写真:野水 綾乃
地図を見る「Reborn-Art Festival 2019」の会場は7つのエリアに分かれています。石巻駅周辺の「石巻駅前エリア」と「市街地エリア」、牡鹿半島の「桃浦エリア」「荻浜エリア」「小積エリア」「鮎川エリア」、そして市街地から船で約1時間の「網地島エリア」。全エリアを観て回るなら、1泊2日での滞在がおすすめです。
1日目はレンタカーで牡鹿半島に点在するアートをめぐるドライブを。まずは牡鹿半島の中ほど、石巻駅から車で約35分の「荻浜エリア」へ。
カキの養殖に使う浮きなどが積み上げられた漁港を抜け、海沿いの山道を歩くと、貝殻で白くなった小高い場所に名和晃平「White Deer(Oshika)」がそびえ立っています。あの日のことが嘘のような穏やかな入り江と、鹿が見つめる美しい空が希望を感じさせます。
写真:野水 綾乃
地図を見る浜の北側にある3つの洞窟では3人のアーティストがそれぞれ展示を行っています。赤く燃え続ける炎をイメージした名和晃平の新作「Flame」など、原始的なエネルギーを感じさせる作品がダイナミックな自然と溶け合います。
写真:野水 綾乃
地図を見る荻浜から車で5分ほどの「小積エリア」には、2017年にできた鹿の解体処理施設「フェルメント」と、それを取り巻くようにプレハブ小屋が点在し、その中でアーティストたちそれぞれの世界が繰り広げられています。
注目は鹿猟師・小野寺望の狩猟に同行し、その生き方をとらえた写真家・在本彌生の写真。牡鹿半島にはその名の通り、ニホンジカがたくさんいます。プレハブ小屋のほかの作家の作品にも鹿をテーマにしたものがあります。
写真:野水 綾乃
地図を見る小積エリアからは車で約20分、市街地からは1時間ほどで辿り着く「鮎川エリア」は、捕鯨基地として栄えた牡鹿半島最南端の町。津波の被害が大きかった地域でもあります。
ここでぜひ訪ねて欲しいのが「詩人の家」。「全身詩人」と呼ばれ、朗読パフォーマンスの先駆者である詩人の吉増剛造が会期中この地に滞在し、詩の執筆や制作を行います。また吉増が住居とする民家を改装した「詩人の家 宿泊棟」では、完全予約制で一緒に泊まることも。吉増さんの生き様に深く触れてみたい人はぜひ。
写真:野水 綾乃
地図を見る鮎川の中心部から車で10分ほどのコバルト荘跡地には、鮎川エリアのキュレーター島袋道浩の「白い道」があります。樹木の間を抜け、空へ、海へと延びていく真っ白な道。その辿り着く先には、島全体が神域とされている神の島・金華山が迫ります。
写真:野水 綾乃
地図を見る牡鹿半島の中でも石巻市街地寄りにある桃浦エリアは、Reborn-Art Festival実行委員長でもある音楽家・小林武史がキュレーションするエリア。草間彌生、増田セバスチャンらの大規模アートが点在する見ごたえのあるエリアです。
特筆すべきは、アートグループ「SIDE CORE」が防潮堤の上に建設した「孤独な壁の美術館」。壁にまつわる展示がされた室内をめぐり外に出ると、防潮堤と同じ高さに作られた舞台で水神様に扮する森山泰地の姿と海景色が広がります。
写真:野水 綾乃
地図を見る海と森の間にある「リボーンアート・ファーム」には、パルコキノシタの「命の循環」をテーマにした作品があります。土から今まさに這い出ようとする作品のモチーフはブタ。かつて集落に暮らした人々の身近にあった神様を表現しています。
背後の農場では本物のブタが放牧されていて、育成後、来場者に食事として振る舞うとか。自然の循環、人間もまたその循環に含まれていることを感じさせる作品です。
写真:野水 綾乃
地図を見る震災をきっかけに閉校した旧荻浜小学校校舎2Fとプールでは、中ア透の巡回型インスタレーション作品「Peach Beach,Summer School」が展開されています。学校のこと、桃浦地区のことを知る5人にインタビューし、その言葉を元にした空間を順番にめぐっていくもので、ひとつの物語に触れたような読後感のある作品になっています。
写真:野水 綾乃
地図を見る2日目は石巻市街地から船で約1時間、鮎川港からは約20分で辿り着く網地島へ。黒潮の影響で熱帯の植物も見られ、東北のハワイとも呼ばれる自然豊かな島です。島の南北にある港近くの集落と島の中心部に作品があり、徒歩か島内のバスで移動できます。
島の北側の玄関口・網地港から歩いてすぐ、海を見下ろす高台にある熊野神社ではオーストラリア出身のロイス・ワインバーガーによる5つの作品が展開されています。鳥居のそばに置かれた420個のバケツに島の土を詰め、水も与えずに放置した作品は、自然のたくましさ、力強さが感じられます。
写真:野水 綾乃
地図を見る島中心部の旧校舎では、フランスの詩人の小説「類推の山」から着想を得たフィリップ・パレノの作品が展開されています。小説の言葉を光や音に転換したインスタレーション作品で、その音に反応して古い校舎のガラス窓がふるえ、建物全体がなにかを話しているかのよう。
写真:野水 綾乃
地図を見る島のもうひとつの港、長渡港近くには、持田敦子の「浮く家,2019」があります。過疎化や震災で持ち主を失った空き家。それを「宙に浮いた家」と考え、実際の空き家を土台から浮かせた作品になっています。同じ建物内では俳優・浅野忠信のドローイングも展示されています。
網地島のアートおよびアクセスについては関連MEMOの別記事でも詳しく紹介しています。
写真:野水 綾乃
地図を見る市街地に戻ったら、石巻駅周辺のアートを楽しみましょう。元おもちゃ屋さんといった空き店舗などが舞台になっていて、すべて徒歩でめぐれる範囲に点在しています。
石巻初の百貨店として誕生し、のちに陶器店として親しまれた旧観慶丸商店2Fにあるのは、シンガポール出身でシャーマンの血を引くザイ・クーニンの「茶碗の底の千の眼」。地元の人々から集めた大量の茶碗、そこに浮かぶ千の眼は石巻の未来を見つめています。
写真:野水 綾乃
地図を見る旧旅行代理店の空き店舗では、人気漫画家・青木俊直とオザワミカによるマンガの世界に入ったかのような作品が。懐かしい小学校の教室の椅子に座るなどしてみると、自分が吹き出しの言葉を話しているみたいになって遊べます。
会期:2019年8月3日(土)〜2019年9月29日(日)※網地島エリアは8月20日より開催
※水曜休祭(8月14日およびイベント開催日は除く)
鑑賞時間:平日10:00〜16:00(15:30最終受付)
※石巻駅前エリア・市街地エリアは平日も17:00まで(16:30最終受付)
土日祝および8月13日〜16日は10:00〜17:00(16:30最終受付)
問い合わせ:0225-90-4726
アクセス:東北新幹線仙台駅から仙石東北ライン約1時間の石巻駅下車。
車がない人のためにオフィシャルツアー「牡鹿半島コース」「網地島コース」が設けられています。詳しくは関連MEMOのホームページをチェック。
2019年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/3/19更新)
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