写真:小野 雅子
地図を見るロンドンを訪れる観光客にとって必ず行きたい名所のひとつ、大英博物館。古代エジプト文化を始め世界各国からの貴重な遺物や美術品がえんえんと並ぶ常設展示は入場無料という事もあり、季節や曜日を問わずいつでも大勢の人々で賑わいます。
もちろんロンドン在住者にとっても知的刺激に溢れた人気スポットですし、子供たちの課外授業や修学旅行にも打ってつけ。そんな大英博物館に入場する際のポイントからご案内しましょう。
写真:小野 雅子
地図を見るまず入館前の行列について。現在では安全確保のため全入場者の手荷物検査が義務付けられており、仮設テント内にて職員によるチェックを受けます。そのための行列は日時によって長さが違うものの、平均15分〜30分かかる心積もりを。
意外と知られていない注意点は、持ち込み荷物のサイズ制限。クロークルームを利用する場合も含め、館内に持ち込める荷物の最大サイズは40cm x 40cm x 50cm、最大重量は8kg (折りたたみ式ベビーカーは例外)です。フライト用キャリーケースや大型バックパックを携えているとゲートに常駐している警備員によって入場拒否されますので、くれぐれもご注意くださいね!
またクロークルーム使用料金などの詳細については記事末尾の関連MEMOにあるリンクから、大英博物館による日本語案内をご参照のこと。
写真:小野 雅子
地図を見る無事にセキュリティ検査を通過したら、いよいよ入館!「マンガ展」開催期間中は、「第22回手塚治虫文化賞マンガ大賞」に選ばれた野田サトル作「ゴールデンカムイ」のヒロインであるアイヌ少女アシㇼパに出迎えられます。
260年もの歴史を誇る大英博物館の正面を、日本のマンガが飾る日がくるとは・・・ちょっとした感慨を覚えますね。
写真:小野 雅子
地図を見る日本の「マンガ展」が催されている会場「セインズベリーズ・ギャラリー」は、特別企画展のために使われる幾つかの会場の中で最も大きい面積を占めています。このギャラリーがアジア関連の特別展に使用されるのは初めてという栄誉。
開催期間が5月23日〜8月26日という観光ハイシーズンに充てられた点を鑑みても、大英博物館がこの企画を2019年のハイライトと捉えている事が分かります。
なお常設展示とは違い有料となる特別展ですが、この「マンガ展」は大人19.50ポンド、16歳〜18歳および学生16ポンド、大人に同伴された16歳以下は無料となっています。
写真:小野 雅子
地図を見る会場に入ると最初に目に飛び込んでくるのは「不思議の国のアリス」の後ろ姿と、アリスが作中で言った「絵や会話のない本なんて何の役にも立たないじゃないの」という言葉。そしてその向こうに見えるのは、大友克洋がマンガ化した方のアリスです。
この序盤では「不思議の国のアリス」が日本のマンガに与えた影響について語られ、大友克洋、CLAMP、星野之宣らのアリス関連マンガが原稿などとともに展示されています。
イギリスと日本の文化を巧妙につなげたプロローグは、やはり大英博物館ならではのセンスだと感心しますね。
写真:小野 雅子
地図を見るそうして中に進んでいくと、まるでアリスがウサギとともに穴に落ちていったように、一挙に日本のマンガ世界へ突入!
日本でもマンガの元祖と言われている鳥獣戯画の一部複製や、大英博物館にも所有作品がある葛飾北斎など江戸時代の浮世絵から、現代マンガへと引き継がれた日本文化のエッセンスを抽出しています。
約50名の作家、約70作品からの総計240点にも及ぶ原画および複製原画、描き下ろし作品などが6つのゾーンに分けて展示されています。
写真:小野 雅子
地図を見る本展ハイライトのひとつは、河鍋暁斎による「新富座妖怪引幕」。暁斎がお酒を飲みながら4時間で仕上げたという大作は、スピード感あふれる筆致と役者らの戯画化が、現代の日本マンガに通じるというもの。
所有する早稲田大学演劇博物館によると、当作品を海外に貸し出すのはこの大英博物館での展示が最後になるだろうとの事。全長17メートルもの大幕は圧巻そのもので、来場者の誰もを魅了しています。
写真:小野 雅子
地図を見るテーマにそって6つに分かれたゾーンと展示作品の代表例を、以下にザックリ挙げてみましょう。
【ゾーン1:マンガという芸術 The Art of Manga】
さいとう・たかを「無用ノ介」
こうの史代「ギガタウン 漫符図譜」
東村アキコ「海月姫」など。
【ゾーン2:過去から学ぶ Drawing on the Past】
手塚治虫「アトム大使・鉄腕アトム」
赤塚不二夫「ウナギイヌの最期」
萩尾望都「ポーの一族」
杉浦日向子「百日紅」など。
【ゾーン3:すべての人にマンガがある A Manga for Everyone】
ちばてつや(画)・高森朝雄(原作)「あしたのジョー」
岸本斉史「NARUTO-ナルト-」
尾田栄一郎「ONE PIECE」
中村光「聖☆おにいさん」など。
【ゾーン4:マンガのちから Power of Manga】
竜田一人「いちえふ 福島第一原子力発電所労働記」
青山剛昌「名探偵コナン」
星野之宣「宗像教授異考録 大英博物館の大冒険」など。
【ゾーン5:マンガとキャラクター Power of Line】
つげ義春「ねじ式」
鳥山明「DRAGON BALL」
荒木飛呂彦「ジョジョの奇妙な冒険」など。
【ゾーン6:マンガ-制限のない世界 Manga: no limits】
赤塚りえ子「家訓(ディテール)」(インスタレーション)
三島喜美代「コミックブックス17-S」(陶器)
映画「ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」など。
写真:小野 雅子
地図を見る日本独自のマンガ文化が現在いかに世界へ伝播し、アニメやゲームやコスプレにまで発展してきたか。日本マンガの魅力と世界的な影響力を追求した本展は、その準備に3年間も費やしてきたというのも頷ける内容です。マンガ好きな人にはもちろんですが、日本のサブカルチャーがイギリスを含む海外でどのように評価されているかを知りたい人にもお勧めです。
写真:小野 雅子
地図を見る常設展示の充実ぶりはつとに有名ですよね。特に紀元前1270年頃と推定されるラムセス2世像やヒエログリフ解読の鍵となった石板ロゼッタストーン、猫のミイラなど、古代エジプト時代の遺品は必見。それほど考古学に興味がなくても、数千年をタイムトリップしてきた品々に畏敬の念を抱くことでしょう。
写真:小野 雅子
地図を見るショップやカフェ、レストランも充実しています。ショップでの人気商品はロゼッタ・ストーンや葛飾北斎などの所蔵品をモチーフにしたものが種類豊富。また「マンガ展」導入部で活躍した「不思議の国のアリス」をはじめとする、可愛らしいイギリス出身キャラクターのグッズもお勧めです。
写真:小野 雅子
地図を見るカフェおよびレストランは地階にあるファミレス風「ピッツェリア」、セルフサービスで手軽に利用できる「コート・カフェ」、また屋根付き中庭の2階にありちょっとお洒落な「グレート・コート・レストラン」の3つ。途中でカフェやレストランでの休憩をはさんで、心ゆくまで鑑賞してくださいね!
住所:Great Russell St, Bloomsbury, London WC1B 3DG
電話番号:+44-20-7323-8299
アクセス:ホルボーン駅、トテナムコートロード駅、ラッセルスクエア駅、グッジストリート駅からそれぞれ徒歩3分〜5分
2019年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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