栃木「足尾銅山観光」へ!トロッコに乗って東洋一の銅山を体感

栃木「足尾銅山観光」へ!トロッコに乗って東洋一の銅山を体感

更新日:2019/11/13 19:49

かのえ かなのプロフィール写真 かのえ かな 鉄道ひとり旅ライター、駅舎・マンホール愛好家
“足尾銅山”と聞くと、足尾鉱毒事件を思い浮かべる方は多いことでしょう。しかし、足尾銅山で産出された銅は全国産出量の40%を超え、日本の産業発展に貢献し、東洋一の銅山とうたわれたこともひとつの事実です。

そんな足尾銅山の約400年にわたる歴史を学べるのが、「足尾銅山観光」。トロッコで全長700メートルの坑道へ入り、自分の足で歩いてみましょう。近くにある「古河足尾歴史館」も必見です。

入った瞬間、ヒヤッとしてドキドキ!トロッコで通洞坑へ

入った瞬間、ヒヤッとしてドキドキ!トロッコで通洞坑へ

写真:かのえ かな

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足尾銅山観光へ入場したら、まずはトロッコ列車に乗って通洞坑へ向かいます。トロッコの乗車時間は約6分で、15分間隔で運行しています。爽やかな風を浴び、渡良瀬川の風景を眺めながら、トロッコ列車を楽しみましょう。

入った瞬間、ヒヤッとしてドキドキ!トロッコで通洞坑へ

写真:かのえ かな

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トロッコはこちらの通洞坑に入ります。国史跡に指定されている通洞坑は、明治18年に道を通し始め、11年後に完成。開削には、当時の最新技術であるダイナマイトによる発破工法などが用いられました。

足尾銅山観光は通洞坑の一部を観光用に利用した施設であり、坑内観光では国内最大級を誇ります。

入った瞬間、ヒヤッとしてドキドキ!トロッコで通洞坑へ

写真:かのえ かな

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通洞坑に入った瞬間から空気がひんやりと変わり、薄暗い景色が広がって別世界へ来たかのよう。これも足尾銅山観光の醍醐味です。降車場でトロッコから降りたら、この先300メートル続く坑道は自分で歩いていきます。

まずは、降車場の突きあたりまで歩いてみましょう。柵越しではありますが、当時の姿のまま残された坑道を見ることができますよ。

リアルすぎる人形にビックリ!足尾銅山観光の坑道を探索

リアルすぎる人形にビックリ!足尾銅山観光の坑道を探索

写真:かのえ かな

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坑道を進むと、足尾銅山で働いた人々の様子を伝える展示場があります。展示場は江戸時代、明治・大正、昭和と時代ごとにエリアが分かれており、手掘りから機械化した技術の進化が学べます。

また各エリアにあるボタンを押すと、人形たちが動き出し、作業中の日常会話を再現してくれます。あまりにリアルな造りなので、初めて見ると子供は特に驚くかもしれませんね。

リアルすぎる人形にビックリ!足尾銅山観光の坑道を探索

写真:かのえ かな

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人形が展示されていないエリアでは、坑道ならではの神秘的な風景を堪能しましょう。地下水でしっとりと濡れる壁や地面が、オレンジ色の灯りに照らされる様子がとてもきれいですね。

地下水で銅分が溶かされたものが岩肌に付着し、壁が青緑色になっている“岩肌青色地帯”といった珍しいエリアもありますよ。

リアルすぎる人形にビックリ!足尾銅山観光の坑道を探索

写真:かのえ かな

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展示場を歩き終えると、小さな神社のようなものが見えます。こちらは“開運洞”といい、足尾銅山観光が開設された昭和55年に山の安全と繁栄、そして訪問された方々の幸せを願って建てられたものです。

足尾銅山の坑道を歩き終えた記念に、ぜひ訪ねてみましょう。

足尾銅山の鉱石や貴重な資料がいっぱい!銅資料館

足尾銅山の鉱石や貴重な資料がいっぱい!銅資料館

写真:かのえ かな

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坑道を歩いて展示場を見たら、次は銅(あかがね)資料館へ。足尾銅山で採掘された鉱石や精錬所の模型が展示されています。また、国内で初めて電気鉄道を敷いたときの歴史が分かるトロッコもありますよ。

足尾銅山の鉱石や貴重な資料がいっぱい!銅資料館

写真:かのえ かな

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数ある貴重な資料の中でも、特に注目したいのがこちらの“安全専一”と書かれた標識。実はこちら、現代の工事現場などでよく見かける“安全第一”の看板が誕生したきっかけとなるものです。

