フィレンツェでぜひ訪れたい“メディチ家の別荘”3選

フィレンツェでぜひ訪れたい“メディチ家の別荘”3選

更新日:2019/08/23 04:59

Shibayama Shihoのプロフィール写真 Shibayama Shiho イタリアブロガー
ヨーロッパの歴史にその名を残し、フィレンツェ、ルネッサンスを語るうえで忘れてはならない“メディチ家”。そのメディチ家がフィレンツェ近郊に造った別荘は現在でも多く残っています。なかには入館可能な別荘もあり、当時の豪華絢爛な別荘の内部や庭園を見学できるところもいくつかあります。その中でも特におすすめのフィレンツェ近郊のメディチ家の別荘を3つ厳選してご紹介しましょう!

フィレンツェ郊外に建つ世界遺産のメディチ家別荘

フィレンツェ郊外に建つ世界遺産のメディチ家別荘

写真:Shibayama Shiho

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14世紀から銀行家として台頭し、その財力と政治力を持って長い間フィレンツェを支配してきた名門一族メディチ家。一族からはローマ法王をも輩出し、その力はフィレンツェだけでなくヨーロッパにも及びます。ルネッサンス期の多くの芸術家のパトロンでもあり、今を生きる私たちが数々の大作と美しいフィレンツェの街並みを見ることができるのはメディチ家のおかげと言っても過言ではないでしょう。

そんなメディチ家が日ごろの喧騒から逃れるために建てたフィレンツェ近郊に点在するメディチ家の別荘。現在、12のメディチ家別荘群と2つの庭園は世界遺産にも登録されています。

今回ご紹介するのは館内に入場可能で、歴史的にも興味深く、館内も豪華絢爛な是非訪れたい3つのメディチ家の別荘です。

メディチ家、そしてイタリア王家に愛された「ぺトライア荘」

メディチ家、そしてイタリア王家に愛された「ぺトライア荘」

写真:Shibayama Shiho

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フィレンツェの歴史地区から車で約15分。小高い丘の上にペトライア荘(Villa medicea della Petraia)があります。

こちらの館をメディチ家が手に入れたのは1500年代のこと。トスカーナ大公であったコジモ1世が購入し、その息子のフェルディナンドが中庭をつくったり、館の塔をさらに高くするなどの改築工事を行いました。

館の中で特に印象的なのは、入ってすぐの中庭です。フェルディナンドがつくった中庭を囲む壁は、ボルテッラーノが描いた「メディチ家の栄華」で埋め尽くされており豪華絢爛。壁画から当時のフィレンツェの君主であったメディチ家の権力の大きさを感じることができるでしょう。

ペトライア荘は1800年代後半、都市国家に分かれていたイタリアを統一し、今のイタリアの形を作ったイタリア最初の国王ヴィットーリオ・エマヌエレ2世の所有になります。国王は息子の婚約を祝うために、中庭に鉄格子とガラスで天井を設置し、その中央には巨大で豪華なシャンデリアをつけ、中庭をダンスホールへと変容させました。

四方をメディチ家の栄華の壁画で豪華に埋め尽くし、温かい日差しを通すガラスの天井から釣り下がった豪華な巨大シャンデリアがある中庭…。そこへいったん足を踏み入れると、当時の権力者たちの優雅な世界を体感できます。

イタリア初代国王とその妻に愛されたぺトライア荘の内装はそれぞれの部屋が異なった色とデザインの壁紙で覆われ、豪華な家具が置かれています。王族が使用した寝室、浴室、プレイルームなどを見学することができます。

また、フィレンツェの町を見下ろすことができるペトライア荘の庭園も必見です。
メディチ家の栄華とイタリア初代国王の日常を垣間見ることができるでしょう。

<基本情報>
住所:Via della Petraia 40, Localita Castello, 50141 Firenze
入場料:無料
開館時間:
11月〜2月 8:30〜16:30
3月・10月 8:30〜17:30
4月〜9月 8:30〜18:30 
※閉館の1時間前に入場するようにしてください。
休館日:第二・第三月曜日、元旦、クリスマス(12月25日)
館内見学:土日、第一・第四月曜日は10:30より1時間に1回館内見学ツアーあり。ガイドの説明(イタリア語)つきで館内を見学可。最大定員数30名

