山形県高畠町〜縄文遺跡と鉄道廃線跡に歴史を刻む「まほろばの里」

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山形県高畠町〜縄文遺跡と鉄道廃線跡に歴史を刻む「まほろばの里」

山形県高畠町〜縄文遺跡と鉄道廃線跡に歴史を刻む「まほろばの里」

更新日:2014/05/08 14:37

池口 英司のプロフィール写真 池口 英司 フリーライター、フォトグラファー 日本写真家協会(JPS)会員

山形県の南東端に位置する置賜(おきたま)郡高畠町。縄文時代には人が住み着き、近世には生糸の産地などとして栄えたこの町は、大正時代になって鉄道が敷設されるなど、発展を続けてきました。昭和末期には鉄道が廃止となり、町の姿は往年とは変わりつつありますが、「まほろばの里」と呼ばれた美しい風景は、昔と何も変わっていないように見受けられます。ぜひ一度、この町を訪ね、悠久の歴史に思いを巡らせて下さい。

今も昔のまま残るローカル私鉄の本社跡

今も昔のまま残るローカル私鉄の本社跡

写真:池口 英司

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高畠の町に鉄道が建設されたのは、大正11年(1922年)3月のことでした。私鉄・高畠鉄道として開業したこの鉄道は、高畠と奥羽本線の糠ノ目駅(現在の高畠駅)の間を結ぶ、わずか5kmあまりの短い路線でしたが、後に路線の延長と電化工事を完成させ、本社は高畠の町の中心部に設けられます。さらにその後、合併や、地域の産物を運ぶ貨物列車の運転が開始されるなど、鉄道の経営は順調でしたが、昭和中期になると、過疎化や自動車の普及によって利用客が減少し、鉄道は昭和49年(1974年)11月に全線が廃止となってしまいました。上の写真は、今も高畠に残る駅の跡です。風格の感じられる石造りの建物が、人々の鉄道への期待を物語っているようにも感じられます。

駅の裏手には3両の電車たちが

駅の裏手には3両の電車たちが

写真:池口 英司

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建物の裏手には、かつてここで働いた電車や、電気機関車、貨車が保存されています。どの車両も小さなものばかりですが、雨の日も風の日も、決して遅れることなく人々を運び続けた鉄道は、高畠に住む人にとって、かけがえのない財産だったに違いありません。だからこそ、今は不要になった電車が、こうして保存されているのでしょう。

線路の跡はサイクリングロードに生まれ変わる

線路の跡はサイクリングロードに生まれ変わる

写真:池口 英司

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そして、線路が撤去された跡は、近年になって再整備され、「まほろばの緑道」という名前のサイクリングロードに生まれ変わりました。サイクリングロードは、JRの高畠駅の近くまで延びていますが、昔の駅のホーム跡が残っている場所もあり、そこは公園として再利用されています。サイクリングロードは、田園地帯の中を、緩やかに弧を描いて延びてゆきます。ここを電車が走っていた時、車窓から眺める線路脇の花に、四季の移ろいを感じとっていた乗客もいたことでしょう。

縄文式の住居が再現された歴史公園も

縄文式の住居が再現された歴史公園も

写真:池口 英司

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この地が「まほろばの里」と呼ばれているのは、山形県生まれの歌人、結城哀草果が「置賜は国のまほろば菜種咲き 若葉茂りて雪山も見ゆ」と詠んだことに拠っています。「まほろば」とは「周囲が山々に囲まれた平地で、実り豊かな住みよい所」の意。なるほど、この地を歩いていると、菜の花、若葉、雪山の美しさを実感でき、ここが人々の暮らしに適した豊かな土地であることを理解できます。

そしてこの高畠に、太古の昔から人が住みついていたことを示しているのが、町内全域に古墳群が広がり、土器類も多数発見されていること。このことにちなみ、旧・高畠駅の跡から徒歩10分のところには、縄文式の住居が再現されている「まほろば古の里歴史公園」や、高畠町郷土資料館などの施設があって、ここでも、高畠の長い歴史を学ぶことができます。

三重塔は県の指定文化財

やはり「まほろば古の里歴史公園」に隣接して建っているのが阿久津八幡神社です。その始まりは貞観2年(860年)とも伝えられ、ここにも悠久の歴史が宿っています。三重塔は県の指定文化財の一つ。端正な姿が周囲の風景に溶け込んでいます。また、この神社に隣接して高畠町郷土資料館があり、ここには、旧・高畠鉄道の資料なども展示されています。

三重塔は県の指定文化財

写真:池口 英司

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一日ではまわりきれない数々の見所

ここに紹介したほかにも、高畠には、「浜田広介記念館」「昭和ミニ資料館」「高畠ワイナリー」など、数多くの観光スポットがあり、一日ではまわりきれないほど。「まほろば古の里歴史公園」近くの「道の駅たかはた」でレンタサイクルを借り、「まほろばの緑道」を辿って、これらの施設をまわるのも楽しい方法です。
四季それぞれに美しい表情を見せる高畠の町。この町を走った鉄道は姿を消してしまいましたが、今も「まほろば」の名にふさわしい、豊かな風景が広がっています。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/05/03 訪問

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