京都の中でもまだあまり知られていない乙訓地区。京都市西京区、向日市、長岡京市、大山崎町のエリアからなり、京都駅から電車や車で30分ほど。京都と大阪を結ぶ位置にあることから、かつて長岡京の都が置かれたり、秀吉と明智光秀の山崎の戦いが繰り広げられたりと歴史の舞台にもなってきた場所です。
竹の里と呼ばれるこの乙訓は、全国的に有名な京都の筍の産地の一つでもあります。宋の時代、中国から初めて日本へ移植されたという、筍となる孟宗竹の発祥地と言われる寂照院もこの乙訓地区にあります。
西山連峰によって季節風が弱められ、根痛みが少なく、粘土質のこの地の土が孟宗竹に適しているため、最高級の筍が採れ、竹林が広がりました。
今回ご紹介する竹林公園は、向日市と京都市にまたがる全長約1800mの竹の径の中にあります。有名な嵐山の竹林は、約600mほどなのでその3倍のダイナミックさで清々しい竹の景色が静かに広がっています。
日本最古の物語といわれる「竹取物語」のかぐや姫のお話を思い起こさせるような美しい竹林。景観を保全するため、環境整備された竹林には、職人の手によって作られた竹垣が連なり、写真スポットとして訪れる方も。
10月には「かぐやの夕べ」というイベントが行われ、放置竹林で伐採した竹筒に水ろうそくを浮かべた竹行灯4,500本以上が並べられ、幻想的な風景となります。
さらさらと音を立てる竹の葉を楽しみながら竹林を進むと、京都市洛西竹林公園が現れます。この地域では1970年代に、ニュータウン建設のため、多くの竹が伐採されました。そこに“残る竹林を積極的に保存したい”という声が高まり、ニュータウン記念事業の一つとして、1981年、珍しい竹や笹を集めた竹林公園が開園しました。
公園北入口には無料駐車場があり、車の場合はこちらに駐車を。園内通路では観賞用のスホウチクが出迎え、少し下ると竹の資料館が見えてきます。
まず資料館入口で目を引くのが、竹の根っこの標本。2019年4月放送のNHK『ガッテン!』“今、旬でうまい!タケノコのすべて!”という放送で紹介されたものです。竹林から2日間かけて丸ごと掘り出し、スタジオに設置されたものの一部が、放送後寄与されました。
竹林の地面の下に根が張り巡らされ、巨大な地下空間が広がっているのを感じさせてくれます。地下茎から生まれたタケノコの赤ちゃんも展示されていますが、このびっしりと張り巡らされたたくさんの根が、水分や養分を吸い上げ、数ヶ月で何メートルも伸びていくタケノコの成長を支えているのです。
こちらは京銘竹という京都の伝統産業のひとつに指定されている竹材を含め、様々な種類の材料としての竹を展示。
京都は茶道や華道の文化が盛んだったため、その方達の要望に応えるべく、竹を加工する技術も発達してきました。地面に生えている竹の枝を全て落として、光合成をできないようにし、常在菌に感染させて胡麻のようなブツブツした模様を出す技法など、京都ならではの職人技で作られた竹も見て、触れることができます。
竹の資料館には、スタッフ選りすぐりの竹製品販売コーナーもあります。日用品から、お土産、お茶やお花の道具、アクセサリーなど、竹を使った色々な商品が揃えられています。竹好きにはたまらない品揃え。京都らしいお土産も見つかりますよ。
竹の資料館で竹のことを知った後は、公園内でゆっくり散歩を。約110種類もの竹や笹が植えられた回遊式庭園は、綺麗に手入れされ、桜やシャガなど季節の花と共に普段見ることのできない珍しい竹を見ることができます。
敷石の小道や東屋など、京都らしい静かな時が流れ、観光客で賑わう場所とは違い、ゆっくりとした時間を過ごすことができます。
起伏のある道を進むと、旧二条城跡で見つかった石仏群の並ぶ光景が。一見穏やかに見える仏様たちですが、これらの遺跡は、宣教師、ルイス・フロイスの記録書によると「信長は多数の石仏を倒し、首に縄をつけて工事場に引かしめた。都の住民は、これらの偶像を畏敬していたので、それは彼らに驚嘆と恐怖を生ぜしめた。」と語っており、旧二条城建設当時の信長の様子、庶民の信仰を石仏に感じることができます。
資料館には、「竹風軒」という事前申し込みをして利用出来るお茶室もあります。京銘竹や竹工芸品を用いて建築された茶室と、純日本庭園を意識した竹垣のある茶庭が広がり、日本独特の美意識を感じたり、ゆっくりとした時間をを味わう事ができます。
<京都市洛西竹林公園・基本情報>
住所:京都市西京区大枝北福西町2丁目300-3
電話番号:075-331-3821
開園時間:9時〜17時(入園は16時まで)
休園日:毎水曜日と12月29日〜1月3日の年末年始
アクセス:
阪急桂駅から市営バス西8「南福西町」で下車
阪急洛西口・JR桂川駅からバス「南福西町」「向日回生病院前」「北福西町一丁目」いずれかで下車
※入園無料
【茶室「竹風軒」ご利用】
使用料(冷暖房費込み):半日(9時〜12時、13時〜16時半)4,000円(税抜)
茶器類の貸出:1回 2,000円(税抜)
京都市洛西竹林公園や竹の径へは、公共交通でのアクセスがあまりよくないため、最寄りはバス停になり、今回はレンタルサイクルもある阪急洛西口駅からのアクセスをお勧めします。市営バス西4「洛西バスターミナル」行で「向日回生病院前」下車、徒歩約20分、または、市営バス特西4(毎時1本のみ)で「南福西町」下車、徒歩約10分で京都市洛西竹林公園まで行く事ができます。竹の径入口までは阪急洛西口駅から徒歩20分です。
竹林公園の周りに飲食店はなく、公園内も飲食禁止なので、公園へ向かう前のモーニング、または竹林を満喫した後の休憩をするのにピッタリの場所が洛西口駅にあります。生姜とコーヒーにこだわった、カフェ巣箱。駅高架下のTauT(トート)という施設の一角。JR桂川駅からは徒歩約10分です。
カフェのテーマは、“健康”と“地産地消”。有機栽培の生姜と地元の野菜を使った料理やドリンク、自家焙煎や、抽出に対して研究を重ねたスペシャルティコーヒーを提供する長岡京市の人気店、Unir(ウニール)のコーヒーを飲むことがでいます。
平日は朝7時半から、土日祝は8時から営業していて、朝の体に優しいスムージーや、お得なモーニングがあります。ランチはキッズメニューや離乳食もあり、家族で楽しめ、ディナータイムはオーガニックワインや野菜たっぷりのメニューが女子旅にぴったり。
お店では月に一度ワークショップも開催。ワークショップの日に合わせて訪れ、竹林公園を散策して帰るのもいいですね。ワークショップについてはTauT(トート)のホームページやフェイスブックに掲載されています。国産の木を使った居心地のよい店内で、美味しいコーヒーや食事だけでなく、イベントも楽しめる、素敵な空間です。
<基本情報>
住所:TauT阪急洛西口112 京都市西京区川島六ノ坪町ほか(阪急洛西口駅高架下)
電話番号:075-754-6521
営業時間:11時〜22時
定休日:第3水曜、年末年始
アクセス:阪急洛西口駅徒歩1分
京都駅から少し足を伸ばし、あまりガイドブックには載っていない乙訓地区の竹林へ迷い込んでみましょう。京都で育まれてきた竹の文化を知り、まっすぐで美しい色の竹は、きっとパワーをくれますよ!
2019年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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