写真:藪内 成基
地図を見る2019年5月、日本の伝統・文化を語るストーリーとして選定が進んでいる「日本遺産」に石見神楽が登録されました。日本全国で神楽体験が行われていますが、秋や冬など季節限定の場合もあります。
石見地方では劇場や神社で定期的に石見神楽の公演があり、旅行の予定に合わせて体験できるのでおすすめです。
写真:藪内 成基
地図を見る様々な会場で石見神楽にふれられますが、初心者には2019年3月にオープンした石見神楽専用劇場「舞乃座」での鑑賞がおすすめ。魅せることを意識した照明は、石見神楽の迫力を際立たせてくれます。石見地方の食材をふんだんに使ったグルメを味わいながら鑑賞できるのもうれしいですね。
興奮冷めやらぬ鑑賞後には、演者による石見神楽の解説があり、石見神楽をより深く知ることができます。
写真:藪内 成基
地図を見る一度、体験するとますます観たくなる石見神楽。『古事記』や『日本書記』を原点とするものなど、30種類以上の演目があります。石見神楽は神事でありながら「演芸」的な要素が強いため、ストーリーが明解。舞やお囃子(はやし)も激しく、物語を知らなくても自然と引き込まれるのです。
<舞乃座の基本情報>
住所:島根県江津市後町3348-113
電話番号:0120-522-235
アクセス:JR山陰本線黒松駅から石見交通バスで約5分、「道の駅サンピコ」停留所下車すぐ
劇場とは違った石見神楽を体験してみたい方は、石見地方の中心である浜田市へ。石見神楽が伝統として息づいており、浜田市内の島根県立浜田商業高等学校は、石見神楽への理解の深化および継承のため、郷土芸能の文化推進校に指定されています。
石見神楽の醍醐味を味わうには、浜田市内各町の神社で行われている奉納神楽に参加してみましょう。神社で行われる神楽は、素朴さの中に情緒が感じられ、その町の人々と過ごす一夜は格別な思い出になるはずです。
石見神楽は元々、各町で行われる秋祭りの前夜祭として親しまれてきました。夜通し舞われ、夜明けまで町中が神楽囃子に包まれます。
写真:藪内 成基
地図を見るいきなり奉納神楽に参加する勇気がないという方には、「浜田の夜神楽」がおすすめです。JR浜田駅から車で約5分に立地する「三宮(さんくう)神社」で、毎週土曜の20時から公演があります。荘厳な神社で観る石見神楽の迫力は、劇場の石見神楽とは異なった空気に包まれています。
ちなみに、読みが「はまだ」の方は、夜神楽鑑賞料が無料になり、神楽手札のプレゼントの特典があります。
<三宮神社の基本情報>
住所:島根県浜田市相生町1571
アクセス:JR山陰本線浜田駅から徒歩約25分(1.8q)
写真:藪内 成基
地図を見る石見神楽を見学する際には、道具にも注目です。「神楽面(お面)」は、石見地方に伝わる製法で漉かれた石州和紙が素材に使用されており、とても軽く、スピード感のある動きを支えています。
まず土で型を作り、型に和紙を貼り付け、乾燥させてから型になっている土を壊し、型どられた和紙が残ります。この和紙の面に柿渋を塗り、目や鼻などの穴をあけ、胡粉(貝がらを焼いて作った白色の顔料)を塗って肌を作り、面に彩色をして仕上がります。
見た目の重厚感からは想像できませんが、手に取ってみると、神楽面の軽さと和紙の強固さがよく分かります。
写真:藪内 成基
地図を見る豪華な「衣裳」も見ごたえがあります。金糸や銀糸をふんだんに用い、一針ずつ丹念に作られ豪華絢爛。演目によっては頻繁な衣裳替えが行われますので、早着替えも楽しみのひとつです。
写真:藪内 成基
地図を見る「蛇胴(じゃどう)」も石見神楽に欠かせない存在。少し聞きなれない言葉ですが、大蛇の舞いに用いられます。
蛇胴にも和紙が使われ、特殊なのりで何重にも和紙を貼り合わせます。骨組みには竹を使用し、軽量ながら丈夫です。長さは約17m、重さは12sもあり、迫力ある動きを可能にしているのです。
写真:藪内 成基
地図を見る石見神楽の「面」や「蛇胴」に用いられる石州和紙は、「日本一丈夫な和紙」とも呼ばれ、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。起源は奈良時代にさかのぼり、江戸時代には、浜田藩によって盛んに生産されました。
浜田藩の中心となった浜田城もぜひ訪ねてみたい観光地。2019年は浜田藩が生まれて400年にあたるため、「開府400年」と呼ばれています。
元和5年(1619)、三重県の松坂藩から古田重治が浜田に転封し、5万4千石の浜田藩が成立。古田重治は元和6年(1620)に浜田城の築城に着手し、約3年で完成しました。
写真:藪内 成基
地図を見る頂上に当たる本丸跡からは、日本海の美しい眺望が望めます。眼下の「外ノ浦(とのうら)」は浜田藩内最大の港で、全国から多くの船が出入りしていました。石州和紙などの特産物が山間部から集められ、輸出されていたのです。
江戸時代以来の歴史が評価され、外ノ浦も日本遺産に登録されています。
写真:藪内 成基
地図を見る慶応2年(1866)、浜田藩は第二次幕長戦争で大村益次郎率いる長州軍と戦い、敗れたため浜田城は自焼したという幕末の歴史舞台のひとつ。そのため建物は残っていませんが、たたずむ見事な石垣と、絶好のロケーションから、浜田城の往時のにぎわいに思いを馳せることができます。
<浜田城の基本情報>
住所:島根県浜田市殿町 浜田市殿町123-10
アクセス:JR山陰本線浜田駅から徒歩約20分
劇場「舞乃座」で迫力あるステージを見るもよし、三宮神社で毎週土曜に公演のある「浜田の夜神楽」に参加するもよし、とにかくまずは石見神楽を体験してみるのがおすすめです。
石見神楽が伝統として息づく石見地方の魅力に出会い、浜田城があった頃の江戸時代のにぎわいや歴史にも興味が広がりますよ。
石見神楽の詳細や公演スケジュール、浜田開府400年については、下記の関連MEMOもご参照ください。
2019年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
取材協力:島根県
この記事の関連MEMO
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