写真:風祭 哲哉
地図を見る「飛び出し坊や」は日本に本格的な車社会が到来した昭和30年代から40年代以降、子供の飛び出しによる交通事故を防止するため、ドライバーに注意喚起する目的で設置された看板のこと。
当初は看板に子供の絵が描かれただけのものが中心でしたが、滋賀県の八日市(現・東近江市)市内に子供の形にくりぬかれた板の看板が登場し、これが現在の「飛び出し坊や」の発祥と言われています。
写真:風祭 哲哉
地図を見る「赤いセーターに黄色いズボン、つぶらな瞳になぜか七三分けの少年」が飛び出し坊やの原型で、ブームの火付け人とも言われているイラストレーターのみうらじゅん氏によるとこの型が「0系(=元祖)」とされています。
飛び出し坊やはその姿を変え、今や全国に広がっていますが、この「0系」が見られるのは東近江を中心とした滋賀県内が圧倒的。というのは、0系飛び出し坊やは、現在も東近江市の看板製作会社、久田工芸で作られているからなのです。
写真:風祭 哲哉
地図を見る「あっぶねー、いきなりなんだよこのクソ坊主!急に飛び出すんじゃねーよ!」
というのがこの飛び出し坊やの正しい設置のしかた。ドライバーへの注意喚起が目的ですから、それくらい攻めた設置方法でなければ意味がありません。
そのため飛び出し坊やは車がスピードを出しやすい大通りと交差する、見通しの悪い道路に多くみられます。今にも飛び出してきそうなリアリティあふれるものもあれば、全然危険を感じない、ゆるーいものもありますが、くれぐれも飛び出し坊やに気をとられすぎて、逆に事故を起こしてしまわないようにご注意ください。
写真:風祭 哲哉
地図を見る今回の飛び出し坊やめぐりをご案内するのは、滋賀県の豊郷町。
新幹線の米原駅から近江鉄道で30分ほどの場所にある豊郷は、飛び出し坊や発祥の地、東近江市に隣接する小さな町ですが、ここはその聖地ともいえる人気の場所なのです。
豊郷にはアニメ「けいおん!」のモチーフとなった「旧豊郷小学校」があるため、ここはアニメの聖地としても有名で、「けいおん!」キャラクターをはじめとするアニメ版飛び出し坊やがたくさん設置されているのです。
写真:風祭 哲哉
地図を見る豊郷駅前に降り立つと、まず付近の交差点で出迎えてくれるのが「中野 梓(あずにゃん)」「秋山 澪(みお)」「琴吹 紬(ムギ)」といった「けいおん!」メンバーの3人。かつてはここに主人公の「平沢 唯(ゆい)」もいましたが、現在は旧豊郷小学校前に移設されています。
写真:風祭 哲哉
地図を見る駅前通りの突き当りの県道を左に曲がると「玉屋」の前にいるのが主人公「唯」の妹「平沢 憂(うい)」。この通りはそのほかにも「奥田 直」「鈴木 純」といったキャラクターも揃う「飛び出しガールズ」ロード。
かつてはさらに先に進むと軽音部の顧問「山中 さわ子(さわちゃん)」の大人の色香漂う「飛び出しティーチャー」もありましたが、今は老朽化のためか撤去されています。残念!
写真:風祭 哲哉
地図を見るもちろん「0系」の飛び出し坊やも負けてはいません。JA東びわこ豊郷支店前の交差点では左右から飛び出してドライバーをビビらせます。「飛び出しガールズ」が比較的ゆるーく飛び出すのにくらべ、やっぱり本家の「0系」は気合が違いますね!
写真:風祭 哲哉
地図を見る豊郷駅方面に戻って、今度は旧豊郷小学校に向かいましょう。駅から豊郷小学校までの道はその世界の人たちから「つうがくろ!」と言われている「飛び出しガールズ」密集地帯。しかも「けいおん!」以外のアニメキャラも揃うディープな地帯なのです。
豊郷病院を越えたあたりにいるのが、「らき☆すた」の主人公「泉こなた」ですね。
写真:風祭 哲哉
地図を見る旧豊郷小学校の手前、わらべ通りとの交差点にいるのはなんと「初音ミク」じゃないですか!ここまで来るともうなんでもあり!という感じですが、それはそれで楽しくていいですよね。
写真:風祭 哲哉
地図を見る旧豊郷小学校(豊郷小学校旧校舎群)は、この学校の出身で「丸紅」の専務取締役であった古川鉄治郎氏によって寄贈され、建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計によって建てられた美しい校舎。
壮麗な白亜の鉄筋コンクリート造りで、当時は「東洋一の小学校」と言われ、現在は国の登録有形文化財となっています。
この校舎がアニメの舞台である桜ケ丘高校のモデルとなったことにより、現在は「けいおん!」ファンの聖地となっているのです。
写真:風祭 哲哉
地図を見る開館時間内であれば校舎の中にも自由に入ることができますので、ぜひ見学してみましょう。
木造の長い廊下も風格十分ですが、何といっても特徴的なのが、階段の手すりにいるウサギとカメ。これはイソップの「兎と亀」をモチーフとしたブロンズ装飾で、コツコツと努力することの大切さを子供たちに伝えていたのでしょう。もちろんアニメ作品の中にもこのウサギとカメは登場しています。
<豊郷小学校旧校舎群の基本情報>
住所:滋賀県犬上郡豊郷町石畑518番地
電話番号:0749-35-3737
写真:風祭 哲哉
地図を見る校舎の3階には「けいおん!」の部室が再現されています。机の上には、アニメの中でもたびたび登場し、ヒロインたちのバンド名にもなった「放課後ティータイム」のセットもあり、休日にはここにファンが集まって、楽器を演奏しています。
また校舎隣の旧図書館には日曜日限定の「けいおん!カフェ」がありましたが、現在は「うさかめカフェ」と名前を変えて営業しています。
写真:風祭 哲哉
地図を見る飛び出し坊や発祥の地、滋賀県にはそのほかにもさまざまな亜種が存在します。その中でもユニークなものを紹介しましょう。
まずは甲賀流の里、滋賀県ならではの忍者姿の飛び出し坊や。県南部の甲賀市を中心に多く見られます。これはかわいくデフォルメされたものですが、もっと忍者っぽい手作りのものもありますよ。
写真:風祭 哲哉
地図を見るお店のキャラクターとしてオリジナルで作られたものが多いのも滋賀県ならでは。聖地・滋賀では飛び出し坊やが、すっかり生活インフラになっていることがわかりますね。
こちらは大津と京都との間の峠道にある有名なうなぎ屋さんのもの。そのほかにもめがね屋さんやコロッケ、羊羹、鶏肉屋など、さまざまなお店の前で「飛び出し店員」が見られます。
最後は地元の人々による完全手作り作品。これは県内のいたるところで発見できます。心なしか「ポケットから何でも出てくるネコ」や「超人気者のネズミ」、「子供に見せたくない番組No.1のアニメの主人公」など、有名キャラクターに似ているものが多く、若干「著作権」という言葉がちらつきますが、営利目的ではなく、あくまでも子供たちの安全のための看板ですので、大目に見られているのかもしれませんね。
飛び出し坊やはその時代、その地域の特色に合わせて形を変え、発祥の地、滋賀県から全国へと広まっていますので、皆さんの住む町でも目にすることがあるかもしれません。しかしやはりその聖地、滋賀県の飛び出し坊やは質・量ともに圧倒的。
これをきっかけにぜひ一度、滋賀県に来て、いろいろな飛び出し坊やを探しながら町を歩いてみてくださいね。
2019年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/12/12更新)
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