写真:風祭 哲哉
地図を見る「(自称)湘南ジェットコースター」。
公共交通機関のモノレール会社が自分でこんなこと言っちゃっていいのか?と思うくらいぶっ飛んでる乗り物、それが湘南モノレール。
「最高速度75km/h、まるでジェットコースター!
激しいアップダウンに、トンネル・カーブ・急勾配…アトラクション満載のコースをお楽しみいただけます。
この大胆な走りの理由は、懸垂式にあり。
もともとぶら下がっているため、いくら振り回されても落ちることはありません。
懸垂式モノレールは、日本にただ2つだけ。貴重な体験をお約束します!」
これはなんと湘南モノレールの公式Webサイトからの引用。そうなんです、運行会社公認で堂々とそのスリルを楽しんじゃっていいのが、この湘南モノレールなのです。
写真:風祭 哲哉
地図を見る「湘南ジェットコースター」と呼ばれるゆえんは、日本に2つだけの「懸垂式(サフェージュ式)モノレール」と呼ばれるその形態。レールに車両がぶら下がっているため眼下に遮るものがなく、まるで空中を進んでいるかのような感覚になるのです。しかもこの形式は車両の重心が下に位置しており、安定した走行が可能なため急勾配や急カーブでも高速走行GOGOGO!風が吹いても雪が降っても、軌道の上を走るモノレールよりもはるかに安定して走行ができるというわけです。
そんなスリル満点のモノレール、怖くないの?というみなさま、ご安心ください。毎日、通勤・通学・ショッピング、そして観光のお客様を運び続けてまもなく50年、乗客が負傷した事故は一度もありません。
写真:風祭 哲哉
地図を見るそんな湘南モノレールには乗り物マニアだけでなく、各界の著名人にもファンが多く、湘南モノレールやその沿線の異次元の楽しみ方を紹介する「ソラdeブラーン」という公認サイトまでできています。これがまたゆるーく楽しい記事ばかりですので、ぜひ読んでみてください(関連メモ参照)。
またラッピング車両「OJICO(R)トレイン」の運行やゆるきゃら「しょもたん」が登場する各種イベントの開催、オリジナルグッズの販売など、湘南モノレールを通じてさまざまな楽しみ方ができます。
写真:風祭 哲哉
地図を見る湘南モノレールの始発駅は古都鎌倉の玄関口であり、交通の要所でもある大船駅。湘南江の島駅までのわずか6.6キロ、14分の旅はここからはじまります。
湘南モノレールの旅には1日フリーきっぷ(大人600円)が便利。大船〜湘南江の島間を往復するだけでもお得になりますので、ぜひご利用ください。
写真:風祭 哲哉
地図を見る大船を出発するとすぐ車窓右に見えるのが大船観音。
全長約25mの巨大白衣観音像の慈悲にあふれる微笑みに見送られながら、大船の町並みの上を予想以上のスピードで駆け抜けます。その加速G(重力加速度)、結構スゴイです(笑)
写真:風祭 哲哉
地図を見る大船を出発すると「湘南ジェットコースター」はビルの合間を縫うように急カーブと急勾配を繰り返し、しばらくは商業地や住宅街の上を走ります。2つ目の湘南町屋駅を過ぎると右手の眺望が開け、遠く丹沢の山々、空気が澄んでいれば富士山もはっきりと見ることができますよ。
湘南深沢駅から西鎌倉駅へ向かう区間は「湘南ジェットコースター」の絶叫ポイント?のひとつ。住宅地を走っていたモノレールが急勾配をグイグイ上ると、車窓の両側から次第に山が迫り、やがて目の前に現れるのは鎌倉山トンネル。
おいおい、モノレールがトンネルなんか潜っちゃってもいいのか?とざわめく乗客の声には耳もかさず、湘南ジェットコースターはトンネル内を下りながらさらにぐんぐん加速。ああ、これはきっとトンネルを出たとたん、壮大な急降下が待っているに違いない、と思わず手のひらに汗がにじむような体験がみなさまをお待ちしています。
と、文字で書いてもなかなかその臨場感は伝わらないでしょうからぜひこちらの動画をご覧ください。
