写真:菊池 模糊
地図を見る鉄道のエル・ジェム駅から北へ5分ほど歩くと、町のシンボルである円形闘技場(アンフィテアトルム)が見えてきます。エル・ジェムの町はこの円形闘技場を中心として放射状に広がっており、名実ともに町の中心です。
闘技場としては、ローマのコロッセウムとカプア遺跡に次いで世界第三位の大きさ。観客席35,000人、縦149m、横124m、高さ36mそしてアリーナ直径65mという規模があり、アフリカ最大の円形闘技場です。その保存状態の良さから1979年に単独で世界遺産に登録されました。
写真:菊池 模糊
地図を見るエル・ジェムは最初、カルタゴの植民市として誕生し、オリーブ油の交易で栄えました。BC150年ごろローマに征服され、ローマ風の街並みに作り変えられました。この円形闘技場も、アフリカ総督だったローマ皇帝ゴルディアヌス1世の命により建設されたものです。
入場すると写真のような三階建ての石造建物に圧倒されます。ローマのコロッセウムより保存状態が良く、現在でも数万人の収容能力があり、毎年夏には交響曲フェスティバルが催されています。
写真:菊池 模糊
地図を見る7世紀にはイスラムの勃興により、侵攻してきたアラブ軍と先住民ベルベル人との最終決戦がエル・ジェムで行われました。ベルベル軍を率いた女王カヒナは、ここ円形闘技場に立てこもり、追い詰められて炎の中に身を投じた最期だったと伝わります。
その後、イスラム化した世界でエル・ジェムは重要性を失い、乾燥化とあいまって徐々に衰退していきます。競技場は砂に埋もれ、その石材は一部、カイルアンのモスク建築などに使われましたが、大きくは破壊されず、大部分は残り現在に至っています。
写真:菊池 模糊
地図を見る西〜北側には階段状の観客席が広がっていますので、一番上に登ってアリーナの撮影にチャレンジしましょう。まずは、北側から。残っている建物が左半分を覆ってそびえており非常に迫力のある景観です。
写真:菊池 模糊
地図を見る次に、観客席の最上段を西端まで行ってみましょう。ここから見ると階段状の観客席の後ろに高い建物がつくられている構造が分かります。
このアリーナでは、剣闘士の戦い、猛獣同士や猛獣対人間の戦い、さらに戦車競走など、たくさんの演目が行われ市民を熱狂させたようです。
写真:菊池 模糊
地図を見る南側の建物は入ることができるので、三階まで上がってアリーナを撮影してみましょう。そこからの景観は広がりを感じるもので、左奥に廃墟のようにそそり立つ建物が印象的です。
正面後方には建物がないことから、この円形競技場は未完成の状態で使用されていた可能性が高いと考えられます。
写真:菊池 模糊
地図を見るアリーナの中央には注目すべきものがあります。それは地面にある洒落たデザインの排水穴。大理石でできており整備された下水施設へとつながっています。古代ローマ人の細部まで行きとどいた技術力の高さを感じさせるものです。
写真:菊池 模糊
地図を見る必見の場所がアリーナの地下で、縦横に通路が配されており、詳しく見学できます。剣闘士の控室や、猛獣を入れておく部屋もあり興味深いものです。猛獣はここから檻に入れたまま、エレベーターで闘技場へ運ばれたそうです。トンネルから明るい場所へ登場し、喝采をあびた剣闘士たちの心境はいったいどのようなものだったのか。古代の世界へ思いを馳せてみましょう。
写真:菊池 模糊
地図を見る建物三階の高い場所に上るとアリーナがミニチュアのように見えてしまいます。そこで、下で遺跡を見学する人々を入れて写真を撮ってみてください。円形闘技場の巨大さが実感できます。
写真:菊池 模糊
地図を見るここならではの被写体を見つけ、工夫して写真を撮ってみましょう。興味深いのは回廊の撮影です。柱が並んで奥へとつながる光景は必見で、カーブした場所を縦位置で撮ると良い写真をゲットできます。
写真:菊池 模糊
地図を見る闘技場の中や周辺には野良猫が多く見られます。相手が動くのでなかなか難しいですが、バックを工夫して撮影してみてください。近国のマルタやモロッコは猫の天国ですが、チュニジアでも猫が愛されており、特に闘技場や遺跡の中の猫は絵になります。
写真:菊池 模糊
地図を見る野の花を主題に、絞りを開いて、背景の闘技場建物をぼかして撮影すれば、雰囲気のある作品となります。
写真:菊池 模糊
地図を見る現在のエル・ジェムは小さな町ですが、闘技場を見に来る観光客相手にたくさんの土産店が並んでいます。ここにはモザイク工房が多くあることから、名物はモザイク作品。野鳥や植物などのモチーフの小さなモザイクが素敵なので、気にいったものがないか捜してみてください。
写真:菊池 模糊
地図を見るエル・ジェム土産として面白いのは「砂漠の薔薇(Rose de Sahara)」と呼ばれる鉱物です。これは硫酸カルシウムや硫酸バリウムが砂と一体化して結晶し、薔薇状の形態を呈するもの。水に溶けたミネラルが結晶に成長したと考えられ、かつてサハラに水があった証拠とされます。観賞用の標本や置物としての人気は高く、チュニジアでは安く買えることから、自然派のお土産として検討してみてください。
写真:菊池 模糊
地図を見るエル・ジェムには大きなホテルがないので、スースやカイルアンからの日帰り観光や、砂漠地帯などの奥地に行く途中の観光ポイントとしておすすめです。観光客はここで観光し昼食をとることが多いのでレストランはたくさんあります。特にここの名物料理はないのですが、間違いなく美味しいのは写真のクスクス料理です。
住所:Amphithéâtre d’El Jem, El Jem Mahdia,Tunisia
アクセス:首都チュニスから、列車で約3時間、または、スースからバスで約1時間
2019年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2025/2/17更新)
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