年間100以上の城を訪ねて執筆・撮影。著書に『講談社ポケット百科シリーズ 日本の城200』(講談社/2021年7月発売)。出版社にて旅行ガイドブック『るるぶ』海外シリーズや旅行雑誌『ノジュ…
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