石に込められた物語!大分「福真磨崖仏」

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石に込められた物語!大分「福真磨崖仏」

石に込められた物語!大分「福真磨崖仏」

更新日:2019/08/19 15:16

小野 浩幸のプロフィール写真 小野 浩幸 ミステリアス・スポット研究家

磨崖仏や仁王像などの石造文化財が密集する大分県の国東半島。加工しやすい安山岩や凝結岩といった石材に恵まれていたこと、優れた石工が多かったことが背景にありますが、古来より地域の人々の神仏に対する信仰の深さが時を越えて、今もなお続いています。決して大きな史跡ではありませんが、貴重な石造文化財が残る福真磨崖仏の世界をご紹介いたします。

福間磨崖仏は車で気軽に行けるスポット

福間磨崖仏は車で気軽に行けるスポット

写真:小野 浩幸

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大分県国東半島の海岸線から、のどかな田園風景が続く県道654号線を奥地へと進むと、福真磨崖仏の案内板が見えてきます。この辺りには駐車場がありませんので、少し先にある広い路肩に車を停めると良いでしょう。

福間磨崖仏は車で気軽に行けるスポット

写真:小野 浩幸

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福真磨崖仏は道路から近い場所にありますので歩いていけますが、個人の田んぼの中を通って行かねばなりませんので、マナーを守って行き来しましょう。入口には、防獣対策用の2箇所の門扉が設けられています。通行の際には、昼間であっても必ず扉を閉めてロックをするように。

福間磨崖仏は車で気軽に行けるスポット

写真:小野 浩幸

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田んぼを抜け、小川に架かる石橋を渡ると、人の身長よりもかなり低い鳥居が現れます。背の高い人は、くぐるのも難しいほど小さな鳥居。元々はもう少し高かったらしいのですが、長い年月で地面の土が盛ってしまい、このような窮屈な姿になったと云われています。
国東半島地域の鳥居は八幡式鳥居と呼ばれ、両方の柱上部に丸いリングのような装飾が施されています。

石工の技術とセンスが随所に光る福真磨崖仏

石工の技術とセンスが随所に光る福真磨崖仏

写真:小野 浩幸

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鳥居の奥の石段を登っていくとちょっと変わった石の建物を目にします。
実はこの建物こそ、他で中々見ることの出来ない貴重な「石造覆屋(せきぞうおおいや)」という構造物なのです。中の壁面に彫られている福真磨崖仏を守るために1854年(安政4年)、比叡山で修業を積み法橋の称号を与えられた地元の石工・安藤国恒氏らによって造られました。石でありながらも曲線の美しい唐破風の屋根に石工のセンスを感じますね。ちなみに法橋とは、国家や国家的寺院から与えられた僧位(官職)のことを指します。

石工の技術とセンスが随所に光る福真磨崖仏

写真:小野 浩幸

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この石造覆屋が平成27年の台風で被害を受け、崩落の危機に迫られ、保存修理を行うことになりました。このような立地ですので重機は入れず、全て人の手作業です。3年もの時間を費やして覆屋の解体・石材調査・新材加工・組立・建設の作業が行われました。

石工の技術とセンスが随所に光る福真磨崖仏

写真:小野 浩幸

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覆屋の中を覗いてみましょう。
凝灰角礫岩の壁面に浅い龕、中央の大日如来坐像を中心に金剛界四仏、六観音、六地蔵など19体の石仏が浮き上がるように彫られています。覆屋の右側外壁には胎蔵界曼荼羅の陰刻も見られます。儀軌にとらわれない自由な表現が見る人の胸を高ぶらせます。国東半島の仏教文化は平安後期から鎌倉時代にかけて隆盛を極めましたが、福真磨崖仏は南北朝時代の作とされています。

木造仏にはない秀逸な味わいこそ石仏鑑賞の醍醐味

木造仏にはない秀逸な味わいこそ石仏鑑賞の醍醐味

写真:小野 浩幸

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国東半島では珍しい金剛界大日如来。慈悲深い表情を眺めていると、先人達が守りたかった気持ちが良く理解できます。少々の風化が見受けられるものの、彩色が施されている磨崖仏は国東半島で類がありません。
また、夕刻になると写真のように横から日が差し込み、美しい陰影を見ることができます。石工はこれらの事も計算してこの壁にノミをふるったのでしょうか?

木造仏にはない秀逸な味わいこそ石仏鑑賞の醍醐味

写真:小野 浩幸

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最左に佇む毘沙門天(多聞天)。鬼門を守護するというだけあって、他の石仏とは異を唱えるかのような、おっかない表情です。

木造仏にはない秀逸な味わいこそ石仏鑑賞の醍醐味

写真:小野 浩幸

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右側には六観音、不動明王立像、胎蔵界曼荼羅が並びます。石仏ながら結構細かに彫られており、これだけの数が並ぶのも珍しいですね。保存状態が良好なのも石造覆屋の賜物でしょうか。有難い仏様をひとつずつじっくり味わいたいものです。

国東半島ならではの神仏習合と石造文化

国東半島ならではの神仏習合と石造文化

写真:小野 浩幸

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福真磨崖仏の石段は、さらに上の「奥の院」へ続いています。こぶりな龕に木造覆屋が施され神像と思われる2体の石像と狛犬、右手には不動明王と祠が祀られています。福真堂と呼ばれるこのお堂は、昭和58年に建てられました。

国東半島ならではの神仏習合と石造文化

写真:小野 浩幸

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鳥居、石段、磨崖仏、覆屋、石像・・・神様も仏様も石で表現されている福真磨崖仏はいかがでしたでしょうか。「石を彫る」というのは、同時に「永遠を願う」という意味も込められているといいます。国東半島には、他にも石灯篭や庚申塔、国東塔など多様な石造文化財を見ることができます。

福真磨崖仏の基本情報

住所:大分県豊後高田市黒土
参拝料:無料
アクセス:JR日豊本線宇佐駅より車で約30分

2019年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2019/06/06−2019/07/20 訪問

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