駅弁持って「特急 いさぶろう・しんぺい」へ!九州屈指の観光列車に乗ろう

駅弁持って「特急 いさぶろう・しんぺい」へ!九州屈指の観光列車に乗ろう

更新日:2019/07/21 11:17

かのえ かなのプロフィール写真 かのえ かな 鉄道ひとり旅ライター、駅舎・マンホール愛好家
鹿児島県の吉松駅と熊本県の人吉駅間を走る、JR肥薩線の観光列車「特急 いさぶろう・しんぺい」。その道中は21の山岳トンネルあり、山肌をジグザグに走るスイッチバックあり…と、まさに山登りできる列車です。

沿線には日本三大車窓があるほか、名刺を貼れば出世すると噂の大畑駅(おこばえき)も!見どころ満載の特急 いさぶろう・しんぺいに、名物駅弁を持って乗車しましょう。

名物駅弁を持って、特急 いさぶろう・しんぺいへ!

名物駅弁を持って、特急 いさぶろう・しんぺいへ!

写真:かのえ かな

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鹿児島県・宮崎県・熊本県の3県を走行するJR肥薩線。そのうち、鹿児島の吉松駅と熊本の人吉駅間を特急 いさぶろう・しんぺいは走ります。

ちなみに人吉から吉松へ向かうのが“いさぶろう”、吉松から人吉へ向かうのが“しんぺい”です。いずれも鉄道にまつわる偉人の名前が由来となっています。

車両は深みのある赤色に塗装され、特別感がありますね!

名物駅弁を持って、特急 いさぶろう・しんぺいへ!

写真:かのえ かな

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車内に入ると、こげ茶色の木製インテリアが配されています。暖色系の照明に照らされ、ぬくもりを感じるとともにシックな雰囲気も漂います。

ボックス席のほか、大きな窓で車窓を楽しめる展望スペースもありますよ。

名物駅弁を持って、特急 いさぶろう・しんぺいへ!

写真:かのえ かな

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いさぶろう・しんぺいに乗るときは、ぜひ駅弁を買っていきましょう。吉松駅・人吉駅それぞれに人気の駅弁があり、駅のホームで今は珍しい駅弁の立ち売りもしていますよ。

写真は人吉駅名物、人吉駅弁やまぐちの“栗めし”です。栗の形をした弁当箱の中には、大粒の栗がゴロゴロと入った栗めしが。ごはんも栗も程よい甘さで癖になります。

おかずは厚焼き玉子や煮物、高野豆腐など。立ち売りのほか、駅構内のkioskや駅前の売店でも売られていますが、土日は早めに買わないと売り切れることもあるのでご注意を。

吉松駅では、駅弁たまりの幕の内風弁当“御弁当”が買えますよ。

おもてなしとスイッチバックを楽しむ!真幸駅

おもてなしとスイッチバックを楽しむ!真幸駅

写真:かのえ かな

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続いては、いさぶろう・しんぺいで停車する駅や道中の見どころを紹介しましょう。まずは、宮崎県えびの市にある真幸駅です。

列車が駅に着いたら、車窓からは地元の方があたたかく出迎えてくれるのが見えます。手がよく見えるように大きい手袋をしているのがポイントです。

駅を降りたらホームにある幸せの鐘を鳴らしましょう。この鐘は鉄道マンが仕事の安全を願って鳴らし続けたもので、今は幸せに感謝しながら鳴らすと良いとされています。

おもてなしとスイッチバックを楽しむ!真幸駅

写真:かのえ かな

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真幸駅といえば、楽しみなのがスイッチバック走行です。「行ってまいります」という車内アナウンスとともに、車両は駅を左に見て山肌を登り始めます。そして、先ほど通ってきた線路が、いつの間にか目の前に…。なんとも不思議な体験ですね。

おもてなしとスイッチバックを楽しむ!真幸駅

写真:かのえ かな

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山肌を登り切り、再び駅の前まで降りてくると、列車が遠くなっても地元の方が手を振ってくれているのが見えます。この温かなおもてなしとスイッチバックが、真幸駅の魅力です。

<真幸駅の基本情報>
住所:宮崎県えびの市大字内堅947
アクセス:吉松駅から13分、人吉駅から約1時間

日本三大車窓を見たら、最高地点にある矢岳駅へ

日本三大車窓を見たら、最高地点にある矢岳駅へ

写真:かのえ かな

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いさぶろう・しんぺいが走る区間には、全部で21の山岳トンネルがあります。そして、JR肥薩線最長(全長2,096m)の矢岳第一トンネルを通り抜けたところで、列車は一旦ストップ!ここから見える景色は、日本三大車窓に数えられています。

