守り神の山麓に泊まる!西会津「NIPPONIA 楢山集落」

守り神の山麓に泊まる!西会津「NIPPONIA 楢山集落」

更新日:2019/10/03 14:30

なおぢ はるみのプロフィール写真 なおぢ はるみ 旅するデザイナー
福島県会津地方の西会津町に、里山の生態系を一つの惑星と捉え、新しい風土や文化について考えながら自然を享受した暮らしを創造する「楢山プラネタリー・ヴィレッジ」があります。ヴィレッジ内にある“暮らすように泊まれる”宿「NIPPONIA 楢山集落」は、高陽山の麓の古民家を改装した宿で、日本の原風景の美しさに心震え、山々の息吹に呼吸を合わせて過ごすことで自らが整っていくような体験ができるのです。

秘境に再生されたコテージ型の宿

秘境に再生されたコテージ型の宿

提供元:楢山プラネラタリー・ヴィレッジ

https://www.facebook.com/narayama.planetary.villag…地図を見る

「NIPPONIA 楢山集落」は、JR野沢駅から車で20〜30分のところにある、地元では秘境と呼ばれる楢山(ならやま)集落にあります。
歴史的建造物や古民家の再生・活用で名高いNIPPONIAと、海外でランドスケープアーキテクトとして活躍していた、この集落の19代目である矢部佳宏さんとのコラボレーションによって、築120〜130年の蔵と納屋が、宿泊棟にリノベーションされました。

秘境に再生されたコテージ型の宿

写真:なおぢ はるみ

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宿泊棟は3つあり、いずれも独立したコテージ型。蔵の宿泊棟は最大4人、納屋は建物内で2棟に別れていて、それぞれ最大4人が宿泊可能です。

秘境に再生されたコテージ型の宿

提供元:楢山プラネラタリー・ヴィレッジ

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3つの宿泊棟には、楢山集落にちなんだ名が付いています。
蔵は『高陽-KAYA-』(楢山集落の背後にそびえる守り神の高陽山(かやさん)が由来)。
納屋は手前の棟が『聖-HIJIRI-』、奥が『十五夜-MITSUKINO-』(いずれも集落近くの沢の名が由来)。各棟の間取りやマテリアルが異なるほか、それぞれの棟の名を連想させる室礼が素晴らしく、3棟すべて泊まり心地を味わいたくなります。

自然と人が心地よく共存する

自然と人が心地よく共存する

提供元:楢山プラネラタリー・ヴィレッジ

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「NIPPONIA 楢山集落」に一歩足を踏み入れると、大胆に残された土壁や古材が、ここまで雅趣に富んだ美しい空間を創り出すものかと、驚きます。
上の画像は、納屋・奥側の棟『十五夜-MITSUKINO-』のリビング。吹き抜けの天井まで風化した土壁と柱がむき出しで、日本建築ならでは表情を見せています。現代の無機質な壁に慣れている私たちにとっては、むしろ新鮮。

自然と人が心地よく共存する

写真:なおぢ はるみ

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『十五夜-MITSUKINO-』2階は、ドーンと立派な梁をそのまま残した寝室。セミダブルサイズの清潔なベッドは寝心地バツグンで、山の風景を望める横長の窓から、朝夕の光や鳥の声が届きます。備え付けの浴衣、羽織に着替えて、のんびりうたた寝するも良し。

自然と人が心地よく共存する

写真:なおぢ はるみ

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パウダールームも土壁で、洗面器は何と蔵で眠っていた “にがり”桶。栗の丸木が彫られた古木の桶で、豆腐の原料となる”にがり”を溜めるために使っていたそう(『十五夜-MITSUKINO-』のみ)。
自然を活用すると、こんなに素敵な空間になるんだなあと、体感できますよ。アメニティーも充実していて、ホスピタリティーの行き届いた宿であることが伝わります。

