勧進帳・安宅の関の舞台!石川「安宅住吉神社」の宝物も紹介

勧進帳・安宅の関の舞台!石川「安宅住吉神社」の宝物も紹介

更新日:2019/07/29 14:00

塚本 隆司のプロフィール写真 塚本 隆司 ぼっち旅ライター
源義経と武蔵坊弁慶主従の物語のひとつ「勧進帳」。奥州平泉へと逃れ行く義経と弁慶一行と、道中で捕らえようと「安宅の関」で待ち受ける関守・富樫左衛門との間で繰り広げられる物語だ。
場所は、石川県小松市の「安宅住吉神社」。境内一帯が県指定の史跡「安宅の関跡」であり、この地に立てば歴史ファンならずとも熱い思いがこみ上げてくる。
涙をさそう勧進帳の舞台「安宅住吉神社」と神社所蔵の貴重な宝物を紹介しよう。

源義経にまつわる悲しき逸話が残る尼御前岬

能の「安宅」や歌舞伎、浄瑠璃、ドラマなど古くから人気の「勧進帳」。兄源頼朝の不興を買った、源義経と武蔵坊弁慶の一行が奥州平泉へと逃れる途中「安宅の関」での物語だ。

舞台は石川県小松市。小松空港があり北陸地方や主に金沢への空の玄関口は、古くからの港町で日本海交通の要所だった。頼朝は、この地の守護・富樫左衛門に命じ、臨時の関所「安宅の関」を設け義経を捕らえようとする。

源義経にまつわる悲しき逸話が残る尼御前岬

写真:塚本 隆司

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安宅の関へ向かう前に、石川県加賀市にある「尼御前岬」に立ち寄りたい。
都から逃れて奥州平泉を目指す義経主従の中に、ひとりの尼がいました。安宅の関が設けられ厳しい取り調べがあることを知った尼は、足手まといになることを恐れ、主君の安泰を祈って岩頭から身を投げたという。
この悲しい逸話が伝わる岬は、尼の名が由来となり「尼御前岬」と呼ばれるようになった。

源義経にまつわる悲しき逸話が残る尼御前岬

写真:塚本 隆司

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尼御前岬へは、北陸自動車道の尼御前SA(下り)から歩いて行ける。日本海が見渡せる旅の途中の絶景スポットだ。勧進帳の地へ向かう旅人なら、義経を思う尼の心に思いをはせずにはいられない。

源義経にまつわる悲しき逸話が残る尼御前岬

写真:塚本 隆司

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「勧進帳ものがたり館」で勧進帳の世界へ

「勧進帳ものがたり館」で勧進帳の世界へ

写真:塚本 隆司

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安宅の関が設けられたのは、安宅海岸の梯川(かけはしがわ)河口近く。安宅住吉神社の境内全体が石川県指定の史跡「安宅の関」となっている。

安宅住吉神社の創建は古く、奈良時代の天応二(782)年。琴佩山(ことおびやま)に鎮座されたのがはじまり。現在の地へは、正保四年(1647)年に遷座された。
安宅海岸側には、大きな駐車場と「勧進帳ものがたり館」「安宅ビューテラス」がある。

「勧進帳ものがたり館」で勧進帳の世界へ

写真:塚本 隆司

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「勧進帳ものがたり館」では、勧進帳についての解説や歌舞伎、ドラマの名場面を映し出した映像などが楽しめる。特に2004年の「県立こまつ芸術劇場うらら」の杮落としで市川團十郎(弁慶)、坂東三津五郎(富樫)、中村芝雀(義経)が演じた「歌舞伎十八番の内 勧進帳」のダイジェスト(12分間)は必見だ。

<勧進帳ものがたり館の基本情報>
開館時間:9時〜17時
休館日:水曜日、年末年始
料金:大人 300円、高校生以下 150円

「勧進帳ものがたり館」で勧進帳の世界へ

写真:塚本 隆司

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「安宅ビューテラス」では、食事や喫茶、土産物の販売など小松を代表する観光拠点として機能している。日本海を眺めながらゆっくりできるのがいい。

