写真:野水 綾乃
地図を見る石巻市の沖合に浮かぶ網地島(あじしま)へは、石巻駅から徒歩15分の石巻中央発着所から船で約1時間。または牡鹿半島最南端の鮎川港発着所から船で約20分で辿り着きます。船の本数は1日4〜5本ですので、時刻表をチェックしてから予定を立てましょう。
石巻からは田代島を経由して、網地島に向かいます。猫の聖地として知られる田代島ですが、網地島でも港周辺などで猫をたくさん見かけます。
写真:野水 綾乃
地図を見る網地島内には港が2つあり、石巻中央発着所を出発した船が最初に到着するのが網地港です。
港を下りてすぐ目に入るのが、サンフランシスコを拠点に活躍するバリー・マッギー with スクーターズ・フォー・ピースの作品。船着場に面した擁壁に、アルファベットや幾何学模様、顔などをプリントした布が、山肌の凹凸を生かして貼り付けられています。圧倒的なサイズ感のインスタレーション作品が、アートの島に来たことを実感させます。
写真:野水 綾乃
地図を見る網地港から階段を上がってすぐの高台にある熊野神社では、オーストラリア出身のロイス・ワインバーガーによる5つの作品が展開されています。ロイスは植物、とりわけ荒地植物(都市の雑草)を主なマテリアルとするアーティスト。詩人でもあり、境内にある建物の壁面に「ある場所,1996/2019」というタイトルの流れるような詩が刻まれています。
その奥の鳥居のそばには、420個のバケツに島の土を詰め、水も与えずに放置した作品「ガーデン1994/2019」があり、自然のたくましさ、力強さを感じさせます。
写真:野水 綾乃
地図を見る熊野神社のいちばん奥、東屋の展望台には、同じくロイス・ワインバーガーの「私は雑草」から始まる詩が掲げられています。底まで透き通る海と田代島の島影を望みながら、その詩の意味を深く味わってみてください。
熊野神社のほど近く、「上ノ山」バス停の待合所にグラフィックを施したのは、網地港の壁面アートを手がけたバリー・マッギー。待合所内には昨年バリーが島を訪れた際に撮影した写真がコラージュされています。
写真:野水 綾乃
地図を見る島の中心部、廃校になった中学校を改修し、主に教育機関の宿泊施設として利用されている「島の楽校」では、フランスの詩人の小説「類推の山」から着想を得たフィリップ・パレノの作品が展開されています。小説の言葉を光や音に転換したインスタレーション作品で、その音に反応して古い校舎のガラス窓がふるえ、建物全体がなにかを話しているかのよう。
写真:野水 綾乃
地図を見る島の楽校から歩いて3分ほどのところには、島の南北にある2つの集落が災害時などに集まる網地島開発総合センターがあります。この建物の壁面全体をダイナミックにドローイングしたのは、若手の日本人アーティスト・BIEN。2つの半円が中央で交差していて、網地島の2つの集落をつなぐ、または本島と島をつなぐこの場所の意味を象徴的に表しています。
島の南端には、島随一の景勝地・涛波岐(ドワメキ)埼があります。太平洋に面した白い断崖の岬で、神の島と呼ばれる金華山の絶景が望めます。
ここにも梅田哲也「針の目,2019」というピンホールと水琴窟の原理を利用した大規模な作品があります。
写真:野水 綾乃
地図を見る涛波岐(ドワメキ)埼に向かう道の入り口には、ゲームをテーマにした美術作品を手がける若手の日本人アーティスト・アランの作品が。この島から出ずに生活が完結している島の人々。そんな人々の営みをゲームのチェスに重ね、島の石などが駒として置かれています。観る人も道中で拾った石を置いたり、動かしたり、持って行ったりして楽しむことができます。
写真:野水 綾乃
地図を見る涛波岐(ドワメキ)埼に向かう道の途中、笹などが生い茂る緑のトンネルを進むと、隠された秘密の畑のような場所に出ます。ここも伊藤存+青木陵子の作品で、土地の土で焼いた土絵、漁師の漁網編みのテクニックで作った編絵など、島の素材と技法を散りばめた特別な畑で、ずっとそこで時をはぐくんでいたような不思議な空間を生み出しています。
島の南部、網地島の7割の住民が暮らす長渡(ふたわたし)地区には、古い民家や商店を使ったアートが路地に点在しています。長渡港周辺の入り組んだ路地を歩いて、アートを探してみましょう。
写真は元駄菓子屋を利用した伊藤存+青木陵子の作品。売るものをなくしていた店内に、船、着物など島の空き家で発見したものに手を加えたものが商品として置かれていて、実際に購入することもできます。
過疎化や震災で持ち主を失った空き家。島にも多くあるそんな家を「宙に浮いた家」と捉えた持田敦子の作品「浮く家,2019」。実際の空き家を土台から浮かせた発想に感服する作品になっています。同じ建物内では俳優・浅野忠信のドローイングも展示されています。
持田敦子「浮く家,2019」の隣の敷地にあるのは、小宮麻吏奈の「蓬莱島古墳,2019」。浦島太郎が海の向こうに行き、宴を受ける日々を過ごした不老不死の理想郷である蓬莱。古墳もまた、不老長生を願う理想郷を表すものだったと言われています。そのふたつが重なるモニュメントは、そこに立つ者にいろいろな物語を想像させます。
会期:2019年8月3日(土)〜2019年9月29日(日)※網地島エリアは8月20日より開催
※水曜休祭(8月14日およびイベント開催日は除く)
鑑賞時間:平日10:00〜16:00(15:30最終受付)
※石巻駅前エリア・市街地エリアは平日も17:00まで(16:30最終受付)
土日祝および8月13日〜16日は10:00〜17:00(16:30最終受付)
問い合わせ:0225-90-4726
アクセス:東北新幹線仙台駅から仙石東北ライン約1時間の石巻駅下車。網地島へは石巻駅から徒歩約15分の石巻中央発着所から船で約1時間。または牡鹿半島最南端の鮎川港発着所から船で約20分。
車がない人のためにオフィシャルツアー「牡鹿半島コース」「網地島コース」が設けられています。詳しくは関連MEMOのホームページをチェック。
2019年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/3/19更新)
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