目の前に広がるのは京町温泉郷。その奥には、えびの高原や霧島連山が見えます。霞がかった山並みは、神秘的で特にきれいです。天候によっては雲海が現れたり、桜島が見えたりします。

吉松駅から出発する場合は右側の、人吉駅から出発する場合は左側の展望スペースに立つと、よく見えますよ。

日本三大車窓を見たら、最高地点にある矢岳駅へ

写真:かのえ かな

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矢岳第一トンネルのそばにあるのが、矢岳駅です。大きな木造駅舎には、レトロな駅名標が。駅舎内の待合室にも入れますよ。

駅のそばにはSL展示館があり、“デゴイチ”という愛称でおなじみのD51-170号型蒸気機関車と8620型SLの動輪が展示されています。

日本三大車窓を見たら、最高地点にある矢岳駅へ

写真:かのえ かな

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ホームのはじっこにある柱にも注目!矢岳駅は標高536.9mにある駅で、JR肥薩線では最高地点に位置しているのですが、これはそのことを証明する柱なのです。

よく見ると“矢岳駅標高 五三六.九米”と書かれています。文字が読みにくくなっていますが、かえって歴史を感じさせる魅力があります。

<矢岳駅の基本情報>
住所:熊本県人吉市矢岳町4706
アクセス:吉松駅から38分、人吉駅から約45分

名刺を貼れば出世する…と噂の大畑駅へ!

名刺を貼れば出世する…と噂の大畑駅へ!

写真:かのえ かな

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続いては、熊本県人吉市の大畑駅へ。こちらもレトロな木造駅舎に瓦屋根。出入口には手作り感満載の顔出しパネルや、人吉・球磨地方の郷土玩具“きじ馬”などが飾られています。

そして、特に注目してもらいたいのが駅出入口の壁です。小さな紙がたくさん貼ってあるのが分かりますか?

名刺を貼れば出世する…と噂の大畑駅へ!

写真:かのえ かな

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小さな紙の正体は、名刺です。大畑駅には駅舎の壁に名刺を貼ると出世するという噂があり、多くの観光客が記念に貼っています。駅舎の外壁のみならず、待合室の中にも名刺がびっしり!珍しい光景をぜひ目に焼きつけておきましょう。

名刺を貼れば出世する…と噂の大畑駅へ!

写真:かのえ かな

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駅待合室にある駅ノートに、記念のメッセージを書くのも良いですね。

また、大畑駅はループ線上にスイッチバックがある日本で唯一の鉄道駅でもあります。大畑駅を出発したら列車はバック走行し、半径を描きながら山の尾根をのぼります。最後は眼下に大畑駅が眼下に見えるので、ぜひ車窓をチェックしてみてくださいね。

<大畑駅の基本情報>
住所:熊本県人吉市上漆田町
アクセス:吉松駅から約60分、人吉駅から16分

SL人吉に鉄道ミュージアムもある!人吉駅

SL人吉に鉄道ミュージアムもある!人吉駅

写真:かのえ かな

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城の形をしたからくり時計が名物の人吉駅。こちらでは駅周辺に鉄道ファン必見の観光スポットがたくさんあります。

SL人吉に鉄道ミュージアムもある!人吉駅

写真:かのえ かな

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まずはこちら、現役の列車では日本最古のSLとして知られる“SL人吉”です。運行日に人吉機関車庫そばの見学スペースまで行けば、今は貴重な転車台による蒸気機関車の方向転換が見られます。

SL人吉が転車台に入る時間は14時前ごろが目安です。方向転換の後は、車両との連結も間近で見られますよ!

SL人吉に鉄道ミュージアムもある!人吉駅

写真:かのえ かな

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駅そばの鉄道博物館、「人吉鉄道ミュージアム MOZOCAステーション868」も必見!建物の中に通じる線路は、ミニトレインが走ります。

館内には観光列車“かわせみ やませみ”や周辺の鉄道史に関する資料を展示。カフェもあるので、スイーツやお茶をお供にひと休みするのも良いでしょう。食事の持ち込みもOKなので、駅弁も食べられますよ。

<人吉駅の基本情報>
住所:熊本県人吉市中青井町上青井田326-1
アクセス:吉松駅から約1時間20分

特急 いさぶろう・しんぺいで、観光列車の魅力を満喫!

日本三大車窓をはじめ、山あり谷ありの絶景を楽しめる、特急 いさぶろう・しんぺい。停車する駅はどこもローカル線ならではの味わいがあり、おもてなしの温もりは旅の癒しになることでしょう。

なお、乗車前には運行スケジュールや車両編成を確認してくださいね。いさぶろう・しんぺいで、九州観光列車の魅力を満喫しましょう。

2019年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2019/03/17 訪問

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