写真:小野 雅子
地図を見るニューヨークのブロンクスで生まれ育ったユダヤ系アメリカ人、スタンリー・キューブリック。医者だった父親ジェイコブがカメラを趣味としていた影響もあり、子供の頃から写真撮影やアート全般に造詣を深めていきました。19歳にしてプロのフォトグラファーとなった彼はやがて映画製作を始め、世界中の映画ファンに支持される監督となりました。
その後1965年にイギリスへ移住してからは殆どイギリス国外へ出ず、撮影もすべてロンドン周辺を中心とするイギリス国内。享年70歳で永眠した際も本人の遺志により、自宅の庭にある彼が愛した木の下に埋葬されました。
人生の後半をずっとイギリスで過ごしたキューブリックの大回顧展は、以前よりドイツなど欧州数か国からアメリカ南北、また韓国でも開催されてきました。そして彼の没後20周年となる2019年、いよいよロンドンで催される運びとなったのです!
写真:小野 雅子
地図を見る場所はロンドンのケンジントン地区にある「デザイン・ミュージアム」。イギリスの博物館・美術館は常設展示だけならば入場無料のところが多くここも同様ですが、期間限定の特別展は有料。キューブリック展の入場料金は大人16ポンド、学生12ポンド、小人(6歳〜15歳)8ポンドです。
当日券も販売していますが、一定時間内の入場人数制限のため希望する時間帯に入れず待ち時間が発生する場合もあります。できるだけ事前にオンライン販売でチケット購入しておくのがお勧め。
写真:小野 雅子
地図を見るミュージアムに入ると真っ先に目に飛び込んでくるのが、この鮮やかなオレンジのアダム・ブラザーズ社製スポーツカー。これは「時計仕掛けのオレンジ」でマルコム・マクダウェルが怪演した主人公アレックスが運転し、不良仲間たちと疾走するシーンに使われた車と同じモデルです。
ちなみにこの車だけは入口ホールのチケット売り場前に展示されているため、キューブリック特別展に入らなくても見る事ができます。もしも特別展を見る時間がなかったり、当日券を買おうと思ったら希望時間帯が売り切れだった場合には、せめてこの車とショップ内の限定販売グッズだけでも楽しんでくださいね。
写真:小野 雅子
地図を見るキューブリック展へと続く通路には、ジャック・ニコルソン主演の恐怖映画「シャイニング」で使用された幾何学模様のカーペットが敷かれています。幼い息子役の少年が玩具のクルマに乗って走った、印象的なあのカーペットです。セレブが歩くレッド・カーペットさながらに、その上を歩いてキューブリック世界へ!
すると「2001年宇宙の旅」オープニングに使われたリヒャルト・シュトラウス作曲「ツァラトゥストラはかく語りき」の音楽とともに、宇宙飛行士デイヴに誘われるように入っていく・・・という趣向も憎いほど。
写真:小野 雅子
地図を見るまず最初に入る部屋には、キューブリックが使用していた撮影機器の数々や、彼自身の手書きによる制作メモに絵コンテ、また映画製作に関わった人々との書簡や資料などが並びます。中には女優オードリー・ヘップバーンからの手紙などもあり、どれも見逃せません。
写真:小野 雅子
地図を見るカメラやレンズ類も数多く、特にNASAから提供された特殊レンズは必見。「2001年宇宙の旅」を制作したのが1968年、アポロ11号の月面着陸が1969年、そしてキューブリックは1965年にイギリス移住してから2度とアメリカに戻らなかった。という経緯もあわせて、今でも彼とアポロ11号の月面着陸シーンを関連付ける説があり、その根拠のひとつとされているレンズです。
キューブリックはそのレンズの性能を活かして、1975年公開の「バリー・リンドン」ではロウソクの灯りだけによる室内撮影を成功させました。
写真:小野 雅子
地図を見るキューブリック自身に関する資料がメインとなった最初の部屋を見終わったら、初期の作品から年代を追って進みます。初期の大作「スパルタカス」でローレンス・オリヴィエが着用した衣装のようにオリジナルも多く、随所に設置されたスクリーンで上演される名場面やインタビューなどを交え、当時の撮影現場を想像できるよう工夫されています。
