沈黙の舞台となった世界を堪能!長崎「外海」日帰りモデルコース

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沈黙の舞台となった世界を堪能!長崎「外海」日帰りモデルコース

沈黙の舞台となった世界を堪能!長崎「外海」日帰りモデルコース

更新日:2019/07/29 12:47

土庄 雄平のプロフィール写真 土庄 雄平 アウトドアライター、自転車旅フォトグラファー、絶景道オタク

長崎市街から30km程北にある「外海町」は、江戸時代の厳しい弾圧を乗り越え、色濃く潜伏キリシタンの文化が根付く稀有な地域であり、遠藤周作の「沈黙」の映画化や教会堂の世界遺産登録を受け、昨今ますます脚光を浴びています。それに加えて、ドロ様素麺など独自の食文化や、角力灘へ沈む夕日など数々の絶景を有しているのもこの町の魅力!今回はそんな魅力に溢れた外海を堪能するモデルコースを紹介していきましょう。

光に照らされるマリア像が感動的!和洋折衷の「大野教会堂」

光に照らされるマリア像が感動的!和洋折衷の「大野教会堂」

写真:土庄 雄平

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急激なアップダウンに富んだ外海町の海岸線。1970年に国道202号線が開通するまで船での移動が一般的なほど隔絶性が高く、それ故にキリシタンが潜伏しやすかったと言われています。今でも鉄道は敷かれておらず、移動手段はバスか車のみですが、利便性を考えて長崎市街でレンタカーを借りると良いでしょう。そこから約1時間で外海へと到着します。

光に照らされるマリア像が感動的!和洋折衷の「大野教会堂」

写真:土庄 雄平

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まず向かうのは世界遺産の「大野教会堂」。外海の中心部である出津地区から、やや北側の大野地区に所在するこじんまりとした教会です。この教会の特筆すべき点は、その外観!なんと、江戸時代より外海地方の家屋で伝統的に用いられている石積の技術を用いて、設計されています。日本文化とキリシタン文化が融合した実に貴重な建築物と言えるでしょう。

光に照らされるマリア像が感動的!和洋折衷の「大野教会堂」

写真:土庄 雄平

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森の中にひっそりと佇む教会堂の静謐な姿から、潜伏時代を経てなお、自らの信仰を慎ましく守る外海キリシタンの姿が連想されます。太陽が昇りマリア様を照らす瞬間は、なんとも感動的!きっと当時の人々も、この神々しいマリア様を拝んでいたに違いありません。

<大野教会堂の基本情報>
住所:長崎県長崎市下大野町2619
電話番号:095-823-7650
アクセス:長崎市街から車で約1時間
※現在は建物の老朽化・保存上の関係で堂内へ入ることはできません。
※世界遺産のため、見学の際には「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産インフォメーションセンター」への事前連絡が必要。

外海の味覚を堪能「レストラン ラ・メール」豪華ビュッフェ

外海の味覚を堪能「レストラン ラ・メール」豪華ビュッフェ

写真:土庄 雄平

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教会を満喫したら、外海の中心部へと戻ってランチにしましょう。おすすめは、道の駅・夕日が丘そとめの「レストラン ラ・メール」!何と子供700円、大人1200円で地元の食材を使った豪華な和洋蘭ビュッフェを楽しむことができます。

その中で特におすすめは、外海の郷土料理「ドロ様素麺」!実は、この地にカトリックを復教したド・ロ神父が伝えたといわれる郷土料理で、素麺ながらモチモチしているのが特徴です。他にも地元のお魚のお刺身などもビュッフェに並びます。角力灘(すもうなだ)で水揚げされた海鮮は、身が引き締まっていて絶品!

<道の駅 夕日が丘そとめの基本情報>
住所:長崎県長崎市東出津町
電話番号:0959-25-1430
アクセス:大野教会堂から車で10分
※「レストラン ラ・メール」は年中無休、ランチは11:00〜15:00

外海の味覚を堪能「レストラン ラ・メール」豪華ビュッフェ

写真:土庄 雄平

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なお、この道の駅には豊富にお土産が販売されているほか、遠藤周作文学館も併設されているので、食後に少し見学しましょう。この舞台をモチーフにした「沈黙」の作品説明とともに、遠藤周作の生前の愛用品、遺品、生原稿、膨大な蔵書などが展示され、見応え抜群!また道の駅から記念館へ降りて行く際に、目に飛び込んでくる東シナ海は絶景です。

<遠藤周作文学館の基本情報>
住所:長崎県長崎市東出津町77
電話番号:0959-37-6011
アクセス:道の駅「夕日が丘そとめ」に併設

キリシタン信仰の伝承地!「枯松神社」で感じる外海の軌跡

キリシタン信仰の伝承地!「枯松神社」で感じる外海の軌跡

写真:土庄 雄平

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それでは午後からも引き続き、世界遺産を中心に外海のキリシタンの軌跡を辿っていきましょう!まずは、道の駅から南下した黒崎地区にある「枯松神社」から。

実はこの神社は、禁教時代にこの地の潜伏キリシタンが信仰を維持する拠り所としたと言われており、今でも多くの元潜伏キリシタンの人々が拠り所とする聖地と言うべき場所。静寂な森の中に佇む神社の近くには「祈りの岩」という潜伏キリシタンが自らの信仰を口頭伝承したという場所も残っています。

