写真:すがた もえ子
地図を見る横浜市鶴見区生麦地区に伝わる民俗行事で、文献などは残っていない為たしかな起源はわからないそうなのです。
口伝の伝承や生麦地区の神明神社にある説明看板によると、300年くらい前にこの地区で疫病が流行った際、氏神である「すさのう尊」の力を借り、カヤで作った大蛇に悪霊を封じ込めて海に流し、疫病を払おうとしたのが始まりという説があります。
また、それとは別に、亡き妻との約束を破って後妻を迎えた男の前に亡くなった妻が大蛇となって現れたので、村の古老の話に従って家の軒先にショウブとモチ草、カヤを置いたところ、大蛇はいずこかへ去って行ったのが始まりという説もあるとのことです。
元々は旧暦の端午の節句に行われていたこの行事は、太陽暦に切り替わった事にともない明治の中ごろより毎年6月6日に行われていましたが、現在は毎年6月の第1日曜日に開催されています。
開催場所は本宮地区と生麦地区の2カ所で開催されていて、それぞれの地区で雄雌の蛇も蚊もを作り、地区内を練り歩くようになりました。
写真:すがた もえ子
地図を見るこの蛇も蚊も祭りの見所は、何といっても大蛇が町を練り歩く姿でしょう。
しかもなんと、大蛇は雄雌で2匹いるのです!
伝承を元に、蛇も蚊もの大蛇はカヤを材料に作られています。
2匹の蛇も蚊もを作るために必要なカヤは3トンにもなるそうで、近年ではカヤの確保も困難になってきているとか。
写真:すがた もえ子
地図を見る蛇も蚊も祭りを見学するには、特に事前の申し込みなどは必要ありません。
ただし地区全体を巡る行事のため、途中から来て蛇も蚊もに追いつくというのはなかなか難しいかもしれませんので、出発時間になる前には到着している事をおすすめします。
生麦地区の場合お祭りの拠点となる神明神社をスタートすると、2匹の蛇も蚊もは別々のルートを分れて地区を練り歩き、最後は再び神明神社へと戻ってきます。
蛇も蚊もは地域の若者や子供が中心となってかついで家々をまわり、玄関先まで頭を突っ込んでその家の悪疫を払います。
「蛇も蚊も出たけい、日よりの雨けい、出たけい出たけい、ワッショイワッショイ」というかけ声とともに大蛇が宙を舞うのは壮観です。
この蛇も蚊もという行事のすごい所は、これだけの大きな蛇をたくさんの人が担いで長距離を移動するのにもかかわらず、交通規制などをしないところです。
赤信号で信号待ちをする蛇も蚊もの姿もなかなかいいものです。
写真:すがた もえ子
地図を見る神明神社に戻ってきた二匹の蛇も蚊もは、激しく絡み合いぶつかりあいます。
その激しさはしっかり編み込まれた蛇も蚊もの蛇体がボロボロになるほどです。
最後は神社の境内にとぐろを巻いた状態で、顔につけられていた角・目・耳などを外してしまいます。
昔は悪疫払いを終えた大蛇は鶴見川河口に流されていましたが、現在は環境に配慮して行われておりません。
お祭りを終えた蛇体は翌日神社の境内で焼かれ、行事は終了します。
300年間もの間受け継がれ、今も地区の人々に愛され受け守られる横浜市指定無形民俗文化財。
こんな都会の真ん中に、今もまだこのような行事が受け継がれているのかと驚くと同時に、地域の人たちの間に根付き、愛されているのが感じられるお祭りです。
皆さんもぜひ一度見学されるのをお勧めします。
・蛇も蚊も詳細
日時:6月第1日曜日
場所:道念稲荷神社、神明神社
問合せ:横浜市役所 TEL 045-664-2525
生麦蛇も蚊も保存会 TEL 045-501-2419
本宮蛇も蚊も保存会 TEL 045-502-0233
公式サイトはございませんので、MEMOより横浜市のホームページを参考にして下さい。
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この記事を書いたナビゲーター
すがた もえ子
福島県出身、都内在住、フリーライター。日本全国各地に伝わる妖怪伝承を集めて各地を巡っています。ちょっと変わった視点から、皆さんに旅のご紹介をいたします。もちろん美味しい食べ物や温泉などもご紹介。妖怪伝…
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