写真:木村 岳人
地図を見る安慶名城の正確な建築年代は明らかではありませんが、14世紀頃に安慶名の按司(あじ、地域を納める豪族)によって築城されたと伝わっています。その後の15世紀頃に改築され、現在に見られる石垣が整備されました。
険しい岩山の地形を最大限に活用して築かれており、その北側を流れる天願川を天然の濠として利用しています。この天願川は大川とも呼ばれていることから、別名で大川城とも称されます。
写真:木村 岳人
地図を見る現在、城山の東麓は安慶名中央公園となっており、登城口はその広場の奥にあります。少々分かりにくい位置ですが、史跡の石柱を目印に向かいましょう。
入口から山頂までは石段が伸びていますが、地面が石灰岩でゴツゴツしているので足元に注意が必要です。城山は鬱蒼とした木々に覆われており、まるでジャングルのようで雰囲気満点。ちょっとした探検気分を味わうことができるでしょう。
写真:木村 岳人
地図を見る石段を登っていくと、程なくして道が左右に分岐します。左手が山頂へのルートですが、はやる気持ちを抑えてまずは右手に進んでみてください。城の全貌を見渡すことが可能な、城壁の上に出ることができます。
写真:木村 岳人
地図を見る安慶名城では山の中腹に巡らした外郭の石垣と、山頂台地に巡らした内郭の石垣の、二重の城壁で城の防衛能力を高めています。
このような外側の曲輪(くるわ、城の区画)で内側の曲輪を守る城の形式を輪郭式といいますが、琉球のグスクは曲輪が直線的に並ぶ連郭式のものがほとんど。輪郭式のグスクは安慶名城しか現存しておらず、唯一無二の存在として極めて貴重なグスクなのです。
写真:木村 岳人
地図を見る先ほどの分岐まで戻って左の道を進み、さらに石段を登り詰めると山頂に到着です。その入口には城門が構えられているのですが、これは巨岩の裂け目を利用したもので、一部を切り崩した上で切石と組み合わせ、アーチ状に築かれています。実に迫力満点で、安慶名城のシンボルともいえる存在です。
写真:木村 岳人
地図を見る城門の幅は1m程度と比較的狭く、内部の中央付近には上下と左右に扉を取り付けるための敷居や鴨居の穴が穿たれています。城の中枢へ入るにはこの城門を突破する以外に他はなく、まさに鉄壁の守りだったに違いありません。
写真:木村 岳人
地図を見る山頂からは、先ほど中腹から見上げた城壁を間近に見下ろすことができます。安慶名城の石垣は小ぶりな自然石を加工せずに利用した、野面積みなのが特徴です。
琉球は日本本土よりも早くに大陸から石積みの技術がもたらされており、緻密な切石によって組み上げられた石垣を持つグスクが多いのですが、安慶名城では城壁の全体が野面積みで築かれており、素朴ながらも荒々しい迫力を醸しています。
写真:木村 岳人
地図を見るまた城壁の下には円形の広場が見えますが、これは「安慶名闘牛場」です。安慶名は昔から闘牛が盛んな土地であり、かつては県内有数の大会である「全島闘牛大会」がこの闘牛場で開催されていました。
近年は「石川多目的ドーム」で闘牛が行われるようになり、この闘牛場が使用されることは少なくなりました。しかしながら、安慶名における闘牛の歴史を物語る存在として、今もなお地元の人々に親しまれています。
写真:木村 岳人
地図を見る山頂台地は主郭と二の郭に分かれていますが、現在は城壁の他に往時を偲ばせるものは少なく、最も高い位置に「イベ」と呼ばれる琉球グスクならではの拝所が残るのみです。
安慶名按司は安慶名城を拠点としつつ領土を拡大し、具志川城、天願城、屋良城、喜屋武城など数々のグスクを築いて一大勢力に成長しました。
写真:木村 岳人
地図を見る琉球国王の尚真王(しょうしんおう)は按司勢力の拡大を良く思っていませんでした。各地の按司を首里城下に集めて中央集権国家を作ろうと画策したのですが、広大な領土を持っていた安慶名按司はこれを拒否。
1526年、命令に従わなかったことで安慶名城は王国軍によって攻められますが、さすがは堅城なだけあってこれに耐えます。しかし城内に水がないという致命的な欠陥を知られてしまい、長期に渡る兵糧攻め・水攻めによってついには落城してしまいます。こうして安慶名按司による統治の終焉と共に、安慶名城は役目を終えたのでした。
安慶名按司の栄華と零落を見てきた安慶名城。その城壁と城門は状態も良く、非常に見ごたえがあります。近くには世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の構成資産に含まれている「勝連城」もありますので、併せて巡ってみてはいかがでしょうか。
住所:沖縄県うるま市字安慶名1045
電話番号:098-973-4400(うるま市文化課)
アクセス:「那覇バスターミナル」より琉球バス「21系統・新都心具志川線」で約95分、「安慶名」バス停下車、徒歩約10分
2019年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事を書いたナビゲーター
木村 岳人
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