キリシタン信仰の伝承地!「枯松神社」で感じる外海の軌跡

写真:土庄 雄平

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そんなこの枯松神社ですが、現代では別の役割を有している点もポイント!それは毎年11月に開催される「枯松神社祭」によく顕れています。実はこの行事は、仏教・カトリック・隠れキリシタンの三宗教に属する人々が一同に会して執り行う、世界的に見ても極めて珍しい形態のお祭りです。なぜこう言う形態になったかと言えば、そこには複雑な背景があります。

実はこの祭に携わる人々は、様々な理由で現在それぞれの宗教を信奉していますが、元を辿れば全員が潜伏キリシタン!キリスト教を布教した伝説の宣教師サン・ジワン、そして迫害の最中信仰を守り抜いてきた先祖に対する感謝の気持ちを皆共有しています。表面上こそ違いますが、根底は全員一緒だからこそ共同で祭りを行うことができるのです。

宗教の垣根を越えて地域が一つに繋がる現在のこのスタイルは、キリスト教の敬虔な信仰心と共同体内での結びつきが強い日本だからこそ出来上がった唯一無二のカタチと言えるでしょう。

<枯松神社の基本情報>
住所:長崎県長崎市下黒崎町
アクセス:道の駅「夕日が丘そとめ」から車で10分

白亜の出津教会も!キリシタンの隠れ里「出津」の文化的景観

白亜の出津教会も!キリシタンの隠れ里「出津」の文化的景観

写真:土庄 雄平

枯松神社が所在する黒崎集落から道の駅「夕日が丘そとめ」を挟んで、反対側にある出津(しつ)集落は、禁教時代に小規模な信仰組織が連携して、自らの信仰を守り抜いてきた潜伏キリシタンの里。解禁後には、ド・ロ神父による熱心な活動により、段落的にカトリックへ復帰し、「出津文化村」と呼ばれる現在の景観が作り上げられました。

白亜の出津教会も!キリシタンの隠れ里「出津」の文化的景観

写真:土庄 雄平

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景観の中心となるのは、集落を望む高台に立てられた「出津教会」。角力灘に面する風の強いこの地の気象に対応するためレンガ造瓦葺き平屋建てを特徴としており、堅牢性も備えながらも、白亜の美しい質実剛健な建築になっています。

白亜の出津教会も!キリシタンの隠れ里「出津」の文化的景観

写真:土庄 雄平

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なおステンドグラスなど色鮮やかな意匠はなく、どこか清楚な雰囲気を受ける外観が集落の景観とよく調和しているのもポイント!この地の伝統とキリスト教が、日常で緩やかに、けれど強固に結びついている様子がよく伝わってきます。ぜひ、この趣ある教会を訪れ、当時のド・ロ神父とこの地の人々の交流について思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

<出津教会の基本情報>
住所:長崎県長崎市西出津町2633
電話番号:0959-25-0012
アクセス:枯松神社から車で10分
※世界遺産のため、見学の際には「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産インフォメーションセンター」への事前連絡が必要。

感動的なオレンジ色!角力灘に沈む圧巻の夕日

感動的なオレンジ色!角力灘に沈む圧巻の夕日

写真:土庄 雄平

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外海のキリシタンの軌跡を巡り終えたら、いよいよクライマックス!再び、道の駅「夕日が丘そとめ」へ戻ってきましょう。なぜなら、道の駅の名が冠している通り、外海ではとても美しい「夕日」を眺めることができるから。そして、それを傍証するように先に紹介した国道202号線も"サンセットロード"という愛称がつけられています。

感動的なオレンジ色!角力灘に沈む圧巻の夕日

写真:土庄 雄平

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遮るもののない広大な角力灘をオレンジ色に染め上げながら夕日が落ちていく光景は温かみに満ちて神々しく、そして心洗われる時間です。また灘へ浮かぶ群島が、景色へアクセントを与えてくれる点もポイント!いつまでも眺めていたくなる美しい夕景とともに、ロマンチックな時間を満喫しましょう。

感動的なオレンジ色!角力灘に沈む圧巻の夕日

写真:土庄 雄平

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沈み終わる最後の最後まで刻々と変化をする1日の終わりのシーン。きっと禁教時代、ここで信仰を守り抜いてきた外海のキリシタン達も、この夕日に心洗われ、自らの心の支えとしていたことでしょう!そう思いを巡らせば、歴史と現在。外海の夕日は異なる時間軸の人の思いを繋いでくれる架け橋と言えるでしょう。

様々な魅力が凝縮!「外海」という独立した一つの世界

禁教時代、外部からの目を閉ざし、自分たちの力で生き抜いてきた外海の人々や集落。その歴史背景から、極めて独自の文化景観が構築され、その至る所からこの地の人々の営みや心情を読み取ることができます。キリシタンの聖地(現枯松神社)へ欠かさず訪れ、信仰を受け継ぐ敬虔な姿。夕日を眺めながら信仰を守り抜こうと決意する姿。ド・ロ神父の指導のもと産業を興し、立派な教会を建てようと発起する姿など。外海を巡る中で、様々なシーンが頭の中に想起されます。

きっと遠藤周作も、こうした外海の風景に投影されたキリシタンたちの姿から「沈黙」という作品を着想し、筆を執るに至ったのでしょう。地域の要素それぞれが一つのストーリーを作り上げる!そんな魅力的な「外海」を訪れてみませんか?

2019年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/11/03−2019/05/05 訪問

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