写真:山口 琴美
地図を見るアヤソフィア博物館は、トルコ最大の都市、イスタンブールの旧市街にあります。旧市街の中でも特に見どころが多く集まるスルタンアフメット地区にあり、同地区にあるブルー・モスク(スルタンアフメット・ジャーミィ)、トプカプ宮殿、地下宮殿などと並び、イスタンブール観光には欠かせないスポットのひとつです。
写真:山口 琴美
地図を見るアヤソフィア博物館は、1935年から博物館として利用されていますが、それまでに辿った歴史は複雑なものでした。
その建設の歴史はコンスタンティヌス1世の時代にまで遡ります。325年、彼はこの場所にアヤソフィアのもととなる教会を建設しました。しかし度重なる火災や市民の反乱などで教会は壊れてしまい、当時の教会は、いまは見ることができません
続いてテオドシウス2世が再び教会を建設し、451年に開堂しますが、532年のニカの反乱でまたしても焼失してしまいます。
その後、ユスティニアヌス帝が大聖堂の建築を計画し、537年にビザンツ様式の大聖堂が完成しました。今日私たちが目にすることができるのは、この時代に建てられたものなのです。
大聖堂が完成すると、ギリシア正教の大本山として、信仰を集めました。実に916年もの間、教会としてキリスト教徒の信仰の場として利用されていましたが、1453年にメフメト2世がコンスタンティノープルを攻略すると、聖堂はムスリム(イスラム教徒)の祈りの場としてモスクに改修されました。オスマン帝国時代が終わりを迎えトルコ共和国が誕生し、博物館に転用されるまでの481年間は、モスクとして利用されていたのです。
写真:山口 琴美
地図を見る教会、モスク、博物館と、支配者が代わるたびにその時代に応じて姿を変えてきたアヤソフィアには、長い歴史の中で造り上げられた様々な見どころがあります。その中でも最も注目に値するものが、ビザンツ美術の最高傑作と評される黄金のモザイク画です。
キリスト、聖母マリア、洗礼者ヨハネが描かれた『デイシス』と呼ばれるそのモザイク画はアヤソフィアの二階の壁面にあります。
キリストの顔がそれ以前の作品に比べてより立体的であり、南側の窓からの光を効果的に利用してモザイク画を引き立たせているという点が評価され、ビザンツ美術の最高傑作といわれています。
ビザンツ美術の最高傑作がのちにモスクに転用された博物館に残っているとは、どこか不思議な感じもします。
写真:山口 琴美
地図を見る『デイシス』は下部が消失していますが、アヤソフィアにはさらに保存状態のよい黄金のモザイク画が残されています。
ユスティニアヌス帝がアヤソフィアを、コンスタンティヌス帝がコンスタンティノープル(イスタンブール)の模型を、中央の聖母マリアとキリストに捧げているモザイク画は、10世紀頃の作品。ビザンツ帝国の中心がまさにこの場所だったということを、改めて知らしめる作品です。
写真:山口 琴美
地図を見る皇帝の顔の部分が何回も作り直されたことで有名なのが、皇帝と皇后がキリストに捧げものをしているこちらのモザイク画です。
このモザイク画を寄贈したのは皇后ゾエの最初の夫でしたが、その後ゾエは幾たびも再婚を繰り返したため、その都度皇帝の顔の部分が作り直されました。現在私たちが見ることができるのは、最後の結婚相手であったコンスタンティヌス9世の顔なのです。
写真:山口 琴美
地図を見る大天使ガブリエルと聖母マリアの間に座るキリストにひざまずくレオーン6世を描いたモザイク画は扉の上の天井に近いところにあるので、注意しないと見落としてしまいます。10世紀頃の作品かといわれていますが、正確な年代はわかっていません。
アヤソフィアの至る所に残るビザンツ帝国時代のモザイク画を見れば、歴代の皇帝がこの街と聖堂を崇めキリスト教世界においてここが重要な場所であったということがわかるはずです。
モザイク画の意味がわかれば、イスタンブールが辿った複雑な歴史もわかり観光がもっと楽しく、奥深くなります。アヤソフィア博物館では、隅々までモザイク画をチェックしてみてくださいね!
住所:Ayasofya Meydani 1 34122 Cankurtaran Istanbul
電話番号:+90-212-522-1750
アクセス:トラムT1線スルタンアフメット駅から徒歩3分
2019年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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