完全予約制!赤坂迎賓館・和風別館「游心亭」を訪問

完全予約制!赤坂迎賓館・和風別館「游心亭」を訪問

更新日:2019/09/06 12:35

美里 茉奈のプロフィール写真 美里 茉奈 禁煙旅行推進ライター、素敵カフェ・レストラン発掘人
完全予約制のガイドツアーのみで観覧可能な、赤坂迎賓館のもう一つの建物・和風別館「游心亭」(ゆうしんてい)。海外からの賓客に日本文化を背景にした外交を行う場所として、1974年に新設されました。

隣り合う豪奢な雰囲気の本館とは違った静けさと「和」の風情を漂わせた和風別館。外交の場として重要な役割を果たす、その落ち着いた佇まいをご覧ください。

本館とは異なる「和」の風情をたたえる和風別館「游心亭」

本館とは異なる「和」の風情をたたえる和風別館「游心亭」

写真:美里 茉奈

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迎賓館・本館の前庭を横切って進んだ先に、ひっそりとたたずむのが和風別館「游心亭」(ゆうしんてい)の中門(正面玄関)です。

本館と和風別館は隣り合っていながらも、間には背の高い樹木が植えられているので、それぞれの存在を感じないような設計になっています。

和風別館「游心亭」の建物と庭の設計は、谷口吉郎(たにぐちよしろう)氏。東京国立近代美術館、帝国劇場、そしてホテルオークラ旧本館などを手掛けた、日本を代表する建築家の一人です。

和の意匠を際立たせたそのしつらえは、とてもシンプルでコンパクト。隣の宮殿のような本館とのギャップがかえって新鮮に感じられます。

本館とは異なる「和」の風情をたたえる和風別館「游心亭」

写真:美里 茉奈

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海外からの賓客からも好評なのが、中門から続く渡り廊下からの光景。植栽された孟宗竹と、京都の白川砂や貴船石を配した石庭が設けられています。日本の侘び寂びを感じられる場所です。

枯山水ではないので、賓客を出迎える際には、石に打ち水をして、しっとりとした風情でお出迎えをします。

本館とは異なる「和」の風情をたたえる和風別館「游心亭」

写真:美里 茉奈

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建物内は土足厳禁なので、入る際はスリッパに履き替えます。頭上の照明は、谷口吉郎氏の設計には欠かせないモチーフでもある、正六角形の亀甲紋。

亀甲紋は、亀があらわす長寿や吉祥のシンボルとしてとてもおめでたいもの。なんと平安時代から使われている意匠なのです。

この和風別館「游心亭」にも数多くの亀甲紋が使われています。見学がてら探してみると「こんなところにも!」と新たな発見がありますよ。

会食や鑑賞に使われる「主和室」

会食や鑑賞に使われる「主和室」

写真:美里 茉奈

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建物を入ってすぐの場所にあるのが、47畳の広さがある「主和室」。天井はあえて平面ではなく勾配をつけており、外の池に反射して、窓から差し込む光がゆらゆらと揺れる「水のゆらぎ」を楽しむことができるようになっています。

会食や鑑賞に使われる「主和室」

写真:美里 茉奈

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外国からの賓客向けに、こたつは掘りごたつにもできる設計。12畳のある次の間や、この主和室自体をステージに見立て、日本舞踊などの日本の伝統文化でおもてなしをしたりすることも。

会食や鑑賞に使われる「主和室」

写真:美里 茉奈

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一見飾り気のないように見える和風別館ですが、そっと飾られている工芸品は、九谷焼のお皿や清水焼の壺、鈴木翠軒の書など、そのどれもが芸術的な価値の高いものばかり。

廊下などにもさりげなく素晴らしい作品が展示されているので、ぜひ鑑賞してみてくださいね。

鯉を眺めてお殿様気分に

鯉を眺めてお殿様気分に

写真:美里 茉奈

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こちらの席は主和室の控えの間。賓客用に設けられたものです。

鯉を眺めてお殿様気分に

写真:美里 茉奈

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石庭に続いて、賓客の方に好評なのが、庭の鯉へのエサやり。窓を開けると広縁の足元には池が広がっており、約100匹もの色とりどりの錦鯉が泳ぐのを見ることができます。

残念ながら、一般の参観者は鯉のエサやり体験はできませんが、鯉の中には窓側に立っているとエサやりと思って寄ってくるものもあり、しばしお殿様気分を味わえるかもしれません。

鯉を眺めてお殿様気分に

写真:美里 茉奈

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この窓枠のカギにも注目です。窓から見える風景の邪魔にならないように、窓のカギをあえて横には設けずに窓枠にダイヤル式にしています。