暮らすように泊まる

暮らすように泊まる

写真:なおぢ はるみ

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納屋・手前の棟『聖-HIJIRI-』は、かつて山伏が修行したであろう岩窟をイメージして瞑想の小部屋を設えてあり、陰翳礼讃の厳かな雰囲気が漂います。旅の一人時間を大事にしたい時は、ここへ。

暮らすように泊まる

写真:なおぢ はるみ

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『聖-HIJIRI-』の2階には、山の景色を見ながら、読書や創作に没頭できそうなワークカウンターがあります。子供連れの旅行者なら、キッズルームにしても良さそうですよ。

暮らすように泊まる

写真:なおぢ はるみ

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3棟すべてにキッチンがあり、調理器具、食器類はもちろんのこと、貸し出してもらえる調味料は塩や醤油などの他、ビネガーや味噌、ハチミツまで揃って、かなり充実しています。野沢駅近くの道の駅“よりっせ”でミネラル豊富な西会津の食材を調達しておけば、自分の好みにサッと調理して食べられますね。
長期滞在の旅行者を想定した宿というのも、納得。“暮らすように泊まれる”というコンセプトが伝わってきます。

心を洗う至福の時

心を洗う至福の時

写真:なおぢ はるみ

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「NIPPONIA楢山集落」の納屋2棟は、裏山の間伐や択伐した木々などを熱源にした薪ボイラーでお風呂の湯を沸かしてくれます。桧の香りがするお風呂で、薪で沸かした体の芯まで温まる湯に浸かって、窓からの景色をゆったりと眺める至福の時を過ごしましょう。

心を洗う至福の時

提供元:楢山プラネラタリー・ヴィレッジ

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運が良ければ、雲海や夕焼け、満点の星空を眺めながら、ゆったりとくつろぐことができます。空との近さを感じる楢山集落の幻想的な景色を目の前に、守り神・高陽山(かやさん)の麓に建つこの旅宿で、心が洗われていくのを感じます。

風土とアート

風土とアート

写真:なおぢ はるみ

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「NIPPONIA 楢山集落」は、西会津の芸術作品を間近にして泊まれる事も高ポイントです。
例えば、上画像の襖は、和紙を使ったアート作品を展開しながら、西会津の伝統和紙である「出ケ原和紙」の再生に取り組んでいる滝澤徹也さんと、矢部さんが協力して制作したもの。宿の裏にある池の水で漉いたという、まさにこの地の個性を写し取ったアートです。

風土とアート

写真:なおぢ はるみ

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各棟のダイニングテーブルと椅子は、西会津町のストーリーや資源を活かすものづくりを行っている木工職人・間瀬央也さんの作品。楢山集落にあった古材をアップサイクルした重厚感のある家具が、宿にしっくりと馴染んでいます。

風土とアート

写真:なおぢ はるみ

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蔵の宿泊棟『高陽-KAYA-』にあるのは、陶芸家・須藤圭太さんのランプシェード。楢山集落から見える山並みや雪景色をイメージした光の模様が美しい作品です(注文購入可)。そのほかに、楢山集落の土で焼いた洗面器や食器など、須藤圭太さんの作品が散りばめられています。

これらクリエイターが「楢山プラネラタリー・ヴィレッジ」に関わっているのは、宿近くにある西会津国際芸術村というクリエイティブセンターが縁。旧中学校の木造校舎を活用した西会津国際芸術村には、日本のみならず国外からもアーティストやクリエイターが集い、質の高い企画展やワークショップなどが開催されています。西会津に旅したら、ここはマストで訪れるべき! ぜひチェックを!

自然と対峙し、自分と向き合う旅へ

日本の原風景の圧倒的な美と、自然が人にもたらす癒しの力を、飽くことなく享受できる貴重な宿「NIPPONIA 楢山集落」。虫や鳥たちの声、風が運ぶ葉音、満天の星空‥‥ 山の神様が祀られたここへ、ぜひ、旅してください。
忙しく追われるような日常から抜け出して、自分を取り戻したいと感じている人には、特にお勧めのお宿です。

掲載内容は執筆時点のものです。 2019/06/28−2019/06/30 訪問

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