<勧進帳の里 安宅ビューテラス>
開館時間:売店9時〜17時、カフェレストラン11時〜21時(ラストオーダー20時30分)
休館日:水曜日、年末年始

安宅の関へ、場所は安宅住吉神社の境内一帯

安宅の関へ、場所は安宅住吉神社の境内一帯

写真:塚本 隆司

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当時の関所を思わすような門をくぐると、義経と弁慶、冨樫の像が出迎えてくれる。

安宅の関へ、場所は安宅住吉神社の境内一帯

写真:塚本 隆司

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知恵と勇気にあふれた弁慶と主従の絆に心打たれて見逃す関守・富樫の人情を表した「智仁勇」の文字が刻まれている。建立当初は、弁慶と富樫の2体の像があり、後に義経像が追加された。

安宅の関へ、場所は安宅住吉神社の境内一帯

写真:塚本 隆司

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本殿へと続く参道を歩く。木々に囲まれた開けた場所に「安宅ノ関址」と書かれた石碑が現れ、なんともいえない重い空気をまとっている。参道には、与謝野晶子や鉄幹などの歌碑が所々にあり、文人たちの感性も刺激したようだ。

本殿へ昇殿して参拝 巫女さんガイドで宝物見学

本殿へ昇殿して参拝 巫女さんガイドで宝物見学

写真:塚本 隆司

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安宅住吉神社では、巫女さんによる勧進帳と神社所蔵の宝物(ほうもつ)について無料ガイドを受け付けている。本殿に昇殿しての参拝をおすすめしたい。(祈祷や行事があれば対応できない場合あり)

本殿内で公開されている勧進帳ゆかりの宝物について、一部を紹介したい。
(本殿内での撮影は禁止です)

本殿へ昇殿して参拝 巫女さんガイドで宝物見学

写真:塚本 隆司

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弁慶が読み上げたといわれる勧進帳(写し)だ。実際は白紙の巻物を勧進帳に見立て滔々(とうとう)と読み上げるのだが、ここに掲げられているのは、勧進帳の出来事から2年後の文治5(1189)年に、奈良・東大寺の僧が書いたもの。弁慶が読んだといわれる内容が書かれており、その後の歌舞伎などで使われる勧進帳の元になっている。

本殿へ昇殿して参拝 巫女さんガイドで宝物見学

写真:塚本 隆司

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明治3(1870)年に奉納された押し絵。桐の板の上に布を押し当て、中に綿を詰めているため、下からのぞくと立体感がよくわかる。
描かれているのは、山伏に扮(ふん)した義経弁慶一行が子どもたちに扇を与え、安宅の関を避ける道が無いか尋ねている場面だ。

他にも江戸後期の江戸錦絵など、貴重な宝物が飾られているので必見だ。

安宅住吉神社ならではの御利益を授かろう

安宅住吉神社ならではの御利益を授かろう

写真:塚本 隆司

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安宅住吉神社には、他にはない御利益がある。まずは、参拝前に境内の神亀石へ。亀は安宅住吉神社の神の使いで、神亀石の背中を「左右左」と三度なでてから本殿へと参拝すると「延命長寿」と「末広がりの幸福」にあやかれる。

安宅住吉神社ならではの御利益を授かろう

写真:塚本 隆司

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お守りもこの地らしい。絶体絶命のピンチを突破した義経弁慶一行にあやかった「難関突破御守」だ。身につければ、どんな困難に陥っても力を与えてくれるだろう。
八方ふさがりの運気にさしかかった時には「八方除御守」。難関突破も八方ふさがりも弁慶や富樫のように守ってくださるに違いない。

安宅住吉神社ならではの御利益を授かろう

写真:塚本 隆司

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勧進帳の物語が今も色濃く残る安宅の関。安宅住吉神社に伝わる宝物の鑑賞と歴史の舞台に立った感動は格別だ。石川県小松市、安宅の関跡にある安宅住吉神社。訪れたら忘れられなくなる特別な場所だ。

安宅の関跡・安宅住吉神社の基本情報

住所:石川県小松市安宅町タ17番地
連絡先:0761-22-8896
開門時間:8時30分〜17時
アクセス:
車 北陸自動車道小松ICから3分
電車・バス 北陸本線「小松駅」からバス「安宅関址前」下車
駐車場:100台(無料)
主な年中行事:例大祭(安宅まつり)9月7日〜9日

2019年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2019/04/13 訪問

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