足尾銅山では安全運動のために坑道内外にこの標識が提示されており、近代産業を発展させただけではなく、現場管理の基礎を築いた功績もあることが伺えます。

ちなみにホーロー製の安全専一の標識は、もう3枚しか現存していません。目線より高い位置に展示されているので、見落とさないようにしてくださいね。

足尾銅山の鉱石や貴重な資料がいっぱい!銅資料館

写真:かのえ かな

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銅資料館を出ると、“足字銭”の歴史が分かる鋳銭座(ちゅうせんざ)があります。足字銭とは、江戸時代から明治末期まで庶民の通貨として使われていた寛永通宝のうち、足尾で作られたもののことです。

足字銭は、裏面に“足”の文字が刻まれているのが特徴。江戸幕府直営の鉱山として栄えた足尾銅山では、約2億枚の足字銭が作られました。

館内では人形を使って足字銭ができるまでの様子を再現しているほか、原型となった母銭の現物も展示されています。

<足尾銅山観光の基本情報>
住所:栃木県日光市足尾町通洞9-2
電話番号:0288-93-3240 (足尾銅山観光管理事務所)
営業時間:9:00〜16:30(無休)
料金:大人820円、小・中学生410円
アクセス:わたらせ渓谷鐵道通洞駅から徒歩約5分、JR日光駅または東武日光駅から市営バスで53分、日光宇都宮道路日光ICから約30分

4〜11月は、足尾銅山観光から歩いて5分の古河足尾歴史館へ

4〜11月は、足尾銅山観光から歩いて5分の古河足尾歴史館へ

写真:かのえ かな

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足尾銅山観光から徒歩5分ほどの場所にある「古河足尾歴史館」。2016年度には国土交通大臣表彰による手づくり郷土賞を受賞しており、館内には手づくり感あふれる温かな雰囲気があふれています。

4〜11月は、足尾銅山観光から歩いて5分の古河足尾歴史館へ

写真:かのえ かな

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館内には足尾の歴史が分かる写真や資料などを展示。中でも貴重なのが、古河機械金属の創業者・古河市兵衛をはじめとした古河家の写真や関連資料が展示されているコーナです。

足尾銅山を知る上で、銅山王と呼ばれた古河市兵衛の存在は欠かせません。古河家の養子となった市兵衛は、開山は無理だとされていた銅山を買い取り、大鉱脈を発見したことで近代産業を発展させました。

そんな市兵衛を援助したのが、1万円の顔として注目されている渋沢栄一です。また、市兵衛の長男と西郷隆盛の弟(従道)の次女が結婚したり、陸奥宗光の二男を養子にしたりといった偉人たちのつながりを深掘りすることもできます。歴史好きほど夢中になりますよ!

4〜11月は、足尾銅山観光から歩いて5分の古河足尾歴史館へ

写真:かのえ かな

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あまりの迫力に圧倒されるのは、足尾銅山坑内の裁面図です。足尾銅山の坑道は総延長1,234メートルにもおよび、東京〜博多間の距離に相当します。

この資料に細かく描かれている線は、それだけの長さを緻密に掘り進めたということを表しています。写真は裁面図の一部なので、ぜひ現地で全容を見てみてくださいね。

<古河足尾歴史館の基本情報>
住所:栃木県日光市足尾町松原282
電話番号:0288-25-5810
開館日:原則週5日(水・木・金・土・日および祝日)
開館期間:4〜11月(12月〜3月は休館)
開館時間:10:00〜16:00(15:30受付終了)
料金:大人(高校生以上)400円、子供(小・中学生)280円

足尾銅山観光の最寄り駅!通洞駅も必見

足尾銅山観光の最寄り駅!通洞駅も必見

写真:かのえ かな

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足尾銅山観光の最寄り駅である、わたらせ渓谷鐵道の通洞駅も見どころ満載です。通洞駅は、鉱山用語を駅名に用いた珍しい鉄道駅。また、駅舎(本屋)とプラットホームが登録有形文化財に登録されています。

駅出入口には、毎日正午の時報に足尾町で流れる『足尾の四季』の歌碑があります。足尾町の魅力と歴史が感じられる場所なので、ぜひこちらも注目してみてくださいね。

足尾銅山観光は大人も子供も楽しめるスポット

足尾銅山観光は、学校の授業では学びきれない足尾銅山の歴史を学べるスポットです。トロッコに乗ったり、坑道の神秘的な景色や貴重な資料を見たりすれば、子供だけじゃなく大人もワクワクしてしまうことでしょう。

大人同士の旅行はもちろん、家族旅行でも、ぜひ足を運んでみてくださいね。

2019年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2019/06/06 訪問

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