写真:小野 雅子
地図を見る「シャイニング」では原作者のスティーヴン・キングによる脚本を採用せず他の脚本家を起用し、キングとの関係に緊張が生じた彼。小説の中に登場した赤いVWビートルではなく黄色いビートルを主人公に運転させたうえ、そのドライブ場面の途中では赤いビートルが事故で大破した映像もわざわざ撮り「この映画は制作権を買い取った自分のもの」と無言で証明したとも言われています。唯一無二の奇才であるだけでなく、強烈な個性も感じさせるエピソードですよね。
とはいえ「ロリータ」公開セレモニーでは出演者だけでなく原作者ウラジミール・ナボコフも交えた記念写真のバックに「もし再びこの映画を撮り直す機会があったならば、もっと原作に近いセクシャルな内容にしたい」というキューブリックの言葉も添えられ、いつでも原作者と仲たがいしていた訳ではありません。彼にとって最も大事なのは、自分が満足できる映画を目指すことだけ!
写真:小野 雅子
地図を見る他にも「時計仕掛けのオレンジ」でアレックスの部屋にあったタイプライターやレコード・プレーヤーや実際に使用したステッキ、「フルメタル・ジャケット」で主人公ジョーカーが被っていたヘルメット、「2001年宇宙の旅」冒頭を飾った猿人たちの着ぐるみ等、どれもキューブリック・ファンにとっては感動もののアイテムばかり。
それぞれに添えられた解説も読みながら1点ずつ見ていくと、あっという間に3時間や4時間は経ってしまいます。なおフラッシュを使わなければ写真撮影もOKです。
写真:小野 雅子
地図を見るスタンリー・キューブリック展のあとも時間があれば、ぜひ常設展も鑑賞しましょう。館名が示すとおりデザイン全般に関するミュージアムですからヴィジュアル効果満点、大人も子供も好奇心を満たされます。
写真:小野 雅子
地図を見る家電製品デザインのコーナーにはアップル製品、ブラウン製品と肩を並べてソニー製品も展示されています。初代ウォークマンや子供用オーディオとして注目を浴びたマイ・ファースト・ソニーの一連商品などは懐かしいだけでなく、そのデザイン性にも改めて関心!
写真:小野 雅子
地図を見るイッセイ・ミヤケがリアリティ・ラボ・チームと共に生み出した「132 5.」コレクションの服もあり、日本を代表するデザイナーがこちらでも大いに評価されているのを実感します。
写真:小野 雅子
地図を見るこちらは2階にあるカフェ・レストラン。陽当たりが良く広々としたスペースでお茶やランチを楽しみながら、今しがた見てきたばかりの展示についてゆっくり反すうするのに絶好の場所ですね。
写真:小野 雅子
地図を見るコーヒー・紅茶は3.50ポンドから。サンドウィッチや温かい食事のメニューも豊富ですが、サクッとクロワッサンやデーニッシュなども軽食にちょうど良いでしょう。
写真:小野 雅子
地図を見る博物館を出る前には、ショップへも立ち寄ってみませんか?キューブリック展にともなう限定販売グッズだけでなく、ミュージアムご推薦の粋なデザインを施した品々も素敵なロンドン土産になりそうです。
映画史に輝く名作を残したスタンリー・キューブリックの大回顧展は、2019年9月15日まで開催中。今のところ日本での開催は未定につき、ぜひロンドンで鑑賞してみませんか?!
住所:224-238 Kensington High St, Kensington, London W8 6AG
電話番号:+44-20-3862-5900
アクセス:地下鉄ハイストリート・ケンジントン(High Street Kensington)駅から徒歩3分
2019年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/4/19更新)
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