こうした細かな気遣いが随所にみられるのが「美は細部に宿る」を体現した迎賓館ならではの仕様ですね。

「即席料理室」と「茶室」に見る賓客への気遣い

「即席料理室」と「茶室」に見る賓客への気遣い

写真:美里 茉奈

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こちらは、カウンター越しにお寿司や天ぷらなどのお料理を振る舞う場所「即席料理室」です。天井の一部は「納屋」をイメージしており、下の空間とは異素材の組み合わせともいえる内装になっています。

もちろん天井からの照明は六角形の亀甲紋です。堅苦しい雰囲気ではなく、緊張を和らげるような優しい柔らかな照明もポイント。

「即席料理室」と「茶室」に見る賓客への気遣い

写真:美里 茉奈

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こちらは、賓客にお茶を振る舞う「茶室」。立礼席と四畳半の畳の席が一つの空間になっており、亭主がお茶をたてる様子を、周囲に設けられた椅子の席から眺められます。もちろんこちらにそっと置かれている茶器も、非常に価値の高いものばかり。

「即席料理室」と「茶室」に見る賓客への気遣い

写真:美里 茉奈

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一見畳のように見える床は実は絨毯。そして椅子の足元を透明にすることで、浮遊感を演出したデザインに。こちらも谷口吉郎氏が手掛けています。

2019年7月末には、谷口吉郎氏の故郷の金沢に「谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館」が開館。常設展には、この「游心亭」の「主和室」と「茶室」を原寸大で再現していますので、機会があれば、合わせて観覧してみると新たな発見がありそうです。

松竹梅の庭から迎賓館本館へ

松竹梅の庭から迎賓館本館へ

写真:美里 茉奈

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館内を観覧したら庭へ。池の向こう側から見た和風別館は、鏡写しになった池の光景が落ち着いた美をたたえています。

松竹梅の庭から迎賓館本館へ

写真:美里 茉奈

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丁寧に手入れされた芝生と木々が印象的なお庭。左手に並ぶのは紅白の梅林。初春には美しい花を咲かせてくれます。

中門付近には松の木も植えられており、正門からの坪庭にあった竹、そしてこの梅とあわせて「松竹梅」を揃えて植えているのです。室内の亀甲紋だけでなく、庭にも趣向を凝らしていることがうかがえますね。

松竹梅の庭から迎賓館本館へ

写真:美里 茉奈

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お庭から続く道をたどっていくと、迎賓館の本館の主庭へ。世界観が急に変わる面白さを楽しむことができますよ。

和風別館「游心亭」の「游心」とは「心をほしいままにして楽しむ」ということ。本館のきらびやかさとはまた違った、和のくつろぎを演出した和風別館は、日本の伝統美を近代建築に反映させた温かみのある空間となっています。

完全予約制の見学ツアーで、日本の和の感性に新たに触れ、外国からの賓客の気分を味わってみませんか?

(本館につきましては、2019年4月に再公開した「朝日の間」を含めた紹介記事がありますので、ぜひ「関連MEMO」よりあわせてご覧ください)

迎賓館赤坂離宮・和風別館の基本情報

住所:東京都港区元赤坂2-1-1
電話番号:03-5728-7788
アクセス:JR中央線・総武線・東京メトロ丸ノ内線・南北線「四ッ谷」駅下車、徒歩約7分
※迎賓館には駐車場及び駐輪場がありませんので、公共交通機関をご利用ください。
休館日:毎週水曜日
参観開始時間: 10時30分、11時、11時30分、12時、12時30分、13時、13時30分、14時、14時30分、15時
定員:各参観開始時間ごとに20名まで
※15時の回は英語ガイドツアー
※要事前予約・小学生以下は御参観いただけません。
参観料:(下記は通常時の金額。特別展時の金額は別途ご確認ください)
【和風別館・本館・庭園】
一般2,000円、大学生1,500円、中高生700円 ※小学生以下はご参観いただけません。
【和風別館・庭園】 一般:1,500円、大学生:1,000円、中高生:500円
※現金のみ
※大学生、中高生は、生徒手帳、学生証をお持ちください。
※有効期間内の身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳又は被爆者健康手帳をお持ちの方と付添人(1名まで)は参観料金が免除となります。
※入場時に金属探知器による身体検査及び手荷物検査を実施
※館内の写真撮影不可
※外観の写真撮影は可ですが、業務用大型カメラ及び三脚・脚立・自撮棒等の撮影補助機材の持込は不可

2019年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2019/07/17 訪問

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