メディチ家コレクション静物画も楽しめる「ポッジョ・ア・カイアーノ荘」

メディチ家コレクション静物画も楽しめる「ポッジョ・ア・カイアーノ荘」

写真:Shibayama Shiho

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フィレンツェから車で約35分。フィレンツェの隣プラート県にあるポッジョ・ア・カイアーノ荘(Villa medicea di Poggio a Caiano)。1400年代、この地域の土地を購入し、この美しい館を建てたのは、ルネッサンス文化を最盛期へと導いたロレンツォ・デ・メディチ(ロレンツォ豪華王)です。

現在、この館はメディチ家のコレクションが集まる静物画美術館も備えています。館内には美しい居住部屋、そして劇場までもあり、メディチ家の当時の優雅な生活をうかがわせます。

館の正面中央にある神殿のような造りの部分にある、約14m以上にもおよぶテラコッタのフリーズは、実はあの有名な陶器ブランド、リチャード・ジノリが1986年にオリジナルを模して作成したものです。オリジナルのフリーズは館内に展示されています。

そのフリーズが飾られる広いテラスからは、ポッジョ・ア・カイアーノの町を眺めることができます。

<基本情報>
住所:Piazza de’ Medici 14, 59016 Poggio a Caiano (PO)
入場料:無料
開館時間:
1月・2月・11月・12月 8:15〜16:30
3月 8:15〜17:30
4月・5月・9月 8:15〜18:30
6月・7月・8月 8:15〜19:30
10月 8:15〜18:30
※閉館の1時間前に入場するようにしてください。
休館日:第二・第三月曜日、元旦、クリスマス(12月25日)
館内見学:係員の案内で館内見学可。最大定員数10名
「静物画美術館」は電話にて要予約(TEL:+39-055-877012)

葡萄畑が広がる美しい丘の上にたつ「チェッレート・グイディ荘」

葡萄畑が広がる美しい丘の上にたつ「チェッレート・グイディ荘」

写真:Shibayama Shiho

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最後にご紹介するのはフィレンツェから車で約1時間、緑の丘が広がる場所にあるチェッレート・グイディ荘(Villa medicea di Cerreto Guidi)です。

1500年代に建てられたこの別荘はもともとグイディ伯爵家のものでした。後にメディチ家のコジモ1世が買い取り、狩猟のための別荘として、また、フィレンツェからピサやリボルノへ行く際の中継地点として使用されていました。

現在、この館は「狩猟と領地歴史博物館」として一般に公開されており、当時の館の様子を見学できるとともに、メディチ家が狩猟に使用していた銃などの武器を見ることができます。

また、館の裏庭も必見。小さいながらも、美しい設計の庭に、古代遺跡の像などが並んでいます。狩猟に使用されていた館なだけあって、現在でも周りは緑の美しい丘に囲まれています。館から見える景色、館周辺の景色も見物です。

<基本情報>
住所:Via dei Ponti Medicei 7, 50050 Cerreto Guidi. Firenze
入場料:無料
開館時間:
10月〜3月 10:00〜18:00
4月〜9月 9:00〜18:00
1年を通して日曜日の開館時間は10:00〜19:00
休館日:第二・第三月曜日、元旦、クリスマス(12月25日)

世界遺産に登録されたメディチ家別荘を見学しよう!

世界遺産にも登録されたメディチ家別荘群のなかでも、特におすすめの3つのメディチ家別荘をご紹介しました。別荘なだけあり、緑豊かな場所にたつこれらの建物。トスカーナの美しい景色を見に訪れるだけでも価値があるでしょう。

館内にはメディチ家のコレクションの数々、壁画など、貴重な美術作品がたくさんあります。驚きなのは、これらの別荘とその庭園への入場が無料だということです。

メディチ家が残した“美”はフィレンツェ市内だけにとどまりません。メディチ家が愛した別荘まで、少し足を延ばしてみるのはいかがでしょうか。なぜこれらの地にメディチ家が別荘を構えたのか、その美しい景色を見ればきっと納得できるはずです。

2019年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。

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