動画:風祭 哲哉
写真:風祭 哲哉
地図を見る湘南モノレール沿線おすすめ観光スポットは西鎌倉駅で途中下車し「裏鎌倉」をゆっくり散策すること。
ここはかつて高級別荘地として開拓され、現在も閑静な大邸宅が並ぶ「鎌倉山」への最寄り駅。周辺は通称「裏鎌倉」と呼ばれ、「表鎌倉」の人混みとは正反対のゆったりとした散策が楽しめます。
西鎌倉駅の東側、標高100メートルほどの小高い丘陵地に拓けた鎌倉山。行きは上りが続きますが、駅から片道約30分と散策コースとしては手軽な距離。頂上付近は七里ヶ浜や江の島、その向こうに遠く富士山まで見渡せる隠れた絶景地となっています。
写真:風祭 哲哉
地図を見るまた鎌倉山はかつての別荘や邸宅、自然豊かな環境を活かした瀟洒なレストランやカフェが多いことでも知られています。
ローストビーフの老舗「鎌倉山 本店」をはじめ、鎌倉山の絶景を望める屋上のテラス席が人気のスイーツカフェ「ル・ミリュウ 鎌倉山」、日本一高級なチーズケーキが味わえる「ハウス オブ フレーバーズ」など、わざわざ行きたいお店もたくさんありますよ。
写真:風祭 哲哉
地図を見る西鎌倉を出発すると江の島はもうすぐ。
片瀬山駅を過ぎると湘南の青い海が見え、目白山下駅を出ると湘南モノレール2つ目のトンネルに突入します。この「片瀬山トンネル」を抜けるとすぐに終点の湘南江の島駅なのですが、ここが「湘南ジェットコースター」最後の絶叫ポイント?なのです。
「トンネルを抜けるとそこは雪国」ではなかったとしても、普通は大地の上を走っているものですが、このトンネルを出た瞬間はビルの5階の高さ。
「ソラdeブラーン」生みの親であり、偉大なるトラベルエッセイストの宮田珠己さんも「これもまた通常の乗り物ではあまり体験できないスペクタクルな味わい」で「実にジェットコースター感あふれるスポット」かつ「無茶にもほどがあるのではないか」と書いています。
写真:風祭 哲哉
地図を見るスリルとサスペンスに満ちた、あっという間の14分の旅を終えると江の島はもうすぐ。終点の湘南江の島駅は江ノ電の江の島駅にほぼ隣接しているので、両側にビーチリゾートらしい商店が並ぶすなば通りをしばらく歩けば、弁天橋の向こうに江の島が見えてきて、気分はもう勝手にシンドバッド。
写真:風祭 哲哉
地図を見る…ですが、その前にこの湘南江の島駅にできた展望テラスに寄ってみましょう。地上5階の高さに相当するこのテラスからは江の島の海が見えるだけでなく、天気がよければ遠くには富士山も見える、すばらしい眺望なのです。
この記事の中でも富士山に関する記述は何度も出てきましたが、考えてみると地上より高いところを走り、高い場所に駅があり、高い場所を観光できる湘南モノレールの旅は、首都圏から一番近い「富士山ビュー三昧」の旅でもあるのかもしれませんね。
みなさま、これで湘南モノレールがけっして「自称」湘南ジェットコースターではなかったことがおわかりいただけたでしょうか?
筆者もつい筆が滑って記事の中では「絶叫」「絶叫」と叫んでしまいましたが、実際は恐怖に泣き叫ぶほど怖いわけではありません。けれどもこの湘南モノレールが日本のどこにない、ユニークでスペクタクルな魅力あふれる路線、もとい、アトラクションであることは伝わったのではないかと思います。
ぜひ一度、江の島への近道として、あるいは鎌倉山での散策の際に湘南モノレールに乗ってみてください。きっとあなたも知らないうちに「湘南ジェットコースター」の虜となって、その後も意味もわからず乗り続けることになるでしょうけど。
2019年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2023/12/10更新)
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