大阪「直木三十五記念館」直木賞のルーツにふれる隠れ家のような記念館

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大阪「直木三十五記念館」直木賞のルーツにふれる隠れ家のような記念館

大阪「直木三十五記念館」直木賞のルーツにふれる隠れ家のような記念館

更新日:2019/07/05 09:25

潮 佳澄のプロフィール写真 潮 佳澄 司書

本好きならずとも毎年7月と1月に受賞作の話題を耳にする"直木賞"。「直木三十五記念館」は直木賞のルーツである直木三十五の生まれた地・大阪にあります。

地元の人々の手によってつくられた記念館はビルの一角にあり、まるで隠れ家のよう。町に息づくミュージアムであなたの知らない"大阪"にふれてみませんか?

複合文化施設「萌〜HOU〜」で訪れる人を待つ記念館

複合文化施設「萌〜HOU〜」で訪れる人を待つ記念館

写真:潮 佳澄

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大阪メトロ谷町六丁目駅から歩いて7分ほど。空堀商店街から脇道に入ると記念館の看板を掲げたビルへと行きつきます。現在、隣は公園となっていますが、直木の通っていた小学校(桃園小学校)に隣接する場所に位置します。

記念館の入るビルは複合文化施設"萌〜HOU〜"として運営されていて、一見するとどこが記念館の入口か迷ってしまいますが、ビル2階奥の一角が「直木三十五記念館」となっています。

直木賞に名を残す作家・直木三十五を知る

直木賞に名を残す作家・直木三十五を知る

写真:潮 佳澄

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ビルの2階へと進み、記念館の隣にある"コワーキングスペース 往来"で入館料を渡して木製の引き戸を開けると外の世界とは一変、黒塗りの壁に畳敷きのある不思議な空間が広がります。黒一色の部屋は、直木が自分で設計した横浜の金沢地区富岡の家がイメージされています。

直木の富岡の家には玄関がなく、内壁は黒一色で統一され、トイレや浴室には黒いタイルが敷き詰められた一風変わった家だったそう。富岡の家から譲り受けた調度品の他にも、大衆文芸の歴史を変えた作家の意外な奔放さを展示品から知ることができます。

直木賞に名を残す作家・直木三十五を知る

写真:潮 佳澄

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展示品には芥川龍之介宛の書簡、ご遺族から寄贈された戸籍謄本や婚姻届などがあります。戸籍謄本でも確認できるように本名は"植村宗一"、大阪市南区内安堂寺町に生まれました。筆名である直木三十五は"なおき さんじゅうご"と読みますが、由来は以下のように著されています。

"植村の植を二分して直木、この時、三十一才なりし故(ゆえ)、直木三十一と稱(しょう)す。" (『直木三十五全集 別巻』示人社「著者小伝」より )

直木は本名である植村を分け、三十五はなんと年齢から三十一という筆名にしたとのこと。その後、年齢にあわせて筆名が変わり、三十四を飛ばして三十五に落ち着いたそうです。思わずそんな適当な…と言いそうになりますが、意外な由来からしてどんな作家だったのか興味がそそられます。

直木作品、過去の直木賞受賞作品を寝転んで読みふける

直木作品、過去の直木賞受賞作品を寝転んで読みふける

写真:潮 佳澄

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直木は明治24年に生まれ、昭和6年に代表作『南国太平記』で人気作家として広く知られようになりました。43歳の時に結核性脳膜炎でこの世を去るまで大衆小説・時代小説など多くの作品を生み出しています。直木賞は文芸春秋の創業者であり、直木の友人であった菊池寛が昭和10年に制定したもの。エンターテイメント作品に贈られる名誉ある賞として、毎年7月中旬・1月中旬に芥川賞とともに選考会が行われます。

直木自身は、1時間に5枚から10枚ほども書いたという筆の速さだったそう。でも、意外にも原稿を書くスタイルは机ではなくうつ伏せ!記念館にもその様子がわかる写真があります。

直木作品、過去の直木賞受賞作品を寝転んで読みふける

写真:潮 佳澄

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"直木の視点を感じ、くつろいでもらえるように"というのが、記念館が畳敷きとなっている理由の一つでもあります。記念館内の本棚(ライブラリー)には、直木作品やこれまでの直木賞受賞作品が並び、自由に読めるようになっています。

くつろげる隠れ家のような雰囲気の「直木三十五記念館」。実は、地元の有志で運営される全国でも珍しいミュージアムです。記念館の入る複合文化施設"萌〜HOU〜"の2階フロアは文化を発信する場所にもなっています。

記念館を取り巻く自由な空間

記念館を取り巻く自由な空間

写真:潮 佳澄

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記念館の隣で運営をサポートする「コワーキングスペース往来(おうらい)」は、PCを持ち込んでの作業やイベントの実施、読書スペースなど自由な使い方のできる空間です(有料)。

さまざまな分野のライターが発行するフリーペーパーも多く並んでいて、まだ見ぬ作品との出会いも期待できます。

※設備・料金など詳しくはページ下部[関連MEMO]から公式HPで確認できます。

記念館を取り巻く自由な空間

写真:潮 佳澄

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コワーキングスペースの向かいには「ことばを食べるカフェ みずうみ」のスペースがあります。無人でも営業中、自由に入って使える不思議なカフェスペースです。

メニューの看板には"白紙に何か書くと『みずうみ』に載るかもしれません"というドキッとする一文も。『みずうみ』はカフェで発行されている1冊の本の名前でもあります。直木に刺激を受けて綴ってみると思わぬことが起るかも…?

直木三十五と大阪

直木三十五と大阪

写真:潮 佳澄

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直木と大阪については全集にも収録されている「大阪を歩く」「大阪物語」で、大阪が好きなんだか嫌いなんだか?と思える直木の大阪・大阪人観を読むことができます。軽快で思わず笑える作品なので気軽に読んでみて。

記念館だけではなく、ビル2階フロアの一角が文化的なおもしろい場となっている「直木三十五記念館」。有志で支えられる記念館を訪れることは、ゆかりの地である大阪との縁をつなぐ一員に加わるとも言えます。隠れ家ような記念館で有名にも関わらず、大阪人も知る人が少ない作家が綴った"大阪"にふれてみてほしい。

(ページ下部[関連MEMO]の「大阪「天王寺七坂」小説の舞台を歩く。しょうみの街」では、大阪を舞台とした小説に多く登場する"天王寺七坂"も紹介もしています。)

直木三十五記念館の基本情報

住所:大阪府大阪市中央区谷町6丁目5-26 萌(HOU)ビル内2階
電話番号:06-6767-1906(コワーキングスペース往来)
アクセス:
大阪メトロ谷町線 谷町6丁目 2番・4番出口から徒歩約7分。大阪メトロ長堀緑地線 松屋町 3番出口より徒歩約10分。
※専用駐車場なし。近隣にコインパーキングあり。

休館日:毎週水曜日
開館時間:11:00〜17:00
入館料:500円(コワーキングスペース往来にて支払い)

2019年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2019/06/21 訪問

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