今回紹介する「白馬乗鞍(標高2469m)」が位置するのは、文字通り長野県白馬村。立地的には、日本百名山の一つとして有名な”白馬岳”の前座に当たり、山腹には日本有数の高層湿原「栂池自然公園」を育みます。裾野の広く、ゆったりとなだらかな山容が特徴的で、山の稜線からは雄大な白馬山麓の町を望み、まるで天空の世界へいるようなパノラマが醍醐味です。
そんな、隔絶された風景が魅力の「白馬乗鞍」ですが、実はアプローチが楽なのが嬉しいところ。麓の栂池公園スキー場からゴンドラとリフトを乗り継ぎ、標高1900mの栂池自然公園までアクセスすることができます。ここから白馬乗鞍の山頂まで標高差は500m程しかないので、アルプス初心者でも登頂は難しくありません!
なお初秋には、山麓がオレンジ色に染まり、美しき色彩の絨毯を織り上げます。これがこの先の白馬乗鞍に広がる紅葉世界の伏線!心洗われるような北アルプスの秋景色の始まりです。
標高約1900mの栂池自然公園へと辿り着いたら、ようやく「白馬乗鞍」へ登山開始!ビジターセンターの脇から始まる登山道を進んでいきます。およそ片道3.5km/2.5時間の行程です。道の特徴としては、前半は淡々と標高を稼いでいき、天狗原(てんぐっぱら)を挟んで、後半には岩場が現れます。体力的には前半、技術的には後半が要と言えるでしょう。
また、天狗原に差し掛かった辺りから、眺望に変化が出てくるのも特徴!特に、森林限界の到達点から眺める「白馬岳」と紅葉のコラボレーションは筆舌に尽くしがたい美しさを見せてくれます。
写真:土庄 雄平
地図を見るそして、大湿原「天狗原(標高2100m)」に至れば、そこには「白馬乗鞍」のたおやかな山容。そして、その山肌を埋め尽くすように、紅葉が彩ります。ナナカマドの赤色も鮮烈で、真っ青に広がる空。まさにここは、日常から解き放たれた別天地と言うべき様相です。初秋の気持ちよい風を感じながら、自然が魅せる色彩のコントラストを堪能しましょう!
写真:土庄 雄平
地図を見るしかし、そんな白馬乗鞍が育む「天狗原」の醍醐味は、この先にあります。木道を越え、登山道後半の岩場エリアを上っていき、その中腹から眼下を眺めてみれば、言葉にならない絶景パノラマが待っているのです!
そこには、北アルプスや北信五岳に抱かれて、圧倒的なスケールで展開する大湿原「天狗原」の佇まい。そして山から湿原にかけて一面を、錦絵の如き美しい紅葉が彩り、まるで絨毯のように展開します。遮るものがなく、雲海の存在が高度感や山岳美を引き立たせ、一つの世界観へとまとめ上げているのです。
写真:土庄 雄平
地図を見る一番の難所である後半の岩場エリアを越えると、いよいよ「白馬乗鞍」までのクライマックスです!木々は全く生えず、そこは遥か雲の上の世界。ハイマツと火山岩からなる北アルプスらしい高山帯へと突入します。
乗鞍という名を冠するように、山頂部は広くなだらかな「白馬乗鞍」。辿り着いてみれば、山と言うより、丘という表現が適切かもしれません。そして、その丘の上からは、まるで騎士のように格好良い「白馬岳」が顔を覗かせます。その迫力に、思わず立ち尽くしてしまうことでしょう。
写真:土庄 雄平
地図を見る白馬乗鞍の山頂を少し行ったところには、北アルプスで2番目の大きさとなる火山湖「白馬大池」が佇みます。豊富なアルプスの残雪から溶け出した水は、まるでルビーのように輝き、思わず見惚れてしまう美しさ。また後立山連峰の峰々も周囲に展開し、その神秘的な姿はまさに「天空の湖」と呼ぶべき絶景です。
写真:土庄 雄平
地図を見るなおそんな「白馬大池」も実は、隠れ紅葉の名所として多くの登山者愛好家に親しまれています。池の西側から小蓮華山〜白馬岳へと続いていく尾根の斜面に、赤いナナカマドが点々と色づき、ハイマツの緑との美しいコントラストを見せてくれるのです。池越しに眺めるその姿はさながら、姿見池から眺める北海道の名峰・大雪山「旭岳」を彷彿させる雰囲気!美しくも、どこか荒々しい山ならではの情緒を味わえます。
写真:土庄 雄平
地図を見る栂池自然公園から白馬乗鞍・白馬大池の往復が日帰り登山の定番と言えますが、少し時間と体力に余力がある場合、稜線へと進むことをおすすめします。なぜなら、コース・距離ともに厳しくないものの、アルプスならではの絶景をさらに堪能できるから!
写真:土庄 雄平
地図を見る特筆すべき点は「草紅葉」と「紅葉の稜線」の二つでしょう。高山帯になると、木々が生えない代わりに、高山植物が咲き、それが色とりどりに紅葉するのです。特に、稜線を赤い絨毯のように覆うウラシマツツジが見事!背後には、日本二百名山「雪倉岳」など五立山連峰の雄大な尾根筋が広がり、思わず見惚れてしまう美しさ。
写真:土庄 雄平
地図を見るまた、白馬大池から百名山「白馬岳」へ行く途中にある新潟県最高峰の「小蓮華山(標高2766m)」付近で絶景のクライマックスを迎えます。なんと後ろを振り返れば、雲海の中に一続きの稜線が姿を現し、そこには斜面を覆う大スケールの鮮やかな紅葉と、ルビー色に輝く白馬大池が添えられるのです。言葉にもならない感動的な天空の世界を、ぜひ自分の目に収めてみて下さい!
写真:土庄 雄平
地図を見る一見狭いけれど、実は魅力で溢れている日本。それを象徴するのは日本の国土の60%を構成している「山」でしょう。実は、人の手があまり施されていないその場所に、日常では見ることのできない絶景や、感じることのできない大自然や非日常、そして冒険心を発揮できるフィールドが広がっています。その中でも特に、”紅葉の時期のアルプス”こそ日本のポテンシャルの高さを物語ってくれます。9月下旬〜10月上旬の「白馬乗鞍」を訪れれば「日本にはまだこんなに美しい景色があったのだ…」と自分の世界がまた一つ広がること間違いなし!
住所:長野県北安曇郡小谷村大字千国
アクセス:
<高速バス>新宿〜白馬・栂池線で約5時間25分、長野〜白馬・栂池・白馬乗鞍線で約1時間35分
<自動車>安曇野ICから1時間、駐車場は栂池高原内中央駐車場を利用のこと。栂池パノラマウェイの自然公園駅でロープウェイを降りた後、白馬乗鞍まで2時間半、白馬大池まで3時間、小蓮華山まで4